発見!仮説通りに、顧客満足度(CS)が利益率の先行指標だった(スーパー16社のデータ分析から)

 予想通りの結果になった。スーパー16社の2012年度データ(各社決算数値とJCSI調査2011-2012)から、CSと経常利益率の相関を分析してみた。同じ年度(12年度のCS)の調査データ間での相関は0.68。ライムラグ(11年度のCS)データと利益率の相関は0.71だった。



 CSと経常利益率の散布を描いてみると、そのことが明々白々である。前年度のCS(約1年半前)が翌年度決算(の経常)利益率の高さを説明している。利益率の変化がCSの変化にどの程度寄与するのかは、これからの分析課題である。しかし、このデータを見る限りでは、おそらくは想定通りの結果になるだろう。

 以下に、総合スーパー+食品スーパーの生データ(二年分のCS指標)を示すことにする。顧客満足度(CS)そのものの、年度を超えた相関は0.85である。考えてみれば、0.85は適度な変化率である。ランダムからはほど遠いが、環境の変動により適当に変化はしている。
 なお、飲食業と小売業全般(衣料品・住関連小売業)の分析が次の目標ではある。たぶん、わたしの仮説は正しいだろう。CSの年次変化が経常利益率の動きを予測できれば、JCSIの調査は、もっと大きな意味を持ってくるだろう。世の中の経営診断にも役に立ってくる。
 この先がさらに、自分でも楽しみである。この調査に携わってきた意味がある。

<総合スーパー、食品スーパー16社>    
 CS(顧客満足度:100点満点)        経常利益率(%) 
会社名 2012年調査   2011年調査  2012年度決算数値 
アピタ     63.3      66.6     3.2  *(ユニーの算数値)
イオン     67.1      69.9     3.7 
イズミ     67.5      67.7     5.1 
イズミヤ    64.7      66.6     0.7 
イトーヨーカドー 66.1     69.1     1.1  *(単体の数値)
ダイエー    63.0      61.8     0.4 
オークワ          63.1              66.3            1.9 
カスミ     67.2      67.4     2.9 
バロー     66.6      68.0     3.9 
ベイシア    71.9      73.0       4.8 
マックスバリュ 66.8              66.6             1.6  *(6社の平均値)
マルエツ    62.0      63.1      0.5 
ヤオコー    67.7      68.7      4.4 
ヨークベニマル 65.9      67.7      3.8 
ライフ     65.6      65.8      1.4 
ラルズ     65.0      68.0      3.3 *(アークスのデータ) 

相関係数    
CS前年比較  CSと利益率(ラグつき) CSと利益率(同年度)
  0.85     0.71           0.68