2016年7月29日に行われた、
オーガニック・マーケティング協議会フードマーケティングセミナー(第9回)
株式会社ライフコーポレーション 生鮮食品本部 竹下 太 氏の講演録を掲載する。
ライフコーポレーションの新業態「BIO-RAL」が目指すもの
~ビオラルはオーガニックマーケット拡大の起爆剤となり得るか?
日時:2016年7月29日18時~21時
場所:法政大学経営大学院 501会議室
講師:㈱ライフコーポレーション 生鮮食品本部 竹下 太 氏
コーディネーター:フードトラストプロジェクト代表理事 徳江 倫明 氏
コメンテーター:法政大学経営大学院教授 小川 孔輔 氏
要 旨
Ⅱ 基調報告:「BIO-RALの現状と目指すもの」
講師:㈱ライフコーポレーション 近畿圏生鮮・食品本部 担当課長
竹下 太 氏
1.ビオラルが誕生するまで
(1) 自己紹介
私は1967年生まれで、大阪の吹田市の団地で育った。両親は共に宮崎の都城の出身で、子供のころから、しょっちゅう宮崎に行っていた。自然が好きで、よくキャンプに行ったが、「釣った魚には農薬が残留していて、危険なので食べるな」と言われ、子供心にショックを受けた。
1991年、ライフに就職し、最初の5年間は、総菜部門でコロッケを揚げ続けた。その後、不動産部門に異動になり、30店舗くらいの出店契約を手掛けた。
(2) 企画のきっかけ
「第4次中期3か年計画(2012~2014年度)」が出たとき、その基本方針の1つとして、次世代対応が掲げられた。次の10年に向けて新たなスタートを切る3年間ということで、新規事業開発の社内公募が実施されたので、「ナチュラル系ストア」を提案したところ、採用された。
実は私の妻はアトピー性皮膚炎で、常に食品の裏の表示を見て買い物をしている。しかし、ライフには、妻が食べられる商品があまりなかった。「我が家のニーズを満たせないのか」と感じたことが、提案のきっかけだった。
(3) 反響
ビオラルは6月25日に開店した。今のビオラルの店舗は、ライフ靭店を改装したものである。靭店は17年ほど前に開店したスーパーだった。ビオラルのオープン時は、ライフのキャラクターのララピーちゃんや、ジャズのバンドも呼んで盛り立てた。
近畿圏では年6店程度出店しているが、それら新店と比べてビオラルの反響は大きくびっくりした。取材陣も大勢見えられ、新聞雑誌にも取り上げていただいた。今も、業界の方の来店が多い。大阪での食品の展示会帰りのような方々を、店内でよく見かける。
インスタグラムやフェースブックなどのSNSでも、一般のお客さんがビオラルや商品の写真をいろいろアップされていた。好意的に受け止められていることがわかり、これは頑張らなければ、と思っている。
(4) ライフの中での位置づけ
①ライフ概要
ライフコーポレーションは、スーパーマーケット・チェーンである。東証一部に上場しており、現在の営業収益は6,299億8,600万円、経常利益は128億円である(2016年2月期)。
ライフは、1961年に1号店を大阪郊外の豊中に出した。10年後に、東京板橋に出店した。現在は、東京と大阪の大都市圏でドミナント出店をしている。近畿は148店、首都圏は134店舗出店している。店舗は、1,000㎡から5,000㎡のスーパーで、売上の85%を食品が占める。
② 経営戦略上の位置づけ
2012~2014年度の第4次中期計画の期間に、次の10年への3か年ということで、新規事業開発次世代対応プロジェクトの要綱を見ていると、(提案者は)推進役も任されると書いてあったので、ぜひ取り組みたく、ナチュラル事業を提案した。
現在、ライフは2015~2017年度の「第5次中期3か年計画」に取り組んでいる。このたびの中期経営計画では、「大量生産・大量消費」、「1億総中流」を前提としたビジネスモデルが通じなくなったという認識がある。しかしいまは家族構成も変わり、多様なニーズが出てきている。これは、ライフの全社統一の現状認識だ。
ライフは、店舗から半径1km圏内のお客様の売上が、ほとんどを占める。1km圏内の食品消費額に対する当社のシェアは、10%程度である。これを11%にすることができれば、お客様は満足、会社も成長できるはずだ。そこで、「お客様の足元のニーズに応えよう」ということが方針の基本になった。
また、ライフでは、多様化するお客様のニーズに対応するために、別業態の展開に挑戦している。スーパーのライフより商圏の広い「セントラルスクエア」という業態も出店を進めている(東京では押上駅前)。ビオラルは、新業態のナチュラル系ストアという位置づけになる。
2.なぜ、ビオラルを計画したのか
(1) なぜ、ナチュラル系ストアに挑戦するのか?
