本日発売の地元紙に、「花産業の危機」というコラムを寄稿しました。春彼岸(17日~23日)には間に合ったようですが、3月の需要期に向けて海外から来るはずの切り花が、産地で完全にストップしています。アフリカに依存しているオランダのセリ市場は悲惨のようです。日本も例外ではありません。コロナ禍で売れないるはずなのに、海外からの供給もストップしています。
「花産業の危機」『北羽新報』2020年3月26日号
文・小川孔輔(法政大学経営大学院・教授)
新型コロナウイルスの感染は、人々の生活に大きな影響を与えています。マスクやトイレットペーパーの買いだめで、スーパーやドラッグストアの棚が空っぽになっています。幸いなことに、食料品だけはいまのところどうにか確保できています。
一方で、世界的に危機的な困難に直面している産業があります。花き産業です。花は不要不急の商品です。そのため、今回のように祝賀会や歓送迎会が自粛になると、直接的な影響を受けます。また、生鮮品なので在庫ができないという欠点があります。
日本の花市場も深刻な状況にありますが、それ以上にたいへんなのが花の国オランダです。本日、農業関係の友人を介して、オランダから悲痛なニュースが入ってきました。
自動翻訳の「グーグル翻訳ソフト」(ずいぶんと便利になりました!)を使って、オランダ語を翻訳してみました。以下は、3月16日に配信された「オランダの園芸部門は転倒の危険にさらされている」(レムコ・ファン・デル・メイ氏)という記事の抄訳です。
一方で、世界的に危機的な困難に直面している産業があります。花き産業です。花は不要不急の商品です。そのため、今回のように祝賀会や歓送迎会が自粛になると、直接的な影響を受けます。また、生鮮品なので在庫ができないという欠点があります。
日本の花市場も深刻な状況にありますが、それ以上にたいへんなのが花の国オランダです。本日、農業関係の友人を介して、オランダから悲痛なニュースが入ってきました。
自動翻訳の「グーグル翻訳ソフト」(ずいぶんと便利になりました!)を使って、オランダ語を翻訳してみました。以下は、3月16日に配信された「オランダの園芸部門は転倒の危険にさらされている」(レムコ・ファン・デル・メイ氏)という記事の抄訳です。
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オランダの園芸部門はコロナ危機により大きな打撃を受けました。政府と銀行からの緊急融資がなければ、多くの企業は数週間以内に破産するでしょう。オランダ花き市場のスティーブン・ファンシルフガード総局長は説明します。
需要が減少したことで、花き市場は劇的な低価格を経験しています。3月に入って、セリ時計で花の価格がマイナス50%にまで下落しました。100年以上の歴史を持つ協同組合が、これほど劇的な経験をしたことがありません。生産者と商社、企業の存続が危機に瀕しています。
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オランダの園芸部門はコロナ危機により大きな打撃を受けました。政府と銀行からの緊急融資がなければ、多くの企業は数週間以内に破産するでしょう。オランダ花き市場のスティーブン・ファンシルフガード総局長は説明します。
需要が減少したことで、花き市場は劇的な低価格を経験しています。3月に入って、セリ時計で花の価格がマイナス50%にまで下落しました。100年以上の歴史を持つ協同組合が、これほど劇的な経験をしたことがありません。生産者と商社、企業の存続が危機に瀕しています。
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オランダは、世界の花の貿易額の35%を占めています。記事にもあるように、オランダの卸市場では価格が通常の半分に落ち、先週の金曜日には、国内外から供給された花の20%が廃棄されました。買い手がつかないためです。
オランダは輸入した花を、欧州全域とロシアなどに再輸出しています。一部は日本にも入ってきています。そして、オランダの花市場に切り花を供給しているのは、アフリカ(ケニアやエチオピア)と中南米(コロンビアやエクアドル)の国です。母の日に向かうこの期間は、オランダの市場では、通常の売上高が週に1億5000万から2億ユーロ(約200億円~300億円)です。途上国のからの供給量が全体の約7割を占めています。
他方で、アフリカや中南米の花生産国は、その国の収入のほとんどをバラやカーネーションの輸出に依存しています。先週の金曜日のように、花の価格が半分になり、20%が廃棄や門前払いにでもなれば。これら途上国の収入の3分の2が消えてしまうのです。オランダの貿易関係者もたいへんなのですが、アフリカや中南米の人々の生活が成り立たなくなるわけです。しかもこの状態は、5月の母の日まで続くことになりそうです。
日本で貿易商社の女性経営者と、さきほどオランダの状況について話していました。彼女によると、アフリカの生産者から、「オランダが引き受けてくれない花を、なんとかして日本に送れないだろうか?」という問い合わせが、先週からひっきりなしに来ているそうです。
春彼岸の真っ最中で、日本の花の市況は落ち着いてきています。こんなときなので、彼女は海外の生産者を救ってあげたいと思っているそうです。ただし、最大の問題は物流でした。花を運んで来ようにも、国境封鎖でエアラインが減便あるいは欠航になっています。一般に、切り花は貨物便ではなく、通常の旅客機の胴体に積んで運びます。人間が移動できなくなると、花の移動も困難になるのです。思わぬところに、落とし穴があったわけです。
オランダは輸入した花を、欧州全域とロシアなどに再輸出しています。一部は日本にも入ってきています。そして、オランダの花市場に切り花を供給しているのは、アフリカ(ケニアやエチオピア)と中南米(コロンビアやエクアドル)の国です。母の日に向かうこの期間は、オランダの市場では、通常の売上高が週に1億5000万から2億ユーロ(約200億円~300億円)です。途上国のからの供給量が全体の約7割を占めています。
他方で、アフリカや中南米の花生産国は、その国の収入のほとんどをバラやカーネーションの輸出に依存しています。先週の金曜日のように、花の価格が半分になり、20%が廃棄や門前払いにでもなれば。これら途上国の収入の3分の2が消えてしまうのです。オランダの貿易関係者もたいへんなのですが、アフリカや中南米の人々の生活が成り立たなくなるわけです。しかもこの状態は、5月の母の日まで続くことになりそうです。
日本で貿易商社の女性経営者と、さきほどオランダの状況について話していました。彼女によると、アフリカの生産者から、「オランダが引き受けてくれない花を、なんとかして日本に送れないだろうか?」という問い合わせが、先週からひっきりなしに来ているそうです。
春彼岸の真っ最中で、日本の花の市況は落ち着いてきています。こんなときなので、彼女は海外の生産者を救ってあげたいと思っているそうです。ただし、最大の問題は物流でした。花を運んで来ようにも、国境封鎖でエアラインが減便あるいは欠航になっています。一般に、切り花は貨物便ではなく、通常の旅客機の胴体に積んで運びます。人間が移動できなくなると、花の移動も困難になるのです。思わぬところに、落とし穴があったわけです。