山陰本線各駅停車の旅、下関から維新の町、東萩へ

 鈍行列車で、下関から萩に向かっている。城下町萩ハーフを走るためだ。山陰本線は、本線なのに単線である。九州でも、豊肥本線などは、電車がすれ違うために、待避駅がある。夏に乗った、ゆふいんの森号も、単線だった。なつかしい。


下関駅の駅舎は、さびれていた。40年前にタイムスリップした気分になる。中国本土の地方都市にあるような、天井が高い、だだっ広いタイル張りのトイレ。たぶん換気設備が旧式なせいで、駅ビルには飲食店のにおいが充満している。でも、人が少ないので、どこか活気に欠けている。

 下関から東萩までは、乗り換えが2回。小串、長門市で二回乗り換える。14時56分に下関発で、18時03分にようやく東萩に着く。北九州空港にベースがあるスターフライヤーの接続サービスを請け負っている1000円タクシーの運転手さんから聞いた話では、同じ距離を車で走れば、1時間半で萩には着くそうだ。

 羽田から北九州空港まで、はじめて全身が黒い機体の飛行機に乗った。スターフライヤーの米原社長に、生産性本部で講演をお願いした関係である。必ず試してみないと気が済まない。キャラクターに忍者を採用しているのが滑稽である。黒装束だからであろう。(笑)スターフライヤーは、再来週の21日に株式が公開される。JCSIで、二年間、顧客満足度ナンバーワンの企業である。でも、日本でいちばんちいさなエアライン。3年前にようやく黒字に転換した。そして、日本で申請から最短期間でIPOすることになった。

 電車は、山陰本線の海岸線沿いを走り始めた。天気が悪いせいもあって、空がどんよりと暗い。日本中で、自殺率がいちばん高いのが秋田県だ。生まれ故郷の空は、冬場は日照が不足する。だから、鬱になった老人が自殺する確率が高いのだそうだ。島根や鳥取も自殺率が高かったはずだ。きっと山口県でも、日本海側に住んでいるひとは、鬱病になりやすだろう。

 ゆらりゆらゆら。二両編成の電車は、乗り心地がいまいちだ。SLが走っている大井川鉄道なみだ。スプリングがへたっているからだろう。でも、むかしの電車は、みんなこんなものだったような気がする。

 まだ、乗り換えは一回目。戦艦の名前で有名な、長門市で、二回目の乗り換えをする。次の電車を26分待って、そこからさらに1時間ばかり、剥き出しの岩が突き出ている、暗い海の端を電車は滑っていく。