【お知らせ】『法政オンライン』(読売オンライン)の3月1日号に、「農産物グローバル調達の終焉」を掲載予定

 二週間近く、何度も書きなおしていた原稿が完成した。昨日の夕方、総長室次長の藤野さんにファイル(A4で8頁分)を送った。締め切りを一か月ほど先延ばしにしてもらっていた。テーマが全く自由なので、かえって迷ってしまった。



 当初は、「鎖国のすすめ」というタイトルを想定していた。米国のビジネスモデルの終わりを示唆するテーマだった。しかし、これは、来月号の『新潮45』の主題(東京ディズニーリゾートのCS低下)とダブるので、コンテンツとしては避けることにした。
 代わって取り上げたのが、農産物調達におけるグローバリゼーションの終焉とローカル消費の復権である。このテーマに関しては、すでに3つの論考を発表している。
 1 「生鮮食品調達網の構築:飽食の時代の終焉と食糧危機、食品小売業にとって農業へのアプローチは不可欠に」『食品商業』(2016年1月号)、
 2 「ローカル市場に潜むナチュラル&オーガニックの可能性」『DIAMOND Chain Store』(2015年12月1日号)、および、
 3 「観天望気:米国でも、食はファストからスローへ」『AFCフォーラム』(2016年1月号)
である。

 それぞれが独立した論文(コラム)なのだが、内容が部分的に連動している。言わんとしてしていることは一緒なので、今回はそれらをつなげてみることにした。その結論が、農と食のローカル回帰である。わたしの主張の背後にある論理は、「(経済の)グローバリゼーションは誰のためのものか?」という根本的な問いかけである。しかし、現実の世界は、ローカルへの回帰を促す4つの要因が優勢である。すなわち、
 1 気候変動の影響(農産物の供給不足)
 2 エネルギーコストの上昇(物流費の高騰)
 3 食に対する嗜好の変化(美味しさ、健康、安心・安全)
 4 グローバリゼーションに対する警告(地政学的なリスクと民族主義の台頭)
が世界を支配しつつある。
 この現実認識を持たずして、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の成立が盲目的に信じれられている。一体メディアは、いつの間に批判精神を失ってしまったのか。

 きっと、今度の論考は、いかにも法政大学(世間は、左翼的な大学とみているらしい、、、)の教授のエッセイらしいと思われるだろう。世界の潮流が「グローバル、グローバル」となっているとき、「世界はひとつ、自由貿易万歳などは、完全な幻想だよ。日本人のみなさん、よく考えてみなさい!」と”鎖国”を説いているのである。
 さて、この論文に対する反響はいかに? 先週の『日本農業新聞』(一面コラム)に対する評価はものすごかった。読者が農業者だからではないと思う。皆さん、政府の農業政策がどこかおかしいと感じていたからだろう。
 その続編として、来月の記事(法政オンライン)を読んでいただきたい。