グローバルな潮流は、エシカル消費に向かう? 米国マクドナルドで、平飼いの鶏卵を採用へ

 『日経MJ』(10月7日)の記事が興味深い。2015年9月、米国マクドナルド社は、自社の店舗で使用する鶏卵を平飼(ケージフリー)に転換すると発表したというもの。同社は、約10年をかけて全面的にケージフリーの卵に切り替えることになるらしい。

 米国の消費者は、圧倒的にオーガニックに向かっている。しかし、有機志向(自身の健康)もさることながら、ひとびとの気持ちは明らかに、つぎの方向=Ethical(倫理的消費)に向かっている。

 マクドナルドの方針変更を受けて、米国の鶏卵業者の多くは、10年より短い期間で「平飼い」を標準的な飼育法として採用することになるだろう。このニュースリリースは、わたしたち日本人にもある種の未来予測の信号を発している。

 マクドナルドの事例は、従来型のマスフードシステムの枠組みの中にあっても、動物の虐待(飼い方)や飼料の与え方が社会的に問題視されるということを伝えている。そして、大手小売業者やファストフードチェーンが食材の調達基準(倫理基準)を変えることで、農畜産物の栽培・飼育方法や供給システムに大きな影響が及ぶという事実を明らかにしている。
 フードシステムの中に倫理的な要素が入り込むことは意義深いことだと思う。平飼い卵の例は、オーガニックや環境保全型の農産品に直接関係するものではないが、農と食の未来は、明らかに持続可能な生産・流通システムに向かっている。
 翻って、日本マクドナルドの経営方針はどのように変化していくのだろうか?この春以来は、同社の業績は持ち直しているが、そうした米国のトレンドは、国内のMDにはほとんど反映されているように見えない。また、モスバーガーのように、地域分散型の農業やローカルな加工メーカーとの連携といった話も聞こえてこない。