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ポイント還元の実験店舗視察#4: 四日間の総括
 那覇空港からの帰りは、ANA468便で羽田空港に向かって飛んでいる。台風10号が本土を直撃しそうな気配。離陸1時間後、やや揺れている。今回は沖縄の店舗を4店舗視察した。市内の直営店を除くと、3店舗とも奥さんがインタビューに答えてくれた。まさか、全員が髪結の亭主というわけでもないだろう。笑、それにしても、南国は女性がよく働く。沖縄も、タイやインドネシアと同じで女性が地域を支えている。
 
 視察後の仮説検証と沖縄でのインタビューを整理しておく。最後に、愛媛と沖縄で経験した4日間の総括をしておく。
   
<視察後の仮説検証>
1.AC(アナザーチョイス)の認知率と廃棄率との因果関係
  沖縄でも、ACの認知度と理解度がそれほど高くはなかった。四店舗のうち、2店舗は愛媛と同じ状況。一店舗は効果ありとの報告。残りの一店舗は若干の効果を確認できたとなっている。
  
2.テレビ広告と広報露出との関連
 ACの告知を熱心にしている店舗では、キャンペーンの効果が出ていた。沖縄ではシングルマザー率が高い。7月末に子供の食を支援するいる活動へのローソンの貢献について、テレビニュースが放映された。沖縄の地方TVに露出していたことがきっかけで、アナザーチョイスのシールを気にする顧客が増えたとの報告があった(女性オーナーから)。
 
3.沖縄での寄付習慣
  沖縄では寄付の風土が20年ほど前からあることが、AC効果を生んだのではないのか?。昨日の夕方に、沖縄ローソンで支店長さんたちとの討論での結論だった。夏の高校野球を支援するおにぎりキャンペーンを、ローソンでも数年前から実施してきた。この素地があったことが、沖縄でのACの効果に寄与していた。ということは、他の地域でそのような寄付文化がある場所が、つぎのACの候補地になる。
  
4.新製品のヒットとの相乗効果
  AC単独の効果で売り上げと粗利額が増えたわけではなさそうだった。偶然にも、セブンイレブン対策で「たまごサンドおにぎり」の発売で客数が伸びていた。それとACとの相乗効果と思われる。期間限定キャンペーンとACは相性がよさそうだった。
 
 
<沖縄でのインタビューから>
  往路の機内で描いた改善提案を検証してみたい。
1.仕組みの理解度の低さの解決策
 沖縄でも、ローソンのAC施策が来店客にはあまり理解されていなかった。また、当初のテレビの効果が長続きしていなかった。沖縄でも、TVコマーシャルの有効性には疑問符がついた。事前の予想のように、新聞記事やニュース番組がACの理解に寄与していた。
  わかりにくい制度を理解させるためには、店頭でレシートにポイントを数値で記録するとか、レジでバーコードをスキャンした瞬間に、音声で「寄付をしていただき、ありがとうございます」などの”感謝の印”が必要だと思う。ほとんどのオーナーが、例外なくその点を指摘していた。
     
2.ACの公共性、女性オーナーの声
 沖縄でも、この仕組みとくに寄付行為に対する支持が高かった。フードロス削減に対する公的な役割をローソンが担うことに対して、オーナーは誇りを持って語っていた。女性のオーナーからの支持は沖縄でも同じであった。
   
3.対象カテゴリーの拡張
 愛媛での調査では、フードロスを劇的に減らす(たとえば、50%減とか三分の一)にしようとするならば、デザート、麺類、チルド弁当、惣菜、サラダ、FF、パンなどに広げることが必要であるとの仮説を持って戻った。ところが、沖縄のオーナーたちの中には、「主食に絞ってACを実施すべし」という意見があった。カテゴリーごとに、ACのやり方を変えないければならないので、この指摘も重要な論点ではある。ただし、フードロスの全体金額を減らそうとするには、カテゴリーを拡張する必要は絶対にあるだろう。
     
