衰退伝統産業の”おとうふや”で、売上高1000億円をめざす「相模屋食料」(鳥越社長)

 第3工場の製造ライン(群馬県前橋市)を「セブンプレミア」の”お豆腐”が流れている。日本最大の豆腐生産工場(5か所)の製造能力は日量100万丁(90トン)。「日経MJヒット塾」のチームと昨日、1月22日のセミナー打ち合わせのために鳥越淳司社長を訪問。生産現場を見学させていただいた。

 鳥越社長は京都出身。早稲田大学商学部を卒業して、新卒で就職したのが雪印乳業。同社が異物混入事件を起こした時は、営業マンとして、量販店の店頭で頭を下げて回ったという。北関東地区の量販店(地元スーパーのフレッセイなど)の担当営業マンから、10年前に「相模屋食料」の3代目(次期)経営者として迎えられる。
 伝統産業の常識をくつがえす経営で、8年間で同社の売り上げを約5倍に伸ばした。32億円(2004年)から142億円(2012年)。その秘密は、既存のプレイヤー(中小規模のおとうふやさん)たちが、改革不可能と思っていた「ど真ん中の市場」をしっかりと掴み取るマーケティングと商品開発戦略である。

 相模屋食料(鳥越社長)は、”ざくとうふ”(ガンダムをモチーフにした商品)の発売で有名になった。しかし、事業が急浮揚できた本命商品は、伝統的な「絹ごし豆腐」と「木綿とうふ」の製造とマーケティングの革新である。
 ちなみに、豆腐の市場規模は約6000億円で、20年間で漸減傾向にあるそうだ。だいたいラーメン、ハンバーガー、牛丼の市場に匹敵する規模だ。小さくはないが、全体が伸びていないのも共通である。
 その詳細は、「日経MJヒット塾」の2014年1月連載にて紹介する。伝統の中のイノベーション。今後の展開も楽しみだ。