イオンリテールの専門店をミニ観察ツアー(#1:フラワーショップ)

 イオンが専門店業態を展開しはじめている。サイクルショップとリカーショップに、昨年暮れから花店が加わった。昨日の夕方に時間ができた。高円寺の2店舗(フラワーとリカー)からはじめて、南阿佐ヶ谷と下北沢のリカーショップまでミニ観察ツアーを敢行した。



 このミニ視察ツアーは、中央線と井の頭線経由での移動時間を入れて、夕方5時半から8時までの約2時間半。お酒のエキスパートと一緒だった。専門知識のないわたしひとりの視点では、まったく心もとないから同行をお願いした。(このコラムは、フラワーショップについて)
 
 高円寺純情商店の中にある「ルポゼ・フルール」(花店) から視察をはじめた。こちらは、売り場面積が7坪程度。ごく小さな、街でよく見かけるおしゃれな花屋さんである。バックヤードはよく見えないが、3坪ほど?
 夕刻時。ライトアップされていて、店のファザードはよく目だっている。量販店のイオンが運営している花屋さんだとは、説明を聞かないと誰にもわからないだろう。切り花や鉢物の値段は、イオンが扱うにしてはやや高めの設定である。アレンジやブーケの中心価格帯が1000円前後。スペシャルなコンセプトの花があるわけではない。すべてが平均点だ。
 店員さんがふたり働いている。ユニフォームなども、普通の花やさんのものである。日販は5~8万円程度。物日を入れて、年商は3600万円くらいだろう。都市部の花屋さんの標準であろう。

 となると、イオンが路面で花店をチェーン展開する意味がよくわからなくなる。リカーショップの観察結果で述べるが、垂直統合(調達からの直取引)をしてSPA型の業態をめざすには、「トップバリュ」のような自社PB商品をもつ必要がある。花店にはそれがないから、スケールメリットを出すことはできない。
 価格訴求店でないとなると、コンセプトで目新しいものを提示できなければならない。ところが、いまのところはそれも見当たらない。実に中途半端な店づくりになっているのである。このモデル店舗からは、イオンの花店チェーンの将来像が見えてこない。
 たとえば、高円寺駅北口の隣の商店街には、100円均一店の「オランダ屋」さんがある。ここは、価格と品質のバランスで、買いやすい店になっている。そうしたエッジが効いた店になっているわけでもない。

 ちなみに、店頭には、「イングリッシュローズ」と書いたピンクのバラが置いてあった。顔を寄せると香りがかなり良い。わたしが命名した「M・ヴィンテージコーラル」(大分メルヘンローズ)に似ていたので、店員さんに品種と仕入れ先を訪ねてみた。
 大田花きならば、コーラルの可能性が高い。「イブピアッチェの系列かな、、、」(男性の店員さん)。”手書きの伝票”をめくっていたが、結局は仕入れ先も品種名もわからずじまい。
 専門店として展開するつもりならば、もっと商品知識について本部がトレーニングすべきだろう。サービスに関しても、かなりきびしい評価になる。
 そういえば、商品の調達はどのように考えているのだろう。国内産地との連携のあとは、黒板やPOPに一部みられるが、5~7坪程度の売り場では、それも限界がある。松島専務(JFMA)も観察しているはずなので、率直なところの意見を聞いてみたい。