藤田尚弓さんの講演@法政大学大学院(「女性のキャリアと生き方を考える オープン講座 第1回」)

 第一回のオープン講座が無事に終わった。19時半開始の講座に、約50名の方に参加していただいた。藤田さん(アップウエブ社長)のお話が上手だったこともあって、満足度は高かったと思う。


公開セミナーの90分は、あっという間だった。主催者のわたしの挨拶、平石講師からの藤田さんのご紹介は、約10分。高田先生の司会で、藤田さんのトークが50分。その後で、30分の質疑応答。
 オーディエンスは、全員が女性である。例外は、教職員の4人だけ。きっと女子大で教えると、男性の講師はこんな感じになるのだろうな。どきどき感が伝わってきて、わたしなどはどこか居心地が悪い。そんな教室の風景である。
 参加者の年齢中央値は、ずばり35歳。その下は少なく、かなり上もいる。そんな状態を、なんとなく想像していただきたい。

 ウエブ制作と企業研修が、講師の藤田さんの主たるしごとである。ご本人の経歴がおもしろい(詳細は、大学院の「公開セミナー案内」で、詳しく紹介されている)。
 「起業」をテーマにした公開講座だったので、Q&Aで、「来月会社を辞めて、弾みで会社を起こすことになっています」などと告白してから、藤田さんに質問した女性もいた。
 個人ブログからの流入もある。おそらくは、藤田ファンも、いらしていたのだろう。藤田さんは、最近テレビ出演が多いらしい。「実物をひと目でも見たい!」なども(笑)。

 ひとりの聴衆として、おもしろく感じたのは、「女性が組織に残ることのメリット・デメリット」と「起業することのプラス面・マイナス面」を整理してくれていたことである。一部の項目は、女性特有というわけでもない(例えば、マンションを借りる契約が難しくなる、独立して税金支払いが多いことを知る)が、起業することのプラス・マイナスを、わかりやすく解説してくれていた。この話を聞いた聴衆には、実際的にも「起業してみた+ーリスト」は有益だっただろう。
 ビジネスでキャリア形成したい女性たちの最大の壁は、やはり子育てである。藤田さんの生き方がそうである。藤田さんのケースをみると、結婚(離婚)はいまや障害にはならない。そのことが知ったことは、わたしには新しい発見だった。

 藤田さんの講演を聴きながら、考えていた。(ここからは、個人的な回顧録である。)
 草食系で、「家事周辺業務」に有能な男性をキャッチできれば、キャリア志向の女性にも活路が見出せそうだ。そうした事例が、わたしの周辺でも最近、増えてきている。しかし、その場合でも、男女とも結婚生活にはかなりの覚悟が必要とされる。最終的には、パートナーと別れてしまうケースのほうが多い。そこまでいかなくとも、感情的な絆を喪失してしまう事例が多い。、
 煎じ詰めると、女性のキャリア形成の問題は、男女の役割関係をどのように構築するのかに尽きるのではないだろうか。藤田さんの講演と、そのあとの質疑応答の様子を眺めていて、そのように感じた。
 子育て主婦は忙しい。起業したキャリア女性であれば、さらに死ぬほど忙しいだろう。
 そこを乗り切るには、お金と家族(男性)の協力体制がないときびしくなる。ご自身の「子育て協力・キャリア支援システム」に、藤田さんは、元旦那さん(3人!+ワン)を組み込んでしまっていた。さすがだと思う。
 余談になるが、数ヶ月前に、藤田さんと初めてお会いしたとき、わたしが感じた「怖さ」は、この空気だったのだと納得した。その日、秘書の福尾や研究室の女性たちは、「(藤田さんが超美人だったから、)先生が一瞬固まってしまった!」とわたしの様子を見て解釈した。しかし、それは読みが浅いのである。
 わたしが藤田さんに感じたのは、元旦那たちの欠点を、わたしも共有しているからである。これ以上の解説は不要だろう。
 仮定の話である。リアルな仮想現実が見えてくる。もしも、わたしが若くして藤田さんと結婚して、その後に離婚したならば、そして、子供がひとり生まれていたならばの話である。離婚後も、藤田さんのキャリア形成には、きっと協力させられているだろう。それも、しぶしぶと喜んで、である。
 だから、藤田さんのお話には、男性(元旦那)の視点から、ほんとに納得してしまったのである。

 まだアンケート結果は見ていない。たしかなことはわからないが、キャリア形成のために学びの場を求めている女性のグループであれば、彼女たちは法政大学のお客様でもある。わたしたちが、教育面で彼女たちに貢献できることもあるだろう。
 セミナーが終了してから、「二回目のセミナー日程」と「講師」を何人かにたずねられた。実は、まだ次回以降の日程が具体的に決まっていない。起業家の女性講師と、MBAを取得して働いている女性たちを、この先の講師として予定している。「女性起業塾」もあるらしいのだが、その大学院バージョンという位置づけになる可能性がある。
 なお、藤田さんのお話は、数日以内に、法政大学大学院のHPにアップされる。わたしのHPにも、同じ原稿を紹介してアップしたい。楽しい一日だった。 そして、自省の一日でもあった。