特別祈願、特別待遇、お土産つき@佐野厄除け大師

 佐野厄除け大師に、お参りに行った。家族5人の厄除けのお札をもらって、全員の安全を祈願する。毎年恒例の年中行事である。今年は、わたしが前厄で、長女が本厄である。思い切って、特別祈願を申し出た。大切な出版を控えている。今年は勝負の年である。


通常の厄払いや方位除けは、一律5千円である。これでも十分に高いと思うが、奮発して大きな熊手をもらうには、すこし気張って1万円を払えばよい。
 佐野厄除け大師の境内に到着したときは、「1万円を奮発してやるぞ!」と思っていた。ところが、祈願の種類と本人たち住所(5人分)を記入するために、受付に並んでいるうち、つい気持ちが大きくなってしまった。
 膨らんだ気持ちにもってきて、「厄除け特別祈願、3万円也」のボードの文字が目がとまった。「どうせなら、もっと奮発するか!」と内なる声が呼びかけてくる。去年は、いろいろ儲けさせてもらったな。そんなわけで、即刻に、当初予定していた金額の「1万円」を、思いっきりの「3万円に書き換えた。
 受付で立ってる巫女さんのはかま姿が初々しくもあった。アルバイトの女子大生を喜ばせてやりたい気持ちもあった。あの子は、佐野女子短大の学生とか(笑い)。すでに、昼の妄想がはじまっている。いや、
 きっと地元佐野の女子高生だろうな。紅白歌合戦に出ていた「いきものがかり」のボーカルの女の子に似ていた。名前はわからないが、小川研究室で元秘書の本村ちなみ(@愛知県岡崎市)に似ている。

 とくに期待はしていなかったのだが、特別祈願のお札は、ふつうの5千円の札とはちがっていた。立派である。もっとちがうのは、ご祈願のときの待遇である。赤丸印のついた記入札を、本堂の入り口で差し出したら、一般の人が進む廊下とは、逆の方に連れて行かれた。頭がつるつるの若いお坊さんが引率をしてくれる。
 導かれた先は、坊さんが護摩を焚く火の目の前である。「どうぞ、おかけください」と、大きな座布団が用意された。赤や金色の刺繍が入った立派な布団である。
 その上に腰掛けるように、ていねいに促された。この位置からだと、護摩の目の前なので、ご祈祷の様子が、手に取るようにわかる。小僧さんたちが、あまり読経になれていなくて、お経を読んでいるふりをしているのもわかった。「ちゃんと働きなさいね。教育がなってないぞ」と教育者の目線での感想。
 いちばんびっくりしたのは、護摩を焚く火の中に、お茶碗に入ったご飯やお餅を、坊さんが投げ入れていく所作だった。知らなかったな。護摩の火の中に、お神酒やお米を一緒に捧げるものなのだ。神様は、お酒や甘いものが好きなのだ。

  10分間の読経が終わった。その年の健康を祈願して、手や足や、背中や腹に護摩の火を当てる。煙が目にしみない。どうしてだろうか? 特別祈願の人は、お祈りの順番も特別待遇である。いちばん最初に、護摩を火の反射する、暖かさを楽しむことができる。
 帰り際に、いつもは偉そうにしているお坊さんたちから、「ありがとうございました、今年もよい年になりますように」と特別に並んで挨拶をしてもらった。とても気分がよい。またまたの特別待遇である。
 そうか、楽屋裏からはじめて知ることもあるのだ。特別祈願とは、祈願で読経するときに、「ご祈願主は、千葉県白井市、小川孔輔さん、59歳。よって、厄除けの祈願成就、、、(後略)」と名前を読み上げてもらうだけでないのだ。ご祈祷の一部始終が見られる、舞台袖下の特別席を提供されるのだ。
 自宅の番地(清水口3丁目40番6号)は、読み上げなかった。「お祖師さまにお願いするときには、なるべく具体的に細かく住所を言う」に反していた。しかし、清水口以下の住所まで、皆がいる場で読みあげないのは、プレイバシーと個人情報の保護のためだろう。
 むかし(4、5年前まで)は、特別祈願のかたの氏名と住所を、細かくすべてを読み上げていた気がする。たぶん「空き巣事件」でもあったのだろう。特別祈願をするひとは、「形のないものに対して、3、5万円を出せる人」である。わたしは金持ちではない。単なる気合で、奮発しただけだったが。
 またまた、元旦から、妄想である。

 帰り際には、お土産まで、いただいてしまった。今年の干支で、うさぎの置物である。かわいい。どこに飾っておこうかな? それと、お土産には、甘いものや手ぬぐいもついている。
 いい思いをしたからといって、佐野厄除け大師の商売に、特別に加担するわけではない。でも、特別祈願の3万円は、決して高くはない金額である。それだけの価値があるお布施だと思えばよい。 お払いをしてもらい、特別待遇のサービスを受けて、そのことをはじめて知ることになる。
 新年これから、佐野厄除け大師に、お参りの予定をお持ちの方がいたならばである。もしあなたが厄年であれば、ぜひとも、佐野厄除け大師では、特別祈願を申し出ることをお勧めします。ほかでは経験できない特別待遇に、お持ち帰りのお土産がつきます。気持ちがよろしいですよ。