【ご提案】 40センチのバラを、花業界あげてみんなで売ってみませんか?

 インパックの守重知量社長は、短気な方だ。不定期で届く「社長通信」を読んでいると、そのときのイライラの程度が手に取るようにわかる。本日付(5月9日)で届いた「何が売りたいか」に、守重さんの気持ちがよく表れている。40センチのバラを売りたいのだが、売り方がよくわからない。

 

 いや、売り方はわかっているのだが、組織がうまく動いていないことにいら立ちを感じていられるようだ。というわけで、わたしから守重さんに、勝手に援護射撃をしてみることにした。物事は理屈の通りにはいかないものだから、この際、「お祭り」を演出してみたらいかがなものだろう?

 そうなのだ。5日(5月4日)にアップしたブログ記事「日本の花き産業はいま、史上最大の危機に > その緊急の解決策は」を、どなたかが猛烈に拡散してくださっているようで、本日午前中で、アクセス数が2000に近づいている。業界あげて物日プロモーションなどはやめて、「日常使いの新しい品種の花を連続的に投入すべし」という主張である。

 物日に集中するのは、経営効率が悪いのだ。マーケティングの教科書にも書いてある。EDLP(Everyday Low Price)のほうが業務的な効率がよい。仕入れの商流、受発注作業、コミュニケーションが楽で、物流・在庫管理の効率、労働者のシフトの問題。

 どれをみても需要の波動が大きい物日(業界プロモーション)は商売の効率が悪く、長時間労働で働く人たちの気持ちを疲弊させる。

 

 だから、そろそろ効率のよいホームユース市場にシフトすべきだ。そう言っているだけのことなのだ。具体的な提案は、守重社長の「社長通信」に掲載されている通り。結論は、「40センチのバラを売りましょう!」。

 ただし、鮮度が良くて茎の短いバラを、値ごろ感のある値段で。しかも、圧倒的に店頭をハイジャックすることで。それならば、菅家さんの「かすみ草通信」にあるように、「新規商品を毎月投入していかなければ、消費者にも生花店にも卸にもあきられる」ということを、それほど深刻に心配することもない。

 とにかく、いまはムードが悪すぎる。あるべき商品が、店頭に並んでいないのが問題なのだ。ブログでは下品な言い方をしたが、この際、「金になる花」は、エチオピアから輸入した40センチのバラにしましょう。ただし、ここで問題にしたいのは、インパックさんだけでこれをやっても、40センチのバラは売れないということ。

 落花スパイラル(市場のダウントレンド)から抜け出すためには、業界あげての企画に変更すべきなのです。クラシックも、YMSも、クリエイトも、みなさん相乗りしてほしいのですよ。エチオピアのバラでなくてもよい。ケニアのバラでも、エクアドルのバラでもOK。国産でももちろんよろしい。そこでは、40センチ以下のバラであることが重要なのだ。これで、量販店の店頭を支配してしまう。

 

 「社長通信」(2017年5月9日)からの部分的に引用する(読みやすく編集してあります、お許しください)。

 1 何が大事か

 花を売りたい!売りたい!!売りたい!!! これではバラ(40cm)は売れません。消費者の皆さんが「なにを欲しているのか」を知らない限りむずかしい話です。インパックには、バラの普及拡大が大きな使命として横たわっています。

 現状40cmの中・小輪形のバラの需要は殆ど有りません。キット日本では消費者の皆さんはバラを欲してはいないのです。ヨーロッパでは何処でも販売され、大手流通の一社だけでも3000万束(3億本)を販売するところもあります。

 そのベースにあるのは、バラで生活を楽しむ文化があることです。一人当たりバラの購入は少なくとも年間5本から10本はあるでしょう。文化の違い、歴史の違い、価格の違いなど様々な違いはあるでしょうが、ご家庭で最もピッタリ来るサイズは30から40cmであることに疑いはありません。

 ヨーロッパで売れるから日本でも売れるはずはあまりに不遜です。もっと普及活動がない限りだめでしょう。来月行なわれるエチオピア大使館主催のエチオピアフェスティバルでのエチオピアンローズの広報活動(一部販売もあり)は、インパックにとって消費者の方々に対する活動として大事な事業となります。

 日本では現在のところ、ホームユースのバラに対する強い興味は今のところほとんど有りませんが、懲りずにたゆまず更に遍く進めていくことが重要です。

 

 守重社長の意気込みが伝わってきます。しかし、ごめんなさい。インパック一社だけの活動では、40センチのバラが普及するとは思えません。花業界あげて、40センチのバラをふつうの家庭の日常にしましょう。

 宮西部長から、「(ヤオコー)千葉ニュータウン店に、今朝5束納品しています」。値段は、10本598円。一本当たり約60円。そんなバラが売れないはずはないです。いまから、行ってみてきます。売れていないとすれば、何が問題なのかがわかります。

 

(*)注釈:

 このブログを昨日呼んでくれた何人かの読者から、「先生、バラの生産者から人気がなくなりますね」と忠告をいただいた。しかし、そもそも国産のバラと輸入の40センチのバラは、マーケットがちがっている。競合にはならない。国産のバラが売れなくなるのではなく、バラというカテゴリーが人気になるから、いずれ国産バラの市場は広がっていく。

 実は、昨日、千葉ニュータウン店でピンクと黄色のバラ(エチオピア)を購入した。小さくてかわいらしい。でも、国産の70センチのバラのような豪華さはない。同じバラとはいって、購入動機も品質も異なる商品である。