【参考資料】 「消費税特別措置法審議」での意見陳述メモ(2013年4月24日)

 委員会での意見陳述はインターネット上でライブ配信され、一般に公開されている。なので、24日の意見陳述の際、議員に配布されたレジュメをブログにアップしておく。詳細な議事録は、いずれ衆議院のサイトに転載されるはずである。陳述メモをそのまま転載しておく。

衆議院経済産業委員会(参考人、意見陳述メモ)          2013年4月24日
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案」(審議)            法政大学経営大学院教授 小川孔輔
                              
 専門領域: マーケティング(景表法)、小売流通論、サービス産業政策
*一般社団法人「日本フローラルマーケティング協会」(創業者・会長)

1 キー概念:例示(花束の値段)
・心理的な価格づけ(大台効果、価格弾力性): 298円 ~ 300円 ~ 315円
・分離価格(本体と付帯サービス): 本体3000円 + ラッピング代 + 税

2 価格転嫁確保のための法的規制の必要性とその是非
(1)基本的な立場
・特殊なケースを除いて、「自由な商取引行為」に対する過度な規制は慎重に
ただし、「消費税を払わないような印象を与える販売・表示行為」は例外と考える
(2)結論
・規制や是正措置が有効なのは、短期間で経過的なケース → 時限立法が妥当
・供給チェーン上での価格転嫁は一様に行われているわけではない
   → 業種や商習慣にもよるので、消費者の反応を見て規制のガイドラインの作成を
 ・国内事情だけでなく、グローバルな視点からも立法・規制の運営を望む

3 消費税の表示と価格転嫁の実態
(1) 外税/内税論議(「本体価格+税」の表示を消費者はどう見ているか?)
 ・欧州型(ラテン系)、米国型(ゲルマン系) → 日本は?「混合型」
(2)中小企業や供給業者の保護を優先するあまり、日本企業が国際競争力を失う恐れは?
・海外調達が主流の業種もある → カジュアル衣料品、ホームセンターなど
(3)転嫁拒否等の行為に対する処理スキーム
・独禁法の運用(迅速な対応)の限界を克服するという狙いは理解できる

4 「消費税還元セール」の禁止など、増税時の消費刺激策への規制
(1)どの行為が可で、何が不可なのか? グレーゾーンを無くしておく
   → 企業行動を事前にシミュレーションする必要性あり(抜け駆けの事前防止)
(2) 過度の規制は、必ずしも日本経済全体にはプラスにならないかもしれない

5 総額表示義務の特例
 ・消費者の誤認に配慮する必要がある(複数の表示法が併存する問題)
 → 周知徹底されていれば問題はなく、表示の仕方は自然に淘汰がなされる