「人の幸せを決めるものは、時間とお金と健康」

しまむらの藤原会長が、島村恒俊オーナー(しまむらの創業者、元相談役)と会うたびに、いつも話しかける言葉なのだという。「時間と金と健康、この3つのどれを欠いても、残された人生で人は幸せになれないでしょう。だから、オーナー、あなたは幸せなひとなのですよ!」。


“いたずらっ子”の藤原会長が、恒俊オーナーをからかうのが目に浮かぶ。たぶん、島村オーナーは、「うっ」と言葉を詰まらせてから、それに続けて、「藤原、そんなことないよ」と反論するか、あとは事実を認めて押し黙るかするはずである。藤原会長の言うことは、まったく正しいのである。
 3月8日で83歳になる島村オーナーは、わたしがインタビューで吉身町のご自宅を訪問するときはいつでも、帰りはご自分が愛車のクラウンのハンドルを握って、東松山の駅までわたしを送ってくださる。小川町物語の取材は、いつも一回が3時間を越えてしまう。お昼もごちそうになることが多い。天ぷらでも、うなぎでも、うどんでも、30、40代の人と同じ量をおいしそう召し上がる。基本的に、健康なのである。もちろん、オーナーには、時間もお金も存分にある。

 さて、今年58歳になる自分(小川先生)には、自慢ではないが、お金が無い。ただし、残りの「幸せの条件」を構成する時間と健康については、いまはどうにか維持できている(気がする)。
 もっとも、わたしの場合は、時間については問題があるかもしれない。ちょっとワーカホリックなところがあるので、自分で自分を「時間貧乏」にしているところがあるからである。お人よしすぎて、他人に必要以上に時間を分け与えさえしなければ(お金も実は同じだなあ・・・)、時間はたっぷりあるはずである。そうでもなければ、自分の足で、年間2000KMを走れない。
 これで、金持ちにでもなれば、島村恒俊オーナーのように幸せな老後が送れるだろう。その路線をまっしぐらに、いまは「売れる本作り」に励まんでいる。やっとその時期が到来したのである。「がんばれ~」と誰かが、後ろから背中を押してくれている。
 藤原会長の言葉に、ひとつだけ付け足すとすれば、同じ時間をすごす良い仲間(家族、知人、友人、恋人、愛人)がいないと、やはり、人生の最後はつまらないよな。わたしには、仲間や友人はいたっけか?自分に対するごく素朴な問いかけである。さて、皆さんは・・・