「ゼッケン」のコレクションを、本日、お洗濯しました!

 ランナーの皆さんは、大会事務局からいただくゼッケンを、走ったあとはどのように処分しているのだろうか?わたしは、1996年ごろからマラソンを走り始めたのだが、一昨年までは、使い終わったあとのゼッケンはゴミとして捨てていた。方針を変えたのは、2010年からである。



 年間で15~20回ほど、公式マラソン大会に出場している。2009年からは、”ラストスパート”をかけて、全国47都道府県を制覇するために、年間20回以上のレースに参加しはじめた。とくに今年は、年間50回近くの公式大会出場を目論んでいる。
 ナンバー入りのゼッケンは、大会本部から胸と背中のペアで二枚配られる。だから、3年ほどで100枚近くのゼッケンを集めたことになる。
 なぜゼッケンを捨てないで、保管するようになったのか?それは、万が一、わたしが病気や事故で亡くなった場合のことを考えてのことである。別れのお棺の中に、わがしが走った記憶を思い起こさせる「ゼッケン」を入れてもらいたいと思ったからである。
 このごろ、知り合いが亡くなることが多くなった。自分も、遠からずそのような別れに面することになるだろう。そう思い立ったので、それまではゴミ箱に捨てていたゼッケンを、記録証と一緒に箱に保管することにしたのである。

 そのことを知ってか知らずにか、大学院のゼミ生の石川知穂さんが、ある日、「おがわ先生、マラソンのゼッケン、何枚か貸してもらえませんか」とリクエストしてきた。授業のプレゼンに使うためらしい。
 研究室には置いてないので、翌日、わが書斎にストックしてある、見た目キレイめのゼッケンを用意してあげた。なんに使うのかは。その時は詳しくたずねなかったのだが。
 プレゼンが終わって、5枚ほどのゼッケンを返却にきた。わたしとしては、意外なことがわかった。「先生、レースを走ったあと、ゼッケンは洗濯してますか?」
 洗濯などするわけがない。もともとゴミ箱行きのゼッケンを、自分の葬式用に保管していただけなのだ。石川さんが続けて言うには、「(部屋にゼッケンを)置いといたら、すごいことになってるんです」
 わたしが知らないだけだったらしい。長距離ランナーの濃い汗がしみたゼッケンは、男の汗の匂いを部屋中に蒸散させていたとのこと。たしかに、夏冬にかかわらず、わたしはものすごい汗っかきである。自分の体臭はわからないものだ。他人の奥さんである女性からすれば、汗のしみたゼッケンから蒸発している匂いは強烈だったのだ。
 
 というわけで、自分が保管していたすべてのゼッケンを、本日、お洗濯したというわけである。棺桶に入れるのだから、わたしの汗の匂いが残っていてもちょうどよくくらいだと思ったりもしてみた。が、自分の部屋もそのような、「むんむん状態」だとすれば、他人が入ってきた時にも汗臭いのだろうから。
 走り終わってランシャツから外されたゼッケンには、留め金がついている。紙そのものも、一部はばらばらに分解しやすかったりする。洗濯機にかけるわけにもいかず、手洗いで約50~60枚。50回の大会分は、胸につけるほうの一枚だけを残してきた。約3年で、そのくらいの枚数だった。
 石川さん、ご指摘ありがとう。なんとなく、自分の書斎兼寝室の空気が、爽やかめに感じる今日一日でした。たぶん今晩は、気持ちよく熟睡できそうだ。なんとも、笑える日でした。