ベトナム・マレーシア旅行(#7):マレーシアの花産業、9年後の再訪問

 キャメロンハイランドで、三ヶ所の菊の農園を視察した。9年ぶりになる。「Day Watch(2005.07.19)」に掲載された「マレーシア訪問記」で紹介した2社のうち、B社はモーガンファームである。このブログでは、同社の9年前といまを比較してみる。



(1)出荷本数
 9年前のモーガンファームは、2001年に完成したパッキングハウスで花束を加工していた。2006年に現在の新しいシステムが完成。日本向けの栽培出荷量がちょうど倍になっている。
 当時の出荷本数は、日本向けで約2千万本。わたしの予測は、「中期的には、1社で年間6~7千万本の供給力を持つことになりそうである」(2005年ブログ)だった。
 実際は、2013年に日本向けが3600万本、オーストラリア向けが700万本に倍増している。販売単価を60円として、売上25億円はほぼ予想の通りになっていた(私の予測は、10年後に20~30億円)。

(2)栽培面積
 当時は、自営農場が20ha、委託20ha、合計で40ha。9年後のいまは、合計で60ha。自営と委託が半分ずつで、それはいまでも変わっていない。
 委託農家に対する契約形態に変化が見られる。当時は30軒あった取引農家を9つに絞っている。しかも、後に述べるが、社内の事前検疫で、虫が出た場合、三度目で取引停止になる。警告 → イエローカード → レッドカード → 取引停止
 集荷卸生産者で、ハイクオリティを維持するために、管理を厳格にしている。モーガンは買い取りなはずなので、立場的に強い位置にある。

(3)選花、自主事前検疫
 荷受けルームで、抜き取り検査をする。自社で事前検疫をするためだ。7人がこの業務に携わっている。若い人で目がよいことが条件。アザミウマ、ハモグリバエなどが見つかったら、即廃棄に回される。裁断してコンポストエリアに回される。
 廃棄率は、2~3%。通常の検疫では、燻蒸(クンジョウ)に回される比率が、10~15%と言われている。燻蒸のロスが極端に小さい。

(4)花束加工、グレーディング
 等級は、A1、A2、A3の三種類。バケツの色で区別している。他社でも同じサイズのバケツを見たが、圧倒的にバケツが清潔で、加工もシステマチックだ。
 ちなみに、A1(75センチ)は、バケツの色がグリーンで、箱詰めの単位が100本。A2(70センチ)はブルーで160本入り。A3は赤色ないしは黄色、本数は? ほとんどがグリーンとブルー。A1が700万本(約20%)。
 感心したのは、花束の加工で出た茎や葉の残骸は、コンポストエリアに自動搬送されること。廃棄物はほとんど出さない。

(5)出荷スケジュール
 最初に戻るが、荷受けされた花は予冷され、30分で4度に。パッキングエリアは、13~15度。保管庫は11度に。即日、空港に出荷。
 採花(D1)の翌日(D2)の午後4時には、クアラルンプール空港に到着。夜間のフライトで日本まで運ばれる。(D3)の午前中にはセリが終わり、配送になる。もしかすると、切りだめをしておく農協系の出荷組合より、早い到着になっているかも。
 パッキングと輸送の加工ロジスティックスコストは、かつては1本あたり20~25円だった。変わってはいないだろう。9年間での大きな変化は、コールドチェーンが完璧にできていること。日保ち保証がもっと普及すれば、国内産は海外産に完全に太刀打ちできなくなる。コスト以前の問題だ。

(6)その他
 コンポスト化の技術は、日本から来ていた。この会社からは、廃棄物が全く出ない。日本の農家も見習うべきだろう。だから、農場もパッキングセンターもかなりきれいだった。

 つづきは、全体の議論で。いまから、お別れ会を、チンミン社長と近くのレストランで。