2014年の再現か? 業績好調な大手小売業が商品を値下げ

 カインズ、コメリ、無印良品に続いて、ユニクロが「全商品を9.1%値下げする」と発表した。このニュースを聞いて、消費税が5%から8%に上がった7年前のことを思い出した。あのときも、業績が好調だった大手小売業(上記4社など)は、今回と同様に実質的な値下げを決めた。本体価格を引き下げて、消費税分(3%)を消費者に還元する道を選んだ。

 

 『日経ビジネス(オンライン)』(3月4日号)で配信された「ユニクロ全商品約9%値下げ、本体価格をまんま「税込み価格」に」というクリップ記事によれば、「ファーストリテイリング傘下のユニクロが、3月12日から全商品を一律約9.1%値下げすることが、日経ビジネスの取材で明らかになった。2016年以来5年ぶりの値下げとなる。同じファストリ傘下のジーユー(GU)も、ほぼすべての商品を同様に約9.1%値下げする」(庄司容子記者)。

   

 特例措置が今月末で終わり、4月からは総額表示が義務付けられる。表示価格が「本体価格+消費税」の総額表示なる。ユニクロなどの大手小売業の商品は、「端数価格」(990円や1980円など)を価格付けの基本としている。心理的安さを演出するためである。

 うかつにも気がつかなかったのだが、庄司記者によると、ユニクロの商品はすでに総額表示に切り替わっていたとのこと。「以前の値札では「本体価格+消費税」を表示していたが、最近は金額表示だけになっていた」。

 無印良品やカインズでも、全面的に商品の値下げに踏み切ることが決まっている。この低価格競争の再燃は、アパレルだけでなく、家庭用品やドラッグ、スーパーにも波及しそうな気配である。行きつく先は、日本ではこれまで遅れていた「企業シェアの上位集中度」が急速に高まるのではないだろうか。

 体力のある企業が、この機会に実質的な値下げ踏み切ることで、下位企業は完璧に振り落とされる可能性が出てきた。M&Aが進展するのではなく、広範囲な小売業で倒産や撤退が始まるような気がする。4月からの小売り競争環境の変化に注目したい。