歴史の証言: 3年前を振り返ってみると・・・

2005年(6月28日)のJFMA総会セミナーで、「JFMAと花き産業の未来」というテーマで講演をした。3年前にわたしたちがいた場所とわたしの予言は、以下の通りであった。農業分野と流通に関して、恐ろしいほどに、わたしの予想はほとんどがあたっている。そのときのレジュメを以下に掲載する。


1 はじめに: JFMA設立からの5年間を振り返って
(1)達成できたこと = 設立意義の再確認
・バケットの規格標準化
・”広い意味”での商品(花)の鮮度への注目
→ フレッシュネス2005 
・IFEX2004 TOKYO
  → 花業界のミーティングポイント作り
・新しい担い手の登場
ホームユースを主体とした小売業態の誕生
産地フェアの開催(生産と販売のビジネス交流)
  ・他の国、他の業界からの知恵と技術の導入

(2)達成できなかったこと = 反省と課題
・花という素材の社会的なプロモーション
・人材の育成と研修制度の定着
・世界の中の日本というポジションの確立
  → アジアフラワー会議(10月19日開催)

2 業界を取り巻く変化の諸力
(1)消費者と小売業
・米国の消費者と小売業の変化(写真)
  事例:ホールフーズ(サンフランシスコ)、
     ドレイガーズ(サンマテオ)
・それでは、日本では?
    事例:シンプルスタイル(ライフスタイル提案型小売業)
       既存小売業態の解体
  ・「時間」と「健康」の重視
    事例:サプリメント(資生堂Q10AA)
・ディスカウント時代の終焉
好調なのは、プレミアムブランド商品と差別化商品を持つ
アップスケール業態

(2)生産者団体と農地法の改正
  ・規制緩和1:第二次農地解放
60年ぶりのGHQ体制からの解放
  ・規制緩和2:株式会社の農業分野参入
野菜分野での動き
 ワタミの有機野菜の生産
     イオン(トップバリュー、グリーンアイ)
  ・規制緩和3:農業フランチャイズの動き
事例:JAとコメリの戦い(農業資材、商品販売)

(3)中間流通の変化
・卸(仲卸)の存在意義が問われる
  市場法改正後 業務の「境界線」が消滅してしまった
どの業態がどのサービス機能を担うか?
   → サービス競争と垂直的価格競争 
・ダイレクトモデルの登場
    本気で鮮度を訴求しようとするならば、
中間段階を迂回して、物流はダイレクトにしたほうが効率は高い
・消費者向けのネット取引が好調
回顧: インターネット販売の初期の覇者は、
        書籍(アマゾン)と切り花(1-800flowers)であった!

(4)国境を越えた戦い:切り花輸入の限界
  ・切り花輸入の増加
アジア経済圏の確立(中国、韓国、日本)
そして インド、ベトナム、タイ、マレーシア
  ・輸出国の変化
    ヨーロッパ・中南米 → アジアへのシフト
  ・「植物検疫制度」はどうなるのか?
必要悪? MPS(環境にやさしい花栽培)
  ・花業界にも「地産地消」の波が押し寄せる
→ 食料と環境を巡る「新ナショナリズム」の台頭
根拠1: エネルギーコストの上昇 
    もはや、花き類は金をかけて遠くへ運ぶ商品ではなくなる
根拠2: 農作物の輸入規制・食糧危機の到来
    各国が自国民のために、水と土を守る必要が生まれる
    根拠3: 国内の農業改革と物流改革が進む
現状で「生産性が低い」という理由が
将来の「高収益を生む」理由に転化しうる 
根拠4: 発展途上国が成長段階を終えると・・・
自国民のために花を供給するようになる
いずれに、中国・インドでも所得水準は上昇する

3 おわりに: 近未来に向けてのキーワード
 ・自助努力
   → もはや誰も守ってはくれない(ふたたび・・・民活へ)
 ・変化はチャンス
→ 規制緩和で大きく成長した企業は少なくない
 ・フロンティアは失われていない
→ 業界をあげてやるべきことは多い
 「競争」より「協調」が有効に機能する数少ない業界

さて JFMAが何をなすべきか?