昨日中にアップするつもりでいた記録である。一昨日、カインズの伊勢崎店を訪問した。関東でもっとも大きなカインズの店である。10分ほど離れた場所に、「シーズンストア」(カインズ発祥の地)という、カインズのPB商品だけを集めた店舗がある。そこも学生と一緒に訪問した。
両方の店を訪問したのは、2日前のブログにも書いたように、学生たちがカインズと共同でPB商品をシリーズで開発するためである。東京以外の場所で、PB商品を実際に見てみることが目的であった。高崎本社では、カインズのリサーチチームとの打合せもかねていた。
午後のほぼ半分しか、店舗観察に充てられる時間がない。店に滞在できる時間は、2時間と限られていた。しかも、伊勢崎の店は、売り場面積が1万5千平米とやたらと大きい。
学生たちは6名いた。PB関連の商品をチェックするのに、手分けして3つの部門に分かれることにした。全員が共通して観察する売場部門は、園芸用品だけである。あとは、男女で3つの組を作って、各売場部門に散らばっていった。
店を見る前に、高崎の本社の会議室で、カインズのリサーチ担当チームとミーティングをした。その場で、PBの開発商品を、「かわいい」というコンセプトでくくれる商品群にすることに決めていた。
その決定を受けて、学生と一緒に伊勢崎店の売場を見て歩いた。カインズの広報部からは、女性がふたり(西片さん、小野さん)が店舗観察に参加してくださった。丁寧に、学生を案内してくれた。
本社のミーティングでは、「家庭園芸(ガーデン用品)」と「子育て関連(インテリア?)」で、「かわいい」と思われる商品を探してくる。その情報を持ち寄って、アイデアの源泉にしようということになっていた。
売場を見たあとで、学生とブレストを行ったが、最終段階では、「(女性向けの)カー用品」にPB開発の対象を変更することにした。そこにいたったロジックは、つぎのようなものであった。
売場を歩いて、「かわいい」と思われる商品を手にとって写真にとったり、商品の特徴についてコメントを加えてみたりした。また、素敵でかわいいと思われるものが少ない商品カテゴリーを、それぞれのグループが手分けしてがチェックしてみた。いくつかの部門で、PBの開発可能性が発見できた。
女性と子供という観点からだと、インテリアやステーショナリーでは、かわいらしい商品を開発する余地があった。むしろ、園芸用品分野などでは、すでに「ミッキー」のロゴマークが入った商品などが店頭に並んでいた。直感的に、学生たちが取り組んでも、こうした部門ではPB商品を開発しても、大きなポテンシャルがあるとは思えなかった。
途中を省略するが、結論的には、部門として「カー用品」に行き着いた。「ホームセンターにおいてあるカー用品は、かわいくない!」。だから、女性向けのかわいいカー用品は、ポテンシャルが高そうだった。男性目線から、カー用品がデザインされていた。だから、潜在ニースはあるのに、女性向けには売れていなさそうだった。
郊外に住んでいる女性にとって、自動車通勤は必須である、たいていは、軽自動車か小さな車に乗っている(はずである)。それはまちがいないだろうが、細かなことについては、実態調査が必要かもしれない。カインズで働いている女性社員のかたへ、アンケートを実施させてもらおう!
カー用品は、基本的に男性向けに作れられている。車を運転しているドライバーの約半数を占めるはずなのに、オートバックスやイエローハットに出かける動機を、女性ドライバーたちは持たない。行きたくないし、たとえ行っても、自分たちが買いたい「かわらしい」商品が置いてある可能性が少ない。
となると、「男性向けに」デザインされた商品を、行ったついでに、ホームセンターで購入することになる。しかも、”しぶしぶ”とである。これが仮説の1である。女性にとって、いまのカー用品は魅力に乏しいが、実際にそうした商品を購入する場所がない。
ホームセンターも、女性向け商品があることの潜在ニーズに気がついていない。カー用品のメーカーが開発したものを、そのまま売場に陳列している。HCのカー用品は、用品専門店に需要を奪われてきたが、その理由は、独自のMDに努力してこなかったからである。これが仮説2である。
カインズがそうした商品をPBで開発して提供したらよいだろう。ホームセンターが、買い物客の半分を占める女性向けの商品を開発できれば、カー用品専門店に対抗できるかもしれない。だから、「かわいい」を軸に、カー用品の開発に取り組んでみよう。これが学生たちの結論だった。
高崎駅前のカフェで、学生たちとさらに議論を深めてみた。実際に車に乗ることを想像すると、ポテンシャルのあるアイテムはたくさんあった。
室内ミラー(お化粧をするため)、ダストボックス(かわいくない)、芳香剤(のかおり)。軽乗用車はサイズがちいさいから、もっと用品も小さくてよい。デザインは、丸っぽくて、直線ではなく、曲線のカーブをもったもの。色は、黒やグレー、寒色系はやめて、もっと暖色系のものにする。かわいらしく。フェミニンに。
女子学生たちからの意見。「車に乗るときに、女性はシューズを脱ぐことがあるよね」。男子学生から、「だったら、シューズカバーみたいな収納用品がいるよね」。「かわいい運転用のスリッパがあればいいよね」。こんな風に、話は展開していった。この続きは、次回のブレストまでに、学生たちから報告があるはずである。よく考えてきてくださいね。
余談であるが、以下は、小川先生のアイデアである。せっかくだから、女性向けの一連のカー用品を開発したら、カインズの売場に、女性仕様の自動車を持ち込んでみたら?コラボ、コラボ。
たとえば、日産のマーチとか。日産の商品企画部に、元小川ゼミの大学院生が誰かいたよな。岡本智君だった?HONDAにも、たしかゼミ生がいたな。名前は? 協賛をしてもらおうよ。
展示車のなかに、かわしいらしい小物などのPB商品を置いてみる。「こんなPB商品を、カインズが法政大学の学生と一緒に開発してみました!」 売れそうじゃない?