ナチュラル系ストアに挑戦した理由としては、お客様のナチュラル志向の流れ、ドミナント出店で自社競合の可能性、他社との差別化という3つの理由がある。
お客様のナチュラル志向という流れは、肌感覚で直観していた。自然食のカフェやレストランが人気を呼び、オーガニックをライフスタイルとして取り入れる店が増えていた。2011年に梅田にコスメキッチンが出店された頃から、オーガニックコスメショップの出店が相次ぎ、また、アーバンリサーチのように、アパレルショップの中でオーガニック・コットンのシリーズを展開するブランドも現れた。
ライフはドミナント出店を続けてきたが、大阪のライフの店舗位置を地図にプロットし、1996年と2016年を比べてみると、商圏が重なり合った地域が目立つ。郊外でも、新たな出店の余地が少なくなってきた。スーパー同士の競争も熾烈なうえ、コンビニもドラッグストアも生鮮食品を扱うようになっている。生き残りには、新たな切り口が必要になっていることは明らかだった。
ナチュラル系ストアに挑戦した背景には、個人的理由もある。9年前に、米国の西海岸の店舗ツアーで、ホールフーズを見て、衝撃を受けた。グルメ、オーガニックに溢れ、店舗のBGMはボサノバやジャズ、ヨガもあり雑貨もありと、幅広い品ぞろえでありながら、統一感があり、しかもお洒落でかっこいい。こういう店をやりたかった。妻がアトピーだということと、子供の誕生をきっかけに、ますます安全のような部分を気にするようになったという背景もあった。それで、公募をきっかけに、オーガニックに取り組もうと考えた。
小さい頃から、川の水がきれいになって、川で遊べるようになったらいいなと思ってきた。オーガニックは、そういうことにもつながっていく。頑張らなければ、と決意した。
(2) 企画を進める
① 現場経験
私自身は18年間店舗開発部門にいたので、小売の現場での営業経験がなかった。新業態立ち上げといっても、小売の基本すらおぼつかないところもあった。ネットで調べ、オーガニックの勉強会に行き、取引先を開拓し、知識を蓄積していった。スーパーの仕組みについて学ぶため、バイヤーと一緒に産地や物流センターに行き、現場を見て、「ビオラルでこれをやったらどうなるか」とイメージを膨らませながら経験を積んだ。2か月ほど、店舗に詰めたこともあった。
② 自ら期限を切ってスタート
立地一つとっても、芦屋や梅田のターミナル立地など、いろいろな考えがある。しかし、結局は期限を決めて動かなければ、何も始まらない。企画が、実現に向けて「レールに乗っている」という感覚がなければいけない。そこで、ちょうど改装計画があった阿波座の靭店を、ビオラル1号店の実験店ととらえ、開店という期限を切って進めることにした。
オーガニックは、単にコーナーで展開してもうまくいかない。ホールフーズのように、全店でオーガニックの雰囲気を醸し出すことが大事である。こうした点も、理論やアメリカの事例を借りながら、社内で納得してもらえるように会議を重ねた。
最初は一人で始めた企画だったが、社内会議を経ながら理解が進み、ようやく2014年に、靭での開店にGOサインが出た。2015の1月にはスタッフもつけてもらい、ずっと温めてきた企画がようやく動き出した。
③ オーガニックの基本知識と「想い」を学ぶ
開店となると、次に、教育の問題が出てきた。初めての試みであり、「オーガニックは難しい」ということで、特にお客様からの問い合わせや誤った表示について神経質になっていた。私は、新しい挑戦をするからには、ここはひたすら学ぶしかないと考え、スタッフに通信教育を受けて資格をとってもらったり、徳江さんにお願いして専門の研修も行っていただいて、社員にオーガニックを理解してもらうよう努めた。店長には産地に訪問してもらい、オーガニックの「想い」が分かる人が、運営に携わるように気を配った。
開店したが、運営はいまだに手探りの状態だ。デリ一つとっても、素材から料理しており、時間管理が通常のスーパーとは違う。いまも、仮説検証を繰り返している最中である。
