『フラワービジネス公開講座2008』(JFMA主催)第3回 小川講義レジュメ(9月2日)

FB公開講座、第3回「フィールドワーク現場調査の方法」の講義レジュメ(小川担当分)をアップします。2008年9月2日に、法政大学で実施されたものです。この回も約40名が受講していただきました。一部分、第一回とだぶりがあります。


1 フィールドワークの視点
(1)売場観察の4原則
 ・「顧客視点」で売場を見ること
  → カウンター内から売場を見ない!
 顧客動線上!から売場を見る
 ・「客観的データ」で売場効率を判断する
  → 直感や印象を否定するわけではないが、
 誰でも納得する数値で事実を語る
 ・「仮説的な思考」をすること
  → 問題を引き起こしている「原因」を突き止めること
    複数の仮説を複数の人間と討論しながら考える
 ・「改善提案」をすること
  → 何が問題なのかの「処方箋」を準備する
    処方箋は処方、実行可能でなければならない
  
(2)理想の売場
 ・買い物客にとって、理想の売り場になっているのか?
 「安心ショッピング」の3条件(JRC・渥美俊一氏)
 ①客が店で値札を見ないで買えること
 ②品質や機能を吟味しない(しなくてよい)
 ③商品をテイスト(好み)だけで選んでいる
 「ショートタイムショッピング」
  + 短時間で買い物ができれば、なおさらすばらしい!

(3)「楽しい買い物が実現できる」 その根拠は・・・
 ①<わかりやすい> 値ごろ価格が明らかであること
   → 「プライスポイント」(最多販売価格帯)が顧客にわかるので、
    価格に関する余計な説明は不要だから
     具体例: 「デフレ勝者6社のプライスポイント」
       とくに、ユニクロと無印良品の価格分布(「チェーンストアエイジ誌」  実例)
 ②<信頼できる> 店舗(ブランド)と販売員(接客技術)の信頼性
   基本的に、小売は「リピートビジネス」である。
  顧客が再来店することを前提に、ビジネスが組み立てられている。
  事例:JCSI(日本版顧客満足度調査から)
  百貨店・GMS・フィットネスクラブで
  CS(顧客満足度)に貢献する要因は何か?
 ③<いつも新しい発見や驚きがある> ライフスタイルの提案がある
     TPOS(Time, Place, Occasion, Life Style)別の商品提案
     小売店が、地域の生活の豊かさを実現することに貢献していること
  → ただし、ブランド(業態)が提供する場面には絞り込みが必要
   人間は、多くのことを覚えられない

2 店舗、売場で測定すべき数値
(1)店前(売場前)通行量
  立地タイプ別の基準値(PAR)を比較のこと!
  例: 駅の乗降客数を調べる
  「一日3、5、10万人が境目」
   「改札口」や「玄関前」の位置が重要
(2)「入店率」
  「入り口別」の分析をすること
  参考例: 駅ビルなどでは、「入店率=1%」が基準値
       スーパーでも「立寄率=1%」
  花の売上構成は、ほぼ0.5~1.5%
  なお、PI(購入指数)=2~3前後
  (来店客100人当たりの部門別買上点数)
(3)売場への「立寄率」
(4)商品(コーナー)の「注目率」    
(5)「買上率」(購買率)
  実際は、15~70までばらばら
(6)一品単価、買上点数
  自社の場合: POS(販売)データの分析
  他社の場合: プライスポイント、プライスラインのチェック
(7)客数、客単価(平日、土日別)
  曜日別、時間帯別に観察のこと
            
3 フィールドワーク観察の店舗・売場の見方
(1)店舗の基本コンセプト
 ・誰に? 顧客は誰か?
 ・何を? 売りたい商品、価格帯は?
 ・どのように? 販売方法の特徴は? 提供する価値は?
 ①販売方法USP(他の店にない差別化のポイントは?)
 ②立地の選択(サイトの選択:SM、SC内であれば、店内の位置)
 ③コミュニケーションの特徴は? 接客含む
(2)店舗デザインとレイアウト
 ・店舗(売場)のデザイン
  → 「レイアウト図」を描く 
 ①「店舗レイアウト」
 ②「売場レイアウト」
 ③「商品陳列」(フェース数、価格帯、陳列量) 
 ・商品の陳列方法(什器、バケツ、黒板)
  → メモをとること
 ・売場カテゴリー分類の特徴
   わかりやすい、買いやすい分類になっているかどうか?
   「購買動機」に照らして、正しい配置か?
  例: 仏花の位置はどこにあるべきか?
  特売商品や処分品の場所は?
(3)MD(商品関連の決定事項)
 ・基本的な品揃え
  参照事例:RF1 オープンケース(パック商品)、
          クローズドケース(量り売り商品)、JITケース
 ・プライスポイントとプライスライン(陳列量)
   「商品構成グラフ」(価格帯×陳列量)を作成
 ・商品の補充方法(頻度)
 ・ロス管理(値入れ、マークダウン、廃棄ロス)
(4)店頭コミュニケーション
 ・店頭での商品情報(POP関連)
  ①商品説明 → 文字の大きさ、色、字体(タイプフェース)
   チェック項目: 読みたくなるか?
   左脳系: わかりやすい
   右脳系: 美しい、親しみを感じる
  ②プライスカード → 価格表示
   チェック項目: わかりやすいか? 伝わっているか?
    美しいか? 親しみを感じるか?
  ③黒板・ボードの活用: 黒板は何のためにあるのか?
   POPの代替?
  ④その他 モニタースクリーン、幟(のぼり)など

 ・チラシ、リーフレット
 ①目的と種類
 ②コスト、パフォーマンス
 ③掲載情報、大きさ、形状、紙質など
 ・接客の仕方
 ①身だしなみとマナー
 ②接触のタイミング
 ③役割(セルフでも接客は重要)
 ④知識レベル
 ・インターネットの活用
 ・
(5)その他サービス
 ・清潔感の演出
 ・店員の教育
 ・ギフト対応
 ・デリバリー
    → JFMA編集(2005)『クイックハンドブック』草土出版

 <課題2> 「カインズ」(町田店)の花売場
 ①ホームセンターの花売場は、どのように運営されるべきか?
    専門花店、食品SMとの違いは?
 ②売場の位置は、従来どおりでよいのだろうか?
 ③MD(品揃え)と価格帯は?
   商品構成グラフを作成せよ!