「JALを選ぶか?ANAを選ぶか?」

授業で使っているマーケティングのテキスト(Kotler and Armstrong 2008 ’Marketing: An Introduction ’)に、サウスウエスト航空のケースが出てくる。“Less for Less”(低か価格・低品質=フリルのないサービス価格)の事例である。海外の航空会社は、ディスカウントしか乗ったことがないわたしだが、日本国内のサービスならば学生たちも比較ができるだろうと思い、授業中につぎのような課題を出してみた。「国内線で料金が同じならば、ANAに乗りたいですか?JALを選びますか?」


7月4日の水曜日は、授業でディスカッションさせているうちに、時間が来てしまった。なので、途中で討論を中断させ、わたしは京都出張になった。昨日の土曜日(7月12日)に、再度、特別ゼミ〈一日ゼミという補講〉を開いた。その際に、知り合いの友人たちに、携帯メールを通して、学生と同じ質問を投げかけてみた。15人に聞いて回収率(12人)は80%である。サンプルのうちの一つは、小川先生(わたし)です! どれかはわかりますよね(笑)。△は「どちらかといえば」、◎は「断然」である。

 Nさん(女性20代) ○JAL ANAの過去の悪い経験
 Hさん(女性30代) △ANA 印象、イメージ
 Oさん(女性20代) △ANA どちらでもOK、関係ない
 Mさん(女性30代) ○JAL 学校の先生がJALの教官だった
 Yさん(男性40代) △JAL JALのマイルなので ダイヤ次第
 Kさん(女性40代)  ―  乗らないので、わからない
 Hさん(女性30代) ◎ANA 迷うことなく、サービス断然
 Kさん(男性40代) ○JAL 昔の良い時代 サービスは同じかな?FAはANA
 Oさん(男性50代) △ANA マイルはJALだが、サービスとFAはANA
 Mさん(女性30代) ○ANA JALのゴージャス路線が? イメージでANA
 Kさん(女性20代) △ANA 親切で親しみやすい、サイトの価格比較ではJAL
 Nさん(女性40代) △JAL どちらかというと・・・
 Tさん(女性30代) ○JAL サービスが行き届いている
 
 結局、6勝6敗1引分の両社互角でした。△「どちらかといえば」は、ANAが多い。傾向としては、年齢が高いほどJAL、若い人は、木村拓也ドラマの影響なのか、イメージでANA。年齢を経た男性はややJALを好む傾向があります。わたしの主観が入りますが、女性は、落ち着いた感じの子がJAL、ややキャピタイプがANAでした。ごめんなさい! 調査に協力してくれた女性が、この記述を見て烈火のごとく怒るかもしれませんね。先生にはもう二度と協力しないなどと・・・
 ところで、大学のゼミ室ではおもしろい事実がわかりました。なんと、ゼミ生24人中の11人が、かつて自分が乗った飛行機が「赤だったのか?青だったのか?わからない」。つまりは、トライアルユーザにとっては、航空会社などどちらでもよいということです。あれほど、一生懸命にTVCMで気の利いたコマーシャルを流しているのにです。両社ともにショッキングな結果ではないでしょうか? ある回答者のコメントでは、「若者(たぶん子供のとき)は、飛行機に乗ることが事件であって、どっちの航空会社かはあまり関係ないのでは?でも、社会人になってサービスの内容がわかるようになれば、断然ANA!」
 彼女はANA派でした。どうやら、若くて飛行経験が豊富なOLさんには、ANAの機能的なサービスが好まれているようです。友人がJALホテルの専務さんです。ANAはホテルを売却して、エアラインに資源を集中しています。彼はどうするつもりかな?などと思いながら、学生と卒業生たちの反応を楽しんでいました。