愛読書の『月刊ランナーズ』(2020年5月号)で、「ランナーはコロナに負けない!」という記事を見かけた。編集部はずいぶん思い切った記事を書くものだと思った。だから、怪しみながら読み進んだ(6~7頁)。誌面では、ランナーがコロナに負けない5つの理由を挙げている。たしかに、思い当たる節はある。検証してみよう。
最初は、「この特集って、眉唾では?」と思った。根拠となる編集部の記事を紹介してみよう。そのあとで、ランナーの自分に当てはまるかどうかをチェックしてみる。「解説」の部分は、編集部の要約(文:こみや・しゅうへい:日産自動車の産業医)。「コメント」の部分は、わたし(小川)の所感である。
自分の日頃のランニング経験と合致しているかどうか? それを確認しながら、試みに赤筆を入れてみた。
さて、、、
理由①:ランナーは基本的にポジティブであり、明るく、積極的である。
解説: 生理学で、走ることで3種類のホルモンが分泌されることが知られている。ドーパミン、βエンドルフィン、セロトニン。これらのホルモンは、気分をポジティブにする。前向きな気持ちになるで、種々のウイルスが撃退ができ、身体の免疫力が高まる。
コメント:3つのホルモンが、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化するとのこと。実感はある。いやなことがあっても、暗い気持ちで走り始めても、3KMも走れば、そんなネガティブな出来事は完ぺきに忘れてしまう。5KMを超えると、楽しい出来事やつぎに飲む場所や相手を探しはじめる。基本的に、ランナーが「前向きんぐ」(わたしの造語で王様のように前向きな姿勢を表すことば)」なのは、ホルモンの分泌と関係があることは、以前から知っていた。
理由②:ランナーはストレス解消がうまい
解説: いやなことがあると、ストレスホルモンのコルチゾールが体内に大量に放出される。これはNK細胞の機能を弱めるが、運動はコルチゾールの分泌を抑制することがわかっている。そして、運動によるストレス抑制効果は、48時間持続するといわれている。
コメント:たしかに思い当たる節がある。というのは、日ごろのランニング経験で、中一日を走らずに空けても大丈夫だからだ。一日走らなくとも、体調と気分に顕著なマイナスの影響は出ない。ただし、中二日となると途端に調子が悪くなる。悪玉のコルチゾールが悪さをするからだ。運動が48時間の持続効果を持っているのは、経験的にもよくわかる。
理由③:ランナーは若返りホルモンがたくさん出ている
解説: 運動すると、奇跡のホルモン(DHEA)が分泌される。いわゆる「若返りのホルモン」だ。運動しているひとは、若く見える。いや実際に見た目も若い。しかも、見た目だけでなく、副腎皮質から分泌されるDHEAのおかげで、基本的に長生きするようになるらしい。ランナーには朗報だ。長生きホルモンのおかげで免疫力も上がり、わたしたちは病気をしにくい。
コメント: わたしは68歳だが、ふつうは50代後半に見られる。ヨイショもあるだろうが、「先生は、52~53歳に見えます!」と言われることもある。先週のインタビューで、「㈱物語コーポレーション」の小林佳雄会長から、「本当に68歳ですか?」と不思議がられた。見た目が若いのは、明らかにマラソンのおかげだ。肌もつやつや、白髪もあまりない。顔や手にしわやシミがほとんどない。
理由④:ランナーは基礎代謝が高く、体温が高い
解説: 体温と免疫力の関係はよく知られている。体温が下がると、免疫力が低下してウイルスが増殖しやすくなる。最大の防御法は、とくに下半身の筋肉量を増やして燃えやすい体を作ることだ。目指すべきは、平熱36.5℃だそうだ。基礎代謝を上げることがポイントになる。
コメント: わたしの平熱は、36.6℃。平均的な目標値を超えている。やや燃費は悪いが、基礎代謝はかなり高い。少し前まで、一日の消費カロリーが4000Kcalだったこともある。「子供みたい!」と言われていた。そもそも免疫力が高いので、風邪を引くことがない。風邪に罹っても、一日で回復する。30数年間、学生にとってはとても気の毒なのだが、休講がない珍しい先生だ。
理由⑤:ランナーはぐっすり眠れる
解説: 快眠で免疫力が上がることが知られている。一日の体のダメージは、よく眠ることで修復できる。睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が快眠を誘発する。メラトニンの材料がセロトニンである。①で述べたように、走ることでセロトニンが分泌される。とくにセロトニンの分泌には、ジョギングや水泳、ダンスのようなリズム運動がよいとされている。
コメント: 飲んだ時は夜中に起きてしまうが、少なくとも、眠れないということはない。寝つきはきわめつき良いようだ。アルコールの助けはあるが、眠らなくて困ることはにない。とくに、ハーフマラソン以上の距離を走った後、激しい運動したときは抜群の快眠が得られる。至福の時だ。
以上、わたしは、健康で幸せな人生を送っているように見えるらしい。基本は、よく走り、よく食べて、よく眠れるからだ。なので、特集記事の内容は、わたしに100%当てはまる。経験的に正しい。その実践者がここにいる。今日からマラソンを走れば、コロナが撃退できる。すぐにでも走りはじめなさい。