株式公開の責任: プラネット玉生社長おめでとうございます

 日雑業界のVAN会社「プラネット」が、2月24日に株式公開を果たした。公募価格13万5千円に対して、なんと初値は42万円をつけた。株式市場が活況を呈しているとはいえ、約3倍である。株価が高すぎたので、わたしは購入を見送った(苦笑)。
 


昨日、帝国ホテル4F桜の間で、玉生弘昌社長の「株式公開を祝う会」が催された。お声をかけていただいたので、わたしも祝う会に参加させていただいた。人柄に似合った静かなお祝いであった。取引先はひとりも招待されていなかった。さすがの見識である。
 玉生さんはライオンの出身である。20年前に、プラネットのアイデアをひっさげて、自らプラネットに出向移籍した人である。ライオンの関連会社で公開ははじめてだそうである。ライオン出身の経営者には、アスクルの岩田社長がいる。アスクルは、プラスの子会社であった。ライオンとは無関係である。
 10年ほど前に、玉生社長とは取材(チェーンストアエイジの連載)でお会いした。その後、日本生産性本部(現、社会経済生産性本部)のアカデミー出身者であることがわかり、法政大学の大学院で話をしていただいたりしている。来月(5月)31日には、専門職大学院で「起業」について講演をお願いしている。ぴったりのタイミングである。
 VAN(付加価値通信網)会社が公開を果たしたことは、玉生さんの個人的な偉業はさておくとしても、それ自身が非常な驚きであり注目すべきことである。VAN事業は、プラットフォーム・ビジネスである。プラネットのコア業務は、業界の受発注データを仲介するという地味な仕事である。情報通信産業の業界標準を作ったとはいえ、「情報システムの共同運営会社」(わたしの定義)が立派に公開を果たしたことは、証券業界がプラットフォーム事業に対して、将来性と収益性を評価したことになる。これは、将来登場するかもしれない「NPO的な事業」が公開可能性を持っていることを示唆するものである。
 わたしどもの運営しているJFMA(花業界のNPO)にも、新しい展望が開けたような気がする。玉生さんが達成したことは、その点でもきうれしいのである。しかし、祝辞の際に皆さんがさかんに発言していたけれど、株式公開の先が大変そうである。さまざまな経営者をみてきたが、経営責任は、パブリック・カンパニーとなってしまうと、さらにきびしくなる。歯に衣着せぬ玉生さんだけに、別の意味でちょっと重圧かなとも思う。