「おもてなし経営企業」(経産省)の選考委員として面接官になります

 経済産業省が本年度(2012年度)から、優れたホスピタリティを提供している企業(「おもてなし経営企業」)を表彰する制度をはじめている。その選考委員として面接を担当することになった。早朝から、事前に提出されている資料を見ている。



 公表されている「9つのポイント」(後述)を軸に、担当者に対して一次面接を行う。インタビューの時間は、60分~90分である。大学院の入試などで、20年以上も面接を担当している。その時間(15分程度)と比較すると、今回の選考では、ずいぶんと長い時間をかけるものだと思っている。
 事前に提出された資料をみると、その企業の「おもてなし」の度合いがだいたいわかるものだ。そんなに時間は必要ではないように思うのだが、はじめての仕事なので、実際にやってみてどんなものだろうか?ときどき、予想と違うことが起こるから、この手の仕事はおもしろい。

 書類選考と面接を通った企業は、二次試験に進むことになる。その際には、現地調査で面接項目を検証するためのヒアリング調査がある。実地調査にも参加を依頼されているのだが、1月~2月にかけては、申し訳ないくらいに大学教授たちは忙しい。
 小川研究室についていえば、6人の大学院生(修士4+博士2)のそれぞれが、自分の論文やプロジェクトに取り組んでいる。また、卒業プロジェクトを実施中の24人の学部生を抱えている。
 自分の仕事(JCSIや執筆、翻訳など)もいまは超多忙である。マラソンの練習では”足”を抜くわけにはいかない。残念ながら、現地に行く時間が取れない状態にある。「おもてなし企業経営」の運営担当者の方には、たいへん申し訳なく思っている。19日からは、欧州ツアー(JFMA視察旅行)もある。

 言い訳が多くなってしまったが、話を本題の「おもてなし経営」に戻す。
 優れた「おもてなし経営」(ホスピタリティ経営?)を実践している企業をチェックするために、つぎのポイントに絞ってヒアリングを行う。一次選考で、各社が自社の「おもてなし経営」を自己評価している。「0点」~「3点」で回答であるが、いま、その書類を見ている。
 (以下で*印は、小川の解釈コメント)。

 <チェック項目>

(1)理念浸透 (*おもてなしの理念)
 社是や経営理念を浸透させるために、どのような取り組みを行っていますか?

(2)意欲向上 (*ES:従業員満足)
 従業員の意欲や満足度を向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?
(3)マニュアル・教育 (*人材育成)
 「おもてなし経営」を実践する人材を育成するために、どのようなマニュアルや教育制度を整備していますか?

(4)おもてなし教育 (*CS:顧客感動の実現) 
 偶発的・想定外の状況でマニュアルを超えたおもてなしを実践するために、どのような教育をしていますか?
(5)お客様の声 (*顧客情報のフィードバック)
 お客様の声・情報・ニーズを収集・蓄積し、活用するために、どのような取り組みを行っていますか?
(6)クレーム対応
 クレームを組織的に対応して解決し、サービス品質を改良するために、どのような取り組みを行っていますか?

(7)効率・改善 (*サービス・オペレーション)
 業務効率を高めたり、業務改善を促進するために、どのような取り組みを行っていますか?
(8)お客様と共創 (*顧客との共同価値生産)
 お客様にサービスを提供する過程の中で、体験、共感、学習の場をどのように提供していますか?
(9)地域・社会 (*CSR)
 地域社会と深くか関わりあうために、どのような取り組みを行っていますか?

 以上のデータに加えて、企業経営の業績と従業員の離職率に関する資料を提供してもらっている。

 さて、この11項目で、「おもてなし経営企業」が、適切にスクリーニングできるだろうか?わたし自身が面接を通して、この問いに答えてみたいと思う。