ナイロビの空港で、ドバイ行きのフライトを待っている。エミレーツ航空でドバイ経由、ロンドンに向かう。夜間飛行で、英国には早朝の到着。7番ゲートに早く着いてしまった。あまりに暇なので、一昨日の小さな事件のことを書き残しておくことにする。
ナイロビの市街を走っていると、ボディに日本語が書かれたワゴン車や軽トラックを時々見かける。五年前も、長崎の布団屋さんの店名と電話番号が残されたまま、ナイロビの郊外を走っているタウンボックスカーを見つけた。帰国してからその布団屋さんに電話をしたら、その車は盗難車だった。
布団屋の主人が知らないうちに、中古車市場に流れて、ケニア向けに輸出されていたわけである。中古車を輸出しようとしたならば、抹消手続きが必要だろう。ナンバーの切り替えなど、どんな風に盗難手続きを免れたのだろうか。気にはなっていたが、そんな闇の世界のことはあまり深く追求しても危ないだけだ。そのままに5年が経っていた。
2日前、ナイロビ市内の中心部で、渋滞の中を走っている商用トラックを見つけた。後部にオープンの荷台がある、ピックアップトラックである。後部扉の上に、千葉の工具店の名前が堂々と書かれている。有限会社市原工具。
そのトラックは頻繁に車線変更をして、私たちのマイクロバスのはるか彼方に消えてしまった。一瞬の出来事だったが、スマホを取り出してカメラで後ろから一枚写真に撮っておいた。
運良く、今回も会社名の下に、住所と電話番号が書かれていた。市原市青 18-12。青と1の間に、「80」というステッカーが貼ってある。その間が何文字か消えている。隠れている住所の部分は3〜4文字。帰国してから、千葉県市原市で青のつく町名を探してみることよう。
幸いにも、電話番号は完全に識別できた。0436-22-3091(代)。電話をしてみるかどうか?五年前、わたしの電話を受けた長崎の布団屋さんは、機嫌が悪そうだった。盗まれたバンの生存を確認してもらっても、不愉快なだけだろう。
カメラには収めなかったが、こんな「盗難車もどき」が、ナイロビの街をまだ走っているのだろう。わたしたちが見たのは、たまたまの2台なのだろう。正規に輸入された中古車でも、金がかかるから、塗装はせずに日本の会社名や広告を残したまま走っているケースがほとんどだろう。
5年前に比べて、ナイロビの市内を走っている乗用車はきれいになっている。長崎の布団店や千葉の工具店のような、明らさまな中古車はあまり見かけない。5年間で一人当たりGDPが50パーセント伸びている。その結果なのだろう。
渋滞はもっとひどくなっているが、車は新車が増えている。嬉しいことに、ケニアの乗用車市場ではトヨタが圧倒的に強い。トラックやバスはいすゞの牙城である。携帯はgalaxy。液晶テレビや白物家電はサムソンとLGばかりが目立つのとは、対照的だ。