結構、思いっきりはいいほうだと思うが、そんなわたしでも、月に一回は判断に迷うことがある。大きな気迷いや不安もあれば、日常のちょとしたことでも迷うことがある。そんなときに、わたしは、縁起を担ぐことにしている。
道を歩いていて、犬が電信柱におしっこをかけるようなものだ、といつも思っている。わんこの排泄の行為・習慣を、わたしは笑えないだ。
もっとも頻繁にする行動は、衣服、とくにワイシャツの色の選び方である。気持が萎えていたり、あまり気乗りがしないが、それはそれで、自分にとってはとてもお大事な講演や授業のときには、白色をやめて、黄色やピンクのワイシャツにする。夏場だと、青や緑のやや派手めのカラーワイシャツをあえて選ぶときもある。
聴衆から見て、白よりもピンクや黄色のほうが、やる気が伝わると思うからである。自分が、フロアに座っているときに、逆にそう感じるので、「カラー作戦」を採用している。
あくまでもわたしの主観なのだが、マラソンを走るときのわたしは、とくに夏場はそうなのだが、肌が日に焼けて黒くなる。ワイシャツは、そのとき、黄色やピンクのほうが顔が映えるようだ。精悍に見えるはず、と思うのは、自惚れだろうか?
つぎの話は、これまで、誰にも話したことがないことだ。とても大切な交渉事があるとき、わたしは、「カルバンクライン」の白のパンツを、身につけることにしている。ジンクス=縁起担ぎだが(恥かしい!)。
ふだんの生活で、下着として使っているのは、ユニクロのトランクスである。これは、カラーバリエーションをほとんどもっている。当初は、耐久性テストのために、旅行中に、世界中のいろいろな都市(ユニクロ店舗)で、その都度に購入してきたものである。全部で、100着くらいは持っているかもしれない。
柳井さんも、わたしのような顧客は知らないだろう。要するに、極めつけの凝り性なのである。ユニクロのトランクス(と靴下)は、10年前からのコレクションである。その数もすごい。国内で販売されるものだけではない。上海、パリ、ロンドン、アメリカ、ソウル、など。ロシアのものはないが。まあ、でも、トランクスの中身は同じだろうな。
わたしはこのように、「ゲンを担ぐ」のには、理由がある。それは、自分ではどうしようもない、コントロール不能な場面に、何度となく出くわしてきたからである。窮地に立たされた人間は、「神のみぞ知る!」の状態に置かれる。そのときは、「アラーの神様」になってしまうのだ。どうしようもない。
しばしば経験してきた苦境と、私の好きな「カルバンクライン」のパンツは、無関係に見えるだろう。しかし、実際はそうでもない。気持ちを引き締めるという意味では、いつか書いた、ライナース(スヌーピーのご主人)の「セキュリティ・ブランケット」と大差はない。安心理論の範疇に、この現象はあるのだと思う。
さて、なにがきっかけで、カルバンクラインになったのか? 読者の皆さんは、それが想像できるだろうか? カルバンクラインには、たくさん柄物もあるのに、なぜか、ホワイトなのですよね(笑い)。
(*)注記:
この話には、なぜか、男女を問わず、好意的な「納得の反応」が多い。本日も、法政大学大学院の講演会で、「先生のカルバンクラインの話、笑ってしまいました」など、日本全国の友人、元学生たちから、山のようなコメントをいただいている。むしろ、わたしにとっては、「なんで?ブログに対して、この回だけが、これほど反響がすごいのか?」すごく不思議なのです。教えてください。