バリローズ農場から

横田さん(元アーチング栽培研究会会長)、本田さん、渋谷さんの案内で、バリローズを視察した。第一農場は、3、5ヘクタール。標高が900メートル。棚田が続く、山間部を1時間走った山のなかにある。


稲作と高原野菜の産地らしい。第一農場は、現状では、簡易ビニールハウスが1,5ヘクタール。バラとアンスリウム、トルコキキョウを栽培している。温室のまわりでは、葉もの類が勝手に育っている。5月までが雨期だが、年間を通して、最高気温が30度、夜温は10度、気温は安定している。湿気が多いので、ベト病などが出やすい。第2農場は、35ヘクタール分の土地を取得済みである。ただし、温室の影も形もまだない。こちらは標高1300メートル。
 ジャカルタ郊外で、沖縄県花き農協「太陽の花」のために菊苗を作ってきた本田さんいわく、「この辺の農家は、野菜などで現金収入があるので豊かに暮らしている。月収が10万円。バリ近辺のワーカーは夫婦とも稼ぎで3万円」。だから、ちょっとでも叱ると、30人いるワーカーは、すぐに働きに来なくなる。一日の賃金が350円。ただし、日本人の40%しか働かない。昨日、スーパーのレジ作業をみていたが、時間が3倍はかかる。「実質は日給千円ってところかな」と長野在住(種苗会社、日貿易)の渋谷さん。
 1年前から指導に来ている横田さんは、「アメとアメだね」と笑う。アメとムチは、ここでは通用しない。しかし、おごってほめてあげれば、横田チームはよく働いてくれる。(笑)

 バラの苗の品質はイマイチ。ジャカルタから仕入れてきて、植えているが品質がよろしくない。改植したいが、オーナーが捨てることを嫌がる。オーナーとは、アヤナホテルのレーディー社長のことである。中国系のインドネシア人。新しい温室には、オランダから輸入した苗が植えられていた。品種も新しい。「5ヘクタールのバラ農場を作るために来たのに」(横田さん)。「なかなか働かないやつらを見てると、俺が現地化したほうがはやいかな(笑)」と横田さん。日本で最高の栽培技術者は歎く。栽培も現地化して行かないと、よいバラは作れない。いろいろ問題はあるが、気候には恵まれている。「長い目で見て、将来に期待を!」(本田さん)