上海カジュアル衣料品市場の変貌

2005年の冬に、ユニクロなど、上海のカジュアル衣料品チェーン5社を調査した。その後も上海には毎年、欠かさずに行っている。しかし、とくにカジュアル衣料品だけを詳しく調べることがなかった。その間に、上海の衣料品市場は大変貌を遂げていた。上海で、店舗調査とネット調査を1月16日~18日に実施することに決まっている。調査データで明らかになる前に、わたしたちが感じたチェーンの動向を簡単に紹介したい。



 日本の調査対象2社については、すでに二日前に記述した。目新しい発見は、中国ブランドの「美特斯•邦威 (Meters/bonwe)」である。このブランドは、もともと単一ブランドだった。ところが、今回、現地で調査に行ってびっくりしたのは、「Me and City」という新ブランドアを立ち上げていたことである。Meters/bonweの店内だけでなく、南京東路には、路面店「Me and City」も登場していた。おそらくは、同社の基幹店である。

 洋服好きな息子の真継(まつぎ)に、Vネックのセーターを購入した。淡いクリーム色の柄である。真継の感想は、「一昔前のデザインだけど、おしゃれでかわいい」だった。ブランドのアップグレード(上昇)を狙っている感じである。Meters/bonwe本体も、3年前にわたしたちがはじめてみたときよりは、断然におしゃれになっている。
  「普段着のカジュアル」(casual)路線から、「お出かけ」(going-out)や「おしゃれ」(sic)にポジショニングを変えようとしているのが見て取れる。Made in China でありながら(失礼!)、充分世界に通用する注目のブランドである。

 C&A(オランダブランド)は、まったくのノーケアであった。2007年に上海に進出していたことを先週知った。JFMA専務理事の松島さんに言わせると、「オランダやヨーロッパにたくさんあるじゃないですか?」自分の不注意にショックだった。
 いまオランダ在住のMPSジャパンの鳴尾さんからメールがあって、「わたしにとって、C&Aは、なぜか西友」なのだそうだ。とても日常的な感じということなのか?
 ターゲット別の展開をしている。正大広場店では、SCの入り口近くで一番いい位置を占めている。路面店もそこそこのロケーション(大通りの目立つ場所)にあって、お客はたくさん入っている。見た印象では、アバクロと低価格ブランドの混在に見えてしまった。
 偏見を持ってみたからだろう。きちんとそれぞれのブランドを分析的に観察すべきだった。「低価格の中国ブランドだろう」との偏見で見たことがよくなかった。反省である。
 いまC&Aの路面店(准海路店)で購入してきたブルーのワイシャツ(ノーアイロン、¥199=3千円)を着用している。着心地はまずまずである。ブランド名は、Angelo Litrico。洗ってからの状態は、また別途にご報告したい。

 ジョルダーノ(giordano)は、あまり元気がなかった。進化が止まっている感じがする。上級ブランドに移行したがっているのは、ユニクロと同じだ。価格よりもデザインと品質を訴求しようとしている。それがうまくいっているかどうかは?南京東路店では、買い物袋をさげているひとをあまり見かけなかった。Meters/bonweとUNIQLOに完全に負けている。
 BALENO(同じく香港ブランド)には、笑ってしまった。ショーウインドウに、なんと!ドラえもんのフィギュアーが堂々と展示されている。300元以上で1着購入すると、ドラえもんのぬいぐるみが10元でもらえるのである。日本の漫画キャラクターをプロモーションに利用するのは、実に意外だった。今度、上海駐在のレッグス谷君に話してみよう。