日本経済新聞出版社から、昨年7月末に刊行した『マネジメントテキスト マーケティング入門』が在庫切れになりかけている。という話を昨夜聞いたばかりだった。堀口編集長から今朝方に電話があった。さっそくの朗報である。「編集部として、1000部の増刷を決定した」
値段も3800円。分厚い本だったので、これほど早く増刷がかかるとは思わなかった。新学期が始まって、ゼミのテキストに採用されることを期待していた。もちろんそうしたニーズもあるにはちがいないが、メインの需要は、どうやら企業の研修などでの採用らしい。
当初想定していた編集方針と販売戦略が、こちらの予想通りにドンぴしゃりであたっている。ターゲットは、定価で一冊5000円~9000円のマーケティング翻訳書を買ってくれている読者、ビジネス顧客市場である。
800ページのテキストをもって、値段が3800円(1ページ当たり約5円)ならば、その市場(推定年間3万冊)から、3分の一(約1万冊)の顧客を奪い取ることができる。価格(価格破壊の半値)と品質(国産の優良コンテンツ)をもってして、翻訳輸入市場を壊滅的に破壊する。これが、われわれの基本戦略であった。当面、この戦略は効を奏しているらしい。
次の方略は、ふたつである。部分テーマ(各章に対応)ごとに、簡易なテキストの分冊を作ること。たとえば、ブランド論や商品開発、サービスマーケティング論がその候補になる。単なる読み物ではなく、真面目に学習するための手引書である。
コンセプトを明確にすること。読みやすくすること。真面目な学習ニーズを馬鹿にしないこと。安易な方向に走ろうする世間のニーズ(安直な薄めのテキスト、漫画本など)に迎合しないこと。
ふたつめは、その動きとはまったく逆に、事例を物語として発信することである。そのひとつが、『しまむらとヤオコー』(小学館)であり、『日本でいちばん喜ばれているサービス』(日本生産性出版)である。