二度ほど、以前にもメルマガを紹介したことがあるフレンチレストラン・マッシュルーム@恵比寿。「レストランマッシュルーム通信Vol.91 ~ 鮎と夏トリュフのムース 解禁」が本日届いた。いつも反応するのはワインではない。食材と季節にまつわる小ネタである。本日は、秋田の山菜に注目。
今回のメルマガは、ワインで話ははじまっているが、わたしの目を引いたのは、おすすめの秋田の山菜コーナーだった。そこから引用していく。なぜなら、昭和天皇の、有名な雑草談話が入っていたから。でも、鮎もいいな。
~ お奨め料理のこと ~
まだまだ秋田の極上山菜入荷中。
ハリギリ、シオデ、アイコなど。中でも初めて出会ったタムシバは、モクレン科の白い花の蕾。色気のあるカモミールのような香りが口の中に広がる。
1)解禁! 「鮎と夏トリュフのムース、白桃またはメロンのミント和えと共に。
軽く炙った鮎のフィレ、バジルソースを添えて」
果たして今シーズン、あなたは何度これを食べられるでしょうか。
あの、鼻に抜けるトリュフと鮎、ワタの苦味が融合した何とも言えない香り、白桃やメロンとのマリアージュ。感動を今年も。
2)「フルーツトマトのガスパチョ、甘海老のタルタルと共に」
お客様に「おしゃれなガスパチョ」と名前を変えた方がいいと言われた。何故ならトマトの赤を想像していると、あれ?と思うからだ。
フルーツトマトと赤いパプリカをピュレにし、布で一晩自然に落ちる雫を取る。綺麗な黄金色のエキスを半分グラニテ風にしたスープ。ハーブ風味の甘海老のねっとりした甘さとのコンビネーション。
3)「蛤とキノコを詰めた森林鶏のクロケット、行者ニンニク風味」
蛤と鶏肉、ニンニク風味の山菜の意外な組み合せ。カリカリの衣を割ると、中からとろ~りと具が流れてくる。ソースは蛤のダシとトマトを使う。あっさりとしながら旨味あり。付け合せの黄ニラとの相性も抜群。
~ ワインのこと ~
2014年の一年間、ブルゴーニュワインの日本への輸出量は826万2千本、金額は9813万ユーロで、数量、金額ともに世界第3位の市場であった。およそ137億円。この20年で2番目の記録となった。
日本向けの輸出量の色別の内訳は、白53%、赤43%、クレマン・ド・ブルゴーニュ4%であった。金額では赤ワインが55%を占める。
尚、輸出量、金額共に1位と2位はイギリスとアメリカが占める。
「SOPEXA JAPON発行メールマガジンhttp://www.sopexa-japon.com/ 」
「ブルゴーニュに忠実な日本市場」というタイトルで入ってきたこの情報に、なるほど、ブルゴーニュワイン好きはこんなにも沢山日本にいるんだと感心する。そして、今までに出会ったブルゴーニュの生産者の笑顔と分厚い手を想い出すと、とても嬉しくなる。
~ ブルゴーニュ大好きの私が選んだ新入荷 ~
1)ジュヴレシャンベルタン ヴィエイユ・ヴィーニュ 10
フィリップ・シャルロパン・パリゾ
ブルゴーニュのスター的存在。
76年に20代にして父から1.8haの畑を相続して以来、土地の高いブルゴーニュにおいて自力で畑を広げ、現在は25haを所有。カーリーヘアがトレードマークの個性派、情熱的、極めて真面目、典型的な天才肌。
2) シャサーニュ モンラッシェ クロ デュ シャトー ルージュ 07
シャトー ド ラ マルトロワ
シャトーはその単独所有畑クロ デュ シャトーやモルジョなどの一級畑を見下ろす斜面に位置する洋館。現当主のジャン・ピエール・コルニュはモダンアートの愛好家。シャサーニュ村の中で異彩を放つが、ワインはクラシック。
シャサーニュならではのタンニンはよく熟していて旨みがあり、赤い果実の風味とのバランスがよい。看板畑のクロ デュ シャトーについて彼曰く「シャサーニュの王道ではなく、エレガントで軽やか、シャンボール的」。
「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない。」
とは、昭和天皇の有名な言葉。
以前、ブルゴーニュ在住のお客様にも、この文章の入った小説を教えてもらったことがあり、それからなるべく小さな草花も名前を知ろうと心がけている。
田舎に帰って田植えの終わった土手を歩く。当然住民より蛙の方が多い。今年はキウイの花をベッドにしていた。
巨大な蛇の抜け殻にギョッとしたり、四葉のクローバーを探したりしながら歩く。
子供の頃から慣れ親しんでいた花の名前が思い出せない。農業大好きな甥に問う。
「ねえ、この花なんて名前だっけ?」
「雑草。」
「・・・・。」
答えは「ハルジオン」だった。(貧乏草と呼ばれるなんて、あまりにひどい。)
庭や土手に咲く花を摘んで東京まで持ち帰る。花代が浮くから、というリアルな理由だ
けではない。
スーシェフも春日部から「ミヤコワスレ(都忘れ)」を持って来た。
私が持ち帰った花束の一つに「ヒトリムスメ(一人娘)」があったが、その名の通り、一つの茎に蕾が沢山付いているのに、一つの花が咲き終わってからでないと、次が咲かない。見事に行儀良く順番を守る姿は、生命のリレーをしているようで、少し切なくなる。
川端康成の名言をふと思い出す。
「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。」
ドクダミの白い花を見る度、マッシュルームを思い出して足を運んで下さる方がいるならば、夏のお客様が少し増えるかもしれない。
マッシュルーム http://www.mush.jp/