(3) 既存店と棲み分け、ナチュラルスーパーという実験
ビオラル靭店は、大阪市の西区靭本町にある。本町という大阪のビジネス街から地下鉄で1駅の距離である。立地地域は、大阪の都心の一般的な住宅立地で、事業所もある。周辺住民は24~44歳の層が厚く、0~4歳の子供も多い。タワーマンションが相次いで建てられ、ニューファミリーが増えている。
靭店は、ライフドミナントのエリアの中央に位置する。ビオラルから1km圏内に、土佐堀店、阿波座駅前店、西大橋店がある。そのため、カニバリゼーションにも気を配った。
ドミナントエリアで既存店と棲み分けを図りつつ、ナチュラルスーパーという特異な業態が支持されるかどうか。ビオラルの出店は、多店舗化への足掛かりを探る試みとなった。
3.コンセプトとターゲット
(1) 自然を感じる暮らし、もっと身近に
「自然を感じるくらし、もっと身近に」―これが、ビオラルのコンセプト(キャッチコピー)である。自然をそのままいただく安心感や、その土地ならではのおいしさに出会うよろこび、健康的な食卓でカラダを整える心地よさといったことを実現したい。
ビオラルは、「オーガニック」、「ローカル」、「ヘルシー」、「サステナビリティ」を大切にしている。
日常の買い物にご利用いただくスーパーで、これまで通販や百貨店でしか買えない特別なものだったオーガニックを、普通に選んで買えるものにしたいと思った。町にいながら自然を感じることのできる暮らしが、普段の生活で実現できるようになることを、ビオラルは目指している。
(2) ターゲット:3人のペルソナ「ナチュリータ」、「働く女子」、「ゆとりーぜ」
ビオラルは今までにないタイプの店で、トガっている。ターゲットを絞り込み、仮説を立て、検証を続けている。ビオラルのターゲットは、安心安全の意識が高く、ナチュラルライフスタイルに興味がある感度の高い女性である。最も象徴的なお客様像(ペルソナ)を3人設定し、社内で共有して、統一的店舗づくりを進めた。
①「ナチュリータ」:子供、安心
そのペルソナの一つが「ナチュリータ」である。木下佳織さん、35歳、3歳の子供がいるという設定である。子供のことを第一に考え、子供に体にいいものを与えたい、子供という発想からいいもの、安心できるものを買いたいということでナチュラルに入った人である。
②「働く女子」:トレンド
二つ目のペルソナは「働く女子」。北村あんな、29歳、専門職という設定で、とにかく仕事に遊びに忙しい。ときには牛丼のテイクアウトを食べて罪悪感を感じてしまっているような人だが、不健康を相殺してくれるような暮らしを求めている。学び好きでトレンドに敏感、そういう女性にオーガニックを食べてもらいたい。
③「ゆとりーぜ」:高質(いいもの)
三つ目のペルソナは「ゆとりーぜ」と名付けた。佐伯真理子さん、43歳、夫と共働きで暮らしに余裕があり、「高質」ないいものを好む。こうして選んでいった中にオーガニックがあるというイメージである。
ビオラル改装前のライフ靭店で、ランダムにお客さんに声をかけ、そのうち20人くらいの方々と1対1でお話しをさせていただいた。その中に、本当に、「ゆとりーぜ」や「ナチュリータ」がいた。アンケートをすると、8割くらいはナチュラルライフスタイルに関心があると答えてくれた。いままで、この人たちの求めるものを提供する場がなかっただけだったのかもしれない。
「ナチュリータ」や「ゆとりーぜ」的な人にお願いして、座談会を開いた。そして、自宅の中や食習慣を写真に撮ってもらった。これをもとに、ターゲットのイメージについてシートを作って関係者に配り、こういうお客さんに対しては、ここの部分をしっかりしようと、検証しながら進めていった。
(3) 店舗コンセプト、商品コンセプト
ペルソナたちのニーズについて、いろいろな言葉が出てくるのを整理すると、「安心」、「トレンド」、「いいもの」(高質)というキーワードに集約される。
