カインズの土屋裕雅社長に依頼された案件で、早稲田大学で特別授業を担当する。講義のテーマは、「日本が目指すべき農と食の未来」。内容は自由なので、農産物と食品流通の未来について話すことにした。NOAFの活動を150人ほどの学生に知ってもらうチャンスだ。
実は、他大学で講義を担当するのは、明後日の早稲田大学が初めてになる。ずいぶん前に、京都工芸繊維大学で「特任教授」を拝命したことがある。弟子の坂本和子さんが、京都に移った初めのころだった。このときはプロジェクト担当のセミナー講師で、学生向けの授業はやっていない。だから、今回の早稲田が他大学で教える初体験になる。
2015年11月25日(水曜日)、ブログにこんな文章を書いたことがある。そのときのタイトルは、「週2回の出校は無理だよね:早稲田大学からの講義依頼を辞退する」だった。
学会仲間の守口剛さん(商学部教授)が、研究休暇(サバティカル)をとるので、商学部の基礎科目・マーケティング論の代購を依頼されたのだった。週二回は、どう考えても無理なので、お断りしていた。
これまで他大学では一度も教えたことがない。「法政大学からお金をいただいているのだから、他大学では教えない」を原則にしてきたからだった。どうやら早稲田大学とは縁がないようだ。そう思っていたら、今度は、早稲田大学の卒業生で、カインズホームの社長をしている土屋さんから、「一コマだけ、特別講義を!」と依頼があった。
カインズが商学部で寄付講座を実施している。講座の運営は、副学長?の恩蔵直人先生たちらしい。しかし、どうやら講師のほうの選定は、カインズがリードしているのだろう。土屋さんからは昨年も依頼があったのだが、こちらはブログに書いた理由で固辞していた。
そうはいっても、2016年のJFMA新春セミナーで借りを作ってしまった。土屋さんをパネラーに招聘してしまったからだ。また、以下の事情があるので、今年からは他大学で講義することを解禁している。
その事情とは、わたしが今年度で定年を迎えるからだ。特任教員として数年間は大学院に居残るが、来年度(2017年度)は、春から京都で教える予定がある。早稲田での講義を断る理由がもはやなくなってしまった。
<講義の内容>
初っ端からクイズ形式の授業になる。
<質問です!>
・Q1 日本の食料自給率は、□□%?
その原因はどこにあるのだろうか?
・Q2 わたしたちは、農家が作ってくれた農作物を
どれくらい捨てているだろうか?
・Q3 あなたの周りに、食物アレルギーに
悩まされているひとはいませんか?
Ⅰ スローでヘルシーな 時代の到来
1 食の20世紀とは何だったのか?
2 飽食の時代は終わりかけている
・事例#1:広島県福山市にある
食品スーパー「エブリイ」の取り組み
3 食のグローバリゼーションは反転する
4 新しい食材流通の仕組み
5 まとめ(希望と預言)
(1)農業部門では
①種子の選択(何を作るか)が変わる
~ 種子独占の議論から、在来種を見直す動き
②農法(どのように作るか)が変わる
~ 慣行農法から、有機・自然方法への回帰
③分散型FC農業(アンスケーリング)が始まる
~ 規模を追わなくても収益があがる農業を模索
(2)流通加工部門
①調達と物流が変わることで、地方メーカーが復権する
②チェーン小売業は、グローバル調達一辺倒から、
分散型の運営とローカルな食材を取り入れはじめる
(3)消費者(わたしたち)
①食の安全と健康を求めて、スローな生活に戻る
②フードロスや働き方などを、真剣に考え始める
Ⅱ NOAFの紹介(省略)