4.値引きシールの扱い
 沖縄では、三店舗のうち2店舗がベーカリーやデザート類に値引きシールを貼っていた。そして、値引きシールは、フードロスの削減に効果があることはわかっている。例えば、ある女性オーナーの店舗では、16時に30円引きシールを貼り、それでも売れない場合には21時に半額にするなど。彼女のコメントは、シールを貼ることで店内作業は増えるが、「食べられるものを捨てることへの罪悪感を払拭できる」だった。なおかつ、値引きシールが目安になるので「廃棄の作業が楽になる」という意見もあった。愛媛で私たちが考えた提案が、実際に沖縄では実行に移されていた。
あった 
 コンビニビジネスは、値引きをしないことが標準だった。すべての仕組みがそれを前提に回ってきた。粗利の配分方式もその前提で決まっていた。値引きをするのであれば、フードロスの負担も含めて、チェージ率に手を加えるかどうかを再考する必要があるだろい。ACの方式でもポイント還元をする場合も、現実的な対応は同様である。
  
5.AC施策に対する評価とアナザー提案
 子供達の「食の問題」を解決するという沖縄の取り組みは、想定通りに高く評価されていた。ただし、我々の想定とは違い、施策の効果は沖縄の風土に根ざしたものであった。寄付文化と助け合いの風土がある場所での特殊事情かもしれない。なので、全国に同様の地域独自の貢献として展開できるかどうかは、さらに検討を要すると思われる。
  
6.ACの目的と手段の分離
 沖縄のオーナーと沖縄ローソンの幹部社員と討議して確信したことがあった。それは、ACシールによる寄付の行為とフードロスの削減を、手段としては政策的に分離した方が良いという提案である。例えば、ACを使った寄付は期間限定で実施する。フードロスの削減は、例えば、沖縄の二人の女性オーナーや愛媛の土居オーナーが実施していたような値引きシールを貼ることで達成する。
  今回の現地調査でわかったことは、高い店舗粗利を得ているオーナーは、値引きシールをうまく利用してフードロス率を削減していた。あるオーナーの店舗は、全店平均4%前後から約1%低い3%付近に抑えていた。つまり、ACシールの仕組みより、値引きシールの方が、ロス削減には効果的だという結論である。
   
<沖縄での追加検討事項>
1.目的の達成
  AC施策の目的は、フードロス削減とオーナーさんの手取りを増やすことだった。この目的に直接的に貢献する効果は、現時点では限定的だった。しかし、AC施策を続けて欲しいというオーナーの声は大きい。この声を無視することはできない。オーナーさんたちの仕事へのモチベーションに関わるからだ。
 本部がAC施策の継続を考えるならば、本部と加盟店の果実の分配を再考する必要がある。現実的な解決方法は、本部が過重な負担を負わずに、加盟店オーナーの懐(実入り)が膨らむ方法を編み出せるかどうかにかかっている。オーナーの側に目に見えたメリットが提供できなけれは、この施策は継続不可能だろう。
  なお、本部がACの社会貢献の旗を下すことは、絶対にあってはならない。期間限定か、地域を限定するか、取扱商品を限定してでも、続けるべきである。その果実は決して小さくない。むしろ現時点でやめてしまうことのデメリットのほうが大きい。
 
2.値引きシールを貼る方法
  店頭で値引きシールを貼ると、店内作業が増えて煩わしいと考えるオーナーは多くはなかった。それでなくとも作業量が増えることが問題になるのだが、前述したように、オーナーの手取りが増えるならばシール貼りをいやがらないだろうと考える。実際に、値引きシールでロス削減と利益増に成功しているオーナーを「事例研究すべき」である。上手にやれる方法はあるように思う。
 
3.アナザーチョイスの有効度
  ACの取り組みを否定的に見るオーナーはほとんどいなかった。ただし、事前の仮説の通りに、リピート客が多い店と、カードの提示率が高い店舗では、ACの効果が高いことは間違いなかった。また、認知率の高まりでポイント還元はうまくいく可能性を示唆するオーナーもいた。
  結局は、2ヶ月程度では、この制度の浸透は難しい。オーナーとSV、担当者を巻き込んで全地域の総力を挙げた動きがない限り、ACの成功モデルを作ることは困難のように思う。しかし、ローソンがこの取り組みをすることに対する、オーナーからの評価は決して低くはなかった。
| Kosuke Ogawa | 18:17 | - | - | pookmark |

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