店舗コンセプトとしては、オーガニック、ローカル、ヘルシー、商品コンセプトとしては安心、トレンド、高質が加わる。オーガニックの学会等で勉強したところによると、欧州はサステナビリティというコンセプトが購買につながるが、アメリカはそうではない。購買に結びつくのは、自分の「健康」という価値である。日本の消費者はアメリカに近いようだったので、商品コンセプトとしては安心、トレンド、高質という、個人レベルの幸福を打ち出す方が、ペルソナに響くのではと考えた。
お客様がビオラルでオーガニックやローカルを買うと、サステナビリティ(持続可能な社会の実現)につながり、社会レベルでの幸せに結びつく。こうして、ビオラルの「自然を感じる暮らし、もっと身近に」というコンセプトは、お客様との共通ビジョンとなる。
お客様から見れば、ビオラルに行けば普通の暮らしができ、比較購買でオーガニックもあるという形になる。こういう構図を、ビオラルの商品選定のイメージとして、商品部に示した。
店全体で、ナチュラルな雰囲気を出すということで、内装も店名も商品も変え、ロゴもキャッチコピーも、全部変えた。制服、チラシ、商品も変え、あらゆる接点で、コンセプトに沿った提案を発信していった。
4.ビオラルの紹介:各売場の商品MD計画
(1) 商品MD
ビオラル靭店は2階建てで、1階がライフ、2階はイートインとセリア(百円ショップ)が入っている。全売り場面積は1,496㎡(ライフ964㎡)となる。
商品構成として、全体の50%は150m先にあるライフ阿波座駅前店にもある商品、後の50%は特徴のある商品で、阿波座店にないものを置いている。
(2) 部門ごとの特徴
①農産部門
農産コーナーは、入ってすぐのところにある。
オーガニックの生鮮は、いままでほとんどのスーパーでは、品揃え程度のオーガニックで、棚に少ししかない状態だった。それでは面白くないので、前面にオーガニックを置いている。品揃えも増やし、バラ売りにも平売りにも挑戦した。
「農家さんの直売所」コーナーも展開している。和歌山県から、産地直送の野菜や果物を品揃えしている。入口近くでは、ローカルのジェラートを販売している。和歌山の産直広場で作っているジェラートである。
②水産部門
水産品部門では、品揃え程度に絞ったコンパクトな売場ながら、通常のお買い物機能を実現した。無添加、塩分控えめの干物や、近隣の中央卸売市場から調達した鮮度の高い生魚を取り揃えている。
③畜産部門
肉類も絞った。抗生物質や合成抗菌剤不使用の肉類や、去年出した「ライフナチュラル」というPB、低添加物のウインナーなども置いている。
④総菜部門
総菜部門はガラッと変えた。ビオラル専用のオリジナル商品を、多数揃えた。家庭料理に近い優しい惣菜ということで、料理研究家の木村緑さん監修で薬膳弁当もある。ビオラルの中には、精米所がある。おにぎりは、そこで精米したコメを店内で握っていて、好評である。
⑤食品日配部門
食品日配品では、こだわりの商品を充実させた。トレンドをつかんだライフスタイルを提案して、わくわくする売場作りにしている。オーガニックの商品については、棚の左に緑のシールを貼り、お客様にオーガニックとはっきりわかるようにハイライトしている。
たとえば味噌では、下段はEDLP、黄色のラベルの棚はライフ共通、白は定番品、茶色はこだわりの品というように分けて、比較購買しやすいMDにしている(他の商品でも同様)。こだわりの品については、棚に商品の説明が付けてある。
お酒もこだわって頑張り、オーガニックのお酒を豊富に揃えた。強力なお酒の専門店が近所にあるので、差別化のため、ワインもオーガニックを強調した品揃えになっている。
⑥生活関連部
生活用品については、2階にセリアがあるので、ビオラルではコンパクトな売場ながらこだわりの商品を充実させ、尖らせた品揃えにした。自然派コスメ、環境配慮型洗剤、エコサート認証付の基礎化粧品などを置いている。ビオラルのロゴ入りのエコバックもある。
⑦その他
