『ブランド戦略の実際』(初版1994年)の改訂作業はじまる

 『ブランド戦略の実際』の改訂作業に、遅まきながら着手している。一昨年来、日本経済新聞聞社から要請があった事案である。1994年の初版刊行以来、13刷累計で3万5千部が売れている本だ。ただし、15年が経過して事例としてとりあげたブランドが古くなっいる。


本の構成から丸ごとを変えてしまおうと思っていたが、それは別の本で実現することにした。その構成変更部分のアイデアは、法政大学大学院で実施した「ブランドマネジメント論(講義)」にしたがって、書き下ろすつもりでいる。
 そうではなくて、今回は、初版の骨組みを残しながら、(2)古くなったブランドや事例を入れ替える作業、(2)後半部の「サービスのブランディング」を書き換える作業、(3)最終章「企業経営とブランド」を全面的に、他のテーマ(ネットブランドや中小企業ブランド)に置き換えることに限定する。決断は、先週になってから下した。

  「マイナーチェンジ」にすることしたのは、つぎのような理由による。
 ①全文を読みかえてしてみたが、枠組みはいまでも古色蒼然としてはいない、
 ②ブランド論の理論展開に、2000年代には大きな革新がなかった、
 ③ブランドと事例の入れ替えで、読者に対しては十分に対応ができる、
 ④文庫本を全面改訂するとなると、ボリュームが増えすぎる、
 ⑤その場合は、別のモノグラフとして書き下したほうがよい、

 もうひとつ(6番目)、決定的に重要なのは、大地震と原発騒ぎで、学部の授業が一ヶ月スタートが遅れてしまったことである。わたしのスケジュールがまるまる空白になってしまったことである。二週間あれば、マイナーな改訂ができると踏んだ。
 3月28日(実際は本日)から、作業をはじめることにした。10日間、完全に他の仕事をブロックした。
 初版のワード文書が残っていないので、原文を復元する作業からはじめることになる。初版は、4週間で書いたので、改訂版は口述筆記で2週間で完成を予定している。皆さんがご存知のように、いったんはじまるとなると、わたしも青木もしごとはかなり早いほうだ。
 日経新聞の担当者、堀口さんを喜ばせることになりそうだ。しかし、せっかく急いで改訂したのに、印刷の用紙が確保できない、とならないように。
 翻訳の方は、4月中には印刷用紙が確保できないようだ。5月にずれ込むらしい。原稿は校了している。新装版の刊行は、早くても7月にはなるだろう。