「”日本ブランド”、示すとき」『日経MJ』(12月14日号)が掲載されました

 「訪日経験が変える中国消費(下)」が『日経MJ』(12月14日号)に掲載されています。連載(下)「日本ブランド、示すとき」では、上海に進出しているコンビニ3社(セブンーイレブン、ファミリーマート、ローソン)の訪日客の現地での消費性向をデータで分析しています。



 <連載(上・下)を通しての結論>
 カジュアル衣料品と同様に、コンビニの場合も、日本での消費経験がプラスに作用している。政治的な理由から、日本企業はこれまでは“Made-in-Japan”を前面に出さないようにしてきた。しかし、中国からの訪日客が年間500万人を超えようとしている現在、それとなく「日本」を知らしめるタイミングが来ているように思う。 

 <コンビニ3社の訪日客データの分析>
 日本の3社は、利用率や購入意向、ロイヤルティーなどすべての点で、現地のコンビニ上位3社(聯聯華快客、可的、好德)を圧倒している。だが、カジュアル衣料品(ユニクロ=正答率75.3%)ほどに、コンビニ3社が日本発のブランドであることが現地の消費者には知られていない。
 原産国の正答率は、セブ-ンイレブン60%、ローソン55%、ファミリーマートが50%である。セブン-イレブンは「米国」(19%)と、ローソンは中国(12%)や米国(14%)と誤認されている。「台湾」(25%)の誤認率が高かったファミリーマートの中国事業は、台湾企業との合弁である。
 
 <原産国誤認の影響>
 このことを反映した興味深い結果が得られている。
 第一に、日本でコンビニを利用した経験の有無で、現地の利用率や購入意向に差が出ていることである。利用経験がある消費者のほうが、現地でも日本のコンビニをよく利用している(3社平均で39.5%対29.0%)。そして、購入意向も利用経験者のほうが高い(4.3対4.1)。
 二番目に、日本でのコンビニ利用経験者では、原産国の認知が正しいかどうかで店舗の利用率が異なっている。「最近購入」では約20%の開きがある。ところが、日本での利用経験がない層では逆の結果が得られている。誤認グループのほうが、購入意向(4.0対4.1)とロイヤルティー(40.4%対46.2%)が高い。
 三番目に、ブランドの品質評価でも同じ傾向が見られる。利用経験者は、日本ブランドに高い評価を与える。しかも、原産国を正しく認知しているグループのほうが日本ブランドへの評価が高い。ところが、日本でのコンビニ利用経験がない中国人では、誤認グループのほうで品質と価格の評価が高くなっている。