毎朝の新聞をにぎわしている「事業仕分け」は、自分とはまったく無縁と思っていた。ところが、どっこい。農水省や経済産業省のプロジェクトで座長をつとめていたり、関連会社で補助金絡みのしごとを扱っていたりする。否応なしに、予算が配分されている委員会などから、仕分け作業について、見通しや展望について連絡を受ける。また、意見を求められることにもなる。
まったく関係なし、知らぬ存ぜぬと、高見の見物を決め込むわけにもいかない。民間で利益団体を運営しているわけではない。学識経験者として委員会の纏め役をかって出ていた。なので、さまざまな事業が継続可否になる様を、いまや複雑な気持ちで眺めている。
微妙な案件もあるので、このようなHPではあからさまにできない。情報ルートについては言及することは避けるが。そうなのだが、こちらがたずねなくとも、向こうがいろいろな情報を耳打ちしてくれる。例えば、案件ごとに、仕分け人の名前などを教えてくれるのである。仕分け人リストに上がっている人には、大学の先生の名前が多い。それはそうだろう。こんな時期に、ある程度、時間がまとめて作れるのは、教員などの文化人か、公的な機関で働いている人である。
どなたかに、「小川先生は、仕分け人を頼まれないのですか?」と言われた。わたしは、もちろん候補にも上がっていなかっただろう。現在、作業仕分けを担当している人のリストを聞いて、その理由がわかった。ある事業仕分けの担当者に、わたしの知ったひとが一人もいなかったからである。
わたしが関係している案件は、ビシネス寄りなので、ふつうならば、わが研究分野の周辺から人選をしてもおかしくない。そうならなかった理由は、たぶんふたつである。実は、分野が近い人選をあえて避けているのではないか。そうかんがえると、リストの名前に納得ができるのである。近接分野から人間を選べば、利害関係者を仕分け人にいれるリスクがある。わたしのように、ふたつの官庁でしばしば専門委員会や座長を務めてきた人間は、そもそも利害関係者のカテゴリーに入る。友人知人も、考えてみれば、わたしみたいな立場にいたはずである。ひとりも、知り合いの名前がないわけである。
もうひとつは、民主党の政治基盤に関わることである。以下は、まったくの推測。個人的な見解であるなので、確信はない。自民党政権時代は、旧農商工議員に関係をもっていた大学教員は、旧帝大系の政治経済の教授である。ほとんどの著名教授達は、政務次官クラスの官僚と通じている。勢い、その他、地方大学や中立私大からの人選になる。なんとなく、労働系が多いかもしれない。これはあまりにうがった見方かもしれない。あくまでも憶測推測の域を出ない。しかし、先行き不透明な状態で、政治は運営されている。いつまで、この混乱は続くのだろうか?
株価のうごきをみれば、日本は世界からおいてきぼりである。経済運営の舵取については、グローバルな金融市場からは、マイナスCの評価である。事業仕分けのプロセスの先行きについても、同じである。
いずれにしても、無駄と思われた予算を、別途で有効に使ってほしい。その点に関しては、わたしも見解は一致している。オバマ人気もあまり長く続かなかった。鳩山さん、大学時代にキャンパスで見かけたが、不幸な宰相にはなってほしくない。