株式投資をはじめて、今年で20年になる。もっとも結婚する前、大学院時代にごく短期間(1年半)、信用取引に手を出して痛い目をみたことがある。結局は、友人たちから集めた元本をほぼ失ってしまった。損失分を個人的に補填して、その後の20年間は株式投資は封印していた。
仕事や個人の運と同じで、株式の変動は景気に左右される。良い時もあれば悪い時もある。しかし、長期的にみれば、定期預金などに比べれば、株式投資の利回りについては、かなり良好なパフォーマンスを期待することができる。金持ちがもっと金持ちになる理屈でもある。
大学院時代の失敗を教訓に、2002年からは株式投資を再開した。子供が大きくなって独立したことや、大学からいただく給与やコンサルティングの報酬が増えて、出版物から多少は印税が入るようになったからだった。過去の取引記録が完全には残っていない。ただし、2012年以降は、電話注文からネット取引に完全に切り変わったので、過去の取引に関してデータを遡及できるようになった。年度別の取引パフォーマンス(戦績)を、いつでも遡及することができる。
個人情報を公開してしまう。ここ10年間(2012年~)では、2016年を例外として(▲5%)、9年間は黒字である。それもコンスタントに、期末投資残高に対して10~20%の投資収益率を記録している。
ちなみに、配当金と株主優待分を含めると、年平均の投資収益率は15~25%の間になるだろう。ただし、この金額には、個人的に得たストックオプションからの株式売却益は別会計になっている。
学生時代の失敗は、①信用取引に手を出したこと、②短期的な売買を繰り返したこと、③情報のソースが一貫していなかったこと(直観や思い込みでの投資)の三点から来ていた。これでは、投資の戦績が良くなるはずもない。たいして資金がないところへ、必要な情報をもちあわせていなかったからだ。
その反省から、再度チャレンジした株式投資では、①現物取引のみに限定すること(自由な余裕資金でのみ投資すること)、②長期的な投資に徹すること(持ち株の約半分は、最低2年~5年は保有すること)、③投資に関わる情報は、自作の「参照指数」(内緒である!)を用いて実施すること。この三点を基本としてきた。
さらに言えば、ここ10年間は、投資した株式の約半分は、友人が重要なポジションに就いていたり、知り合いが経営している企業だった。しかし、当たり前のことだが、いわゆる「インサイダー取引」には手を染めていない。短期的に株価が上昇することになる重要な情報を、期せずして知りえたこともあった。その場合でも、当該企業の株式は買いも売りもしなかった。
正直をいえば、儲かることがわかっている機会をあえてスルーしてしまうのは、それはそれで勇気がいることではあった。聞いてしまったので、、危ない橋を渡れば、瞬間で数億円の収入も得られたはずだった。しかし、職業柄(大学教授で企業内部の取材ができる)そうした投資行動は避けてきた。必ずやインサイダー取引はバレることを知っていたからでもある。
しかしながら、長期的な投資に関しては、職業柄持っている知見が大いに役に立っている。取材先の経営者のインタビュー、データ分析した結果から、将来性がありそうな企業の株式は、長期保有を前提に投資をしてきた。結果として、友人・知人が経営している会社の株式を保有していることが多い。
いま振り返ってみると、幸運がわたしに降ってきたのだと考え直している。株式投資を、友人が経営している会社を応援する行為だと割り切れば、売買ルールは比較的シンプルになる。この先も成功して、会社が伸びていってほしい。企業の成功は、そこで働いている人たちにとって幸せな結果になる。
わたし自身が応援の対象としている企業に、今後も投資を継続していけばよいだけなのだ。いまの株式投資から得られる収益は、数年先になるかもしれないが、いずれに自分の未来プロジェクトに使いたいと考えている。