EU離脱と円高・株価の大暴落、わたしの見解と行動

 大方の予想に反して、英国の国民投票で、イギリスのEU離脱が決定された。2年間の猶予があるとはいえ、キャメロン首相の辞任で英国の政治と経済は大混乱に陥るだろう。そのように世界の金融市場が判断したと思われる。


今回の投票については、10日前にロンドン郊外で、一般市民の行動を仔細に観察していた。だから、英国のEU離脱はそれほど意外だとは感じなかった。予想された結果である。離脱の後始末については、ロンドン滞在中のブログ(6月上中旬、旅行記録#1〜#10)を参照していただきたい。
 英国のEU離脱の背景にあるのは、移民問題と所得下位層の生活への不満、政治や経済の自由度の喪失などにあるといわれている。もっと冷静に見れば、国富が上位層へ集中しすぎて、多国籍の大企業と豊かな市民が恩恵を受ける反面、その他マジョリティが豊かさの恩恵を受けられない制度を、投票面では多数派を占める国民が、離脱に誘導したという解釈ができる。
 これは、経済システム(自由競争による富の配分)と政治システム(ひとり一票の平等社会)の矛盾から生じた結果だと考える。グローバリゼーションと自由貿易を旗印に掲げ、さらなる富の蓄積を狙う資本家集団とその恩恵を受ける中産階級が、見事に数の上で勝る所得階層に打ち負かされたのである。
 この矛盾を解消するためには、新たな所得配分の枠組みと政治システムが必要とされるだろう。ピケティの指摘とタックスヘブンに対する対案を打ち出せなければ、世界経済は新しいモンロー主義に覆われるだろう。わたしが、鎖国を予想する理由もそこにある。

 ちなみに、わたしは投票日の2日前までに、持ち株の約3分の1を処分し、その分はキャッシュで保有しておくことに決めた。ロンドンの状況を見て、残留派に勝ち目がないと予想したからである。持ち株そのものは大した金額ではないが、しばらくはそのまま現金で寝かせておこうと思っている。
 とはいえ、残りの持ち株の3分の2は、やはり株価暴落の影響を受けてかなり目減りすることになった。しかし、これ以上の暴落はないと踏んでいる。その理由はまた数日後に述べることにする。