【速報】上海カジュアル衣料品調査(2015年)で、ユニクロが圧倒的な優位に立つ

 6年ぶりに上海カジュアル衣料品市場を調査した(文科省科研費)。結果は、認知率、購入率および品質評価において、ユニクロが、現地ブランド(Giordano, Metersbonwe)や欧米ブランド(Zara, H&M)を圧倒していた。2009年と2015年を比較したサマリーを示す。予想通りではあった。



(1)調査方法
 ・どちらも上海地区でのネット調査(インテージ上海)
 ・有効サンプル数(N)は、2009年(=240)、2015年(=396)
 *2009年は、南京でも調査しているが、分析からは除いてある
(2)認知率と購入率
 ・ユニクロのブランド認知率は、代表的なブランド中でトップ
 (2015年で99.2%、2009年は77.1%だった)

 ブランド認知率  2015   2009 
 UNIQLO      99.2%  77.1%
 Metersbonwe    96.0%  98.3%
 Giordano    94.7%  99.6%
 Zara        89.1%  63.3%
 H&M        90.4%  69.2%
 Gap         74.0%  55.4%

 ・ユニクロの購入率は、他ブランドを圧倒している
  いまやもっともポピュラーなブランドになった
  (2015年で84.2%、2009年は70.8%)

 購入経験率      2015    2009 
 UNIQLO           84.2%  70.8%
 Metersbonwe   76.3%  78.0%
 Giordano         74.1%  84.1%
 ZARA              68.3%  52.6%
 H&M               74.3%  59.0%
 Gap                61.4%  46.6%

(3)購入意向(5段階)
 ・「非常に購入したい(=5点)」の比率(トップボックス)がダントツに高い
  (2015年で、購入意向が5点の割合40.2%、2009年は17.3%)
 ・二番手のZARAが33.7%(2009年は、25.7%)
 ・2009年の店頭調査で、いずれUNIQLOがZARAを上回ることを予想できていた。

 購入意向( 非常に購入したい(%))
             2015  2009     
   UNIQLO          40.2%   17.3%
 Metersbonwe    28.9%   12.3%
 Giordano          31.7%   17.2%
 ZARA               33.7%   38.8%
 H&M                32.1%   44.6%
 Gap                 27.6%   12.8%

(4)ブランド原産国正答率
 ・ユニクロが日本のブランドであることは、もっともよく知られている。
 ・正答率は、75.3%(2009年は、58.9%)。
   *皮肉なことなのだが、これは反日暴動事件が貢献しているのかもしれない。
 *「ユニクロが日本ブランドであることはマイナスにならない」(2009年調査報告)
   というわたしの予想があたってしまった。
 ・2番目の正答率は、Metersbonwe(中国本土)で63.7%(2009年、60.6%)
 ・その他は、正答率が軒並みに50%以下である。
   つまり、中国人の消費者からは、「原産国が不明」「国は関係ない」と言っていい。

(5)原産国とカジュアル衣料品生産国に対する好意度(5点満点)
 ・日本に対する好意度は、すべての国の中で最低(改善の兆しあり)だが、
 ・カジュアル衣料品の原産国となると、日本と他の国との間にそれほど大きな差はない
 ・一般的な「国に対する好意度」と特定商品分野での「原産国効果」は無関係

<国・地域の好意度>
                    2015   2009
 中国本土        4.0    4.0
 香港              4.0    4.0
 日本              3.6    3.3
 韓国              3.8    3.1
 スペイン        3.9    3.7
 スウェーデン  4.1    3.8
 アメリカ        3.9    3.7
  
<カジュアル衣料の原産国・地域の好意度>
            2015  2009
 中国本土         3.9   3.5
 香港               4.0   3.7
 日本               3.8   3.5
 韓国               3.9   3.3
 スペイン         3.9   3.5
 スウェーデン   3.9   3.5
 アメリカ         4.0   3.7

(6)品質評価(5点満点、2015年調査)
 ・ユニクロの品質評価で、トップの項目は、8項目(13項目中)
  買いやすい価格である(3.96)
  若年向けである(4.10)  
  常にセールや安売りをしている(3.95)
  店内の居心地が良い(4.05)
  信頼できる(4.08)
  親しみがもてる(4.01)
  大衆的である(4.07)
  他の人にも勧めたい(3.97)
 ・二番手は、ZARAで
  品質が良い(4.05):ユニクロは、4.04
  デザインが多様である(4.07): ユニクロは、3.93
  ファッション性が高い(4.08): ユニクロは、3.94
  独自の個性がある(4.06): ユニクロは、4.00

 <まとめ>
 2009年と比較して、上海カジュアル衣料品市場で、ユニクロは、圧倒的な優位に立っていることがわかる。とくに、所得水準が高い若者層からの支持が圧倒的である。
 また、欧米ブランドと比較すると、ファッション性でやや劣っていると評価されているが、中国・香港・韓国ブランドと比べると、価格面でも圧勝している。