涌井さん(上級執行役員、商品本部副本部長)には、2015年に一度インタビューをお願いしていた。「アナザーチョイス」(寄付とフードロス削減を組み合わせたプログラム)をはじめる直前のことである。杉原さん(広報部マネージャー)によると、「前回のテーマは、食品添加物やフードロスの解決策でした」とのこと。
昨日は、質問項目の送付が、午前中ぎりぎりになってしまった。ところが、午後14時からのインタビューの前に、涌井さんはワード2枚の回答を事前に準備してくださっていた。ご本人のフットワークが軽いのと、インタビューに対する熱の入り方が、前回とはちょっと違っていることを感じることになった。
涌井さんは、大きなプロジェクトを2つ抱えている。そのうちのひとつは、実験終了後でないと情報を公開できない。結果は、8月になって本ブログで公開を予定している。結果を楽しみにしているが、たぶん実験は成功すると思う。
涌井さんへの質問は、以下の4点(1~4)だった。詳しいコメントは、今回は省略することにした。
1 ローソンでの担当部門・役割
前回(5年前)と変更はあるのか?
2 AIセミオート発注について
①基本的な考え方、取り入れている要因とAIの貢献度
②2014年以降、これまでの会社としての対応の変化
セミオートから次世代のセミオートへ
③全国導入前の経緯
3 オーナーさんからの意見
セミオート発注には、否定的な意見もある。
理由と対応をどのように理解しているのか?
4 その他
<インタビュー後のまとめ:フードロス削減と民主化されたAI発注>
14時からのインタビューでは、わたしからは質問を対して、涌井さんは真摯に答えてくださった。
セブン-イレブンと競合2社の違いは、鈴木敏文さん(創業者)が徹底して実践してきた「ある程度の廃棄は出してよいから、機会ロスを極力出さないこと」にあったと考える。そのための方針は、店舗に商品を積み上げることだった。
鈴木指針は、SDGs全盛の時代に、いまや社会からフードロス削減への圧力を受けることになっている。しかし、ロス削減のために値引きを良しとするようになった今でも、セブン-イレブンの店頭在庫は、他の大手2社を上回っている。経営手法としては、決して間違っていたわけではない。
現状に対して、次世代SA(セミオート発注)を軸にしたローソンの対応が興味深い。値引きのオペレーションを組み合わせることで、フードロスを削減しながら最適な発注を決めることを狙っているからだ。経営陣が到達した方策が、「発注の民主化」(店舗主導のAI発注)である。
「ローソンがセブンを超える日」(『新潮45』:2016年発表の小川の論文記事タイトル)が到来するとしたら、涌井さんが企画した次世代セミオート発注の仕組みが、現場で狙い通りに機能するかどうかにかかっている。それを支えるためには、物流(SCI)との統合が必要である。配送頻度が1日3便から2便に変わるからだ。物流の「2024年問題」が目前に迫っている。