その他、2階にはゆったりしたイートインスペースを設けており、1階で購入したお弁当などをここで食べられるようになっている。水素水サーバーを置くなど、工夫している。
7月25日に、有機ショウガを使ったジンジャーシロップづくりのセミナーを開いた。定員15人の枠は、すぐ満員になった。次はスーパーフーズの勉強会を企画している。こうしたセミナーを、月2回くらいのペースでずっと開いていきたい。
この他、インスタグラムでの情報も発信も行っている。
5.ビオラルの現状と今後の抱負
(1) 現状
7月も終わりに近い今、オープン時の賑やかな状態と比べれば、売上は下降している。スーパーは通常、オープン後の活況から2~4か月くらいで売り上げは底を打ち、そこから反転攻勢が始まることになる。今のところ、来客店数は開店時ほどではないが、安定している。客数は平日も日曜も同じくらいで、週末は客単価だけが上がる。
これから3か月は、じっくり店の様子を見ていく。これまでは表示ミスなどに注意してきた。例えば、無農薬、減農薬という表現は、たとえメーカーが使っていても、駄目な表現である。
オーガニックについては、基本は有機JAS認証だが、有機JASでは、例えば、蜂蜜は畜産食品に入るが、蜜そのものは有機畜産物の対象外になる。蜂蜜には有機JAS認証マークはつけられないが、海外の有機認証蜂蜜は扱っている。また、オーガニック・コットンは経産省、お酒は国税庁と、管轄する省庁や認証の枠組みも別々になっており、ややこしい。
こういう事情で、いままで、表示については守りの姿勢でやってきたが、これからは、生産者の思いを伝える販促に、もっと力を入れていきたい。11月に有楽町の東京国際フォーラムで開かれる「オーガニックライフスタイルEXPO」にも、ビオラルは出展する。
(2) 売場
売場は、さらに変えていかなければいけない。オーガニックを軸とした連動型売り場の確立は、特に大事な課題だ。おにぎりでは店内で精米した米を加工して提供するところまでできているが、全体としては、まだオーガニックのお惣菜が揃えられるところまで達していない。ここでも、表示の問題が常に付きまとう。
3~4か月経ったら、クラスター分析等をして商品の改廃を検討する。顧客とのコミュニケーションについては、これから8月、9月、10月と、どんどん手を打っていきたい。
オーガニックの畑に行くと、周囲の生き物の多さを実感する。本よりも、自然に飛び込む方が違いがよくわかる。ライフの社内で、もっとオーガニックを理解してもらいたい。コンセプトについても、情報発信をしていきたい。
(3) 抱負
個人的抱負として、プライベートでもオーガニックの実践をしたいと思っている。農業塾を立ち上げ、月1度、社員を畑に連れていき、堆肥場や畝を作ったりして、皆で農作業を体験する。農産売場でやる気のある人を連れていっているが、皆、「農業の大変さがわかった」、「明日から丁寧に野菜を扱おう」と言ってくれる。来年も続けていきたい。
私自身、通勤90分の郊外に引っ越した。壁のクロスをはがして珪藻土にしたところ、飛沫を吸うしカビもなく、家が快適になった。野菜の屑も発酵させ、肥料にしている。娘は山の幼稚園に入れた。月曜は畑、水曜は山登りという環境だ。
(質問)ビオラルは、オーガニックマーケットの活性化の起爆剤となり得るか?
(竹下氏)そうなりたい。ビオラルが成功して、オーガニックスーパーのモデルとなり、こういう店舗が増えていってほしい。オーガニックライフスタイルが定着し、自然循環型農業であるオーガニックが拡大することで、次世代へ良い環境をつなげていければと思う。
(徳江氏)こういう店舗を作る上で、きっちり研修を行って始める例は、なかなかないのではないか。私は、ライフで1回3時間の研修を8回行った。ビオラルの店の担当スタッフ全員に、オーガニックとは何か、表示の問題、お客さんから来そうな質問に対するQ&Aを含めて、みっちり行った。私も1997年頃、オーガニックスーパーを1軒作った経験があるが、ビオラルにはぜひ成功してほしいと思う。