「有機JAS」の認証マークの認知率が50%を超えた理由

 いまわたしの研究室では、「有機」(オーガニック)の表示について調査をしている。食品や化粧品など、小売りの店頭に並んでいる商品で、「有機野菜を使用しています」や「オーガニック成分を含んでいます」など、紛らわしい表示が横行しているからだ。



 「優良誤認」と呼ばれている表示の実態を、都内の小売店の現場でフィールド調査を実施している。小川研究室の青木恭子さんが調べてくれた調査の一部(11月~12月)は、農水省が主催する「環境保全型農業推進委員会」の懇談会(12月スタート)で発表するつもりでいる。
 わたしたちが有機表示の調査を始めようと思ったのは、JFMA(日本フローラルマーケティング協会)が毎年実施している「インターネット調査」(2014年)がきっかけだった。この調査は、花に関する意識と購買行動を調べるのが主体なのだが、同時に、さまざまな認証マークの認知率に関しても継続的な調査を実施している。その調査の中で、2013年から2014年にかけて、「有機JAS」の認証マークの認知率が急上昇した。
 実は、「有機JAS」の認知率は、2013年から上昇をはじめていた。2012年に41.8%だったのが、昨年(2013年)は44.6%に認知率がアップした。そして、今年(2014年)は、調査以来はじめて、有機JASの認知率が50%を超えた(51.4%)。有機の購入率がほとんど変化していないのに(23%前後)、しかも、「(有機JASの)意味が分かる」人がそれほど増えていないのに(10%前後)、認知率だけが2年間で10%ほどアップしていた。わたしたちが関わっている「MPS」などの認知率はほとんど変化していない。「有機JAS」の認証マークだけが、認知率が急上昇しているのである。

 参考:「Q14:環境ラベルの認知推移(有機JAS)」『花に関する調査(2014)』(JFMA)

  Q14 単一回答
 調査年 知らない 見た事がある 意味が分かる 認知率 購入率/全体
 2014年      48.7        41.0            10.4             51.4       22.9
 2013年      55.4        34.2            10.4             44.6       23.1
 2012年      58.3        31.0            10.8             41.8       21.3
 2011年      58.1        31.9            10.0             41.9       21.0
 2010年      57.7        31.5            10.8             42.3       21.9
 2009年      60.0        27.5            12.5             40.0
 2008年      51.9        36.7            11.3             48.0

 この現象に対するわたしの仮説は、つぎのようなものである。
 小売りの店頭で、「有機(オーガニック)」という表現が目立つようになったのは、商品のパッケージやPOP(棚の表示)で、「有機」の表示が増えているからだろう。その場合の「有機」とは、「有機JAS」(有機認証)ではなく、商品に「有機(オーガニック)」が含まれていたり(「成分表示」)、ネーミングに有機の含有を示唆するような文言が入っているもの(「示唆表示」)のいずれかの場合である。
 その実態が、店頭調査で明らかになった。とくに調味料(ソース、味噌、ケチャップなど)と化粧品分野で、「オーガニックもどき」(疑似有機)の表示が増えている。調査結果は、「パワーポイント・ファイル」(農水省研究会用)と「エクセルシート」(43事例を掲載)で入手できる(小川研究室まで)。