秋田県民は、本当に不幸か?

 友人の渡部さん(山形おきたま農協)から、携帯にメールが飛んで来た。「2019年幸福度ランキング、東北は苦戦ですね。山形はかろうじて30位台に」。秋田県民は、100点満点の60.5点。ダントツの47位。46位が岩手63.3点。45位が東京63.5点。生まれ故郷が47位、現居住地が45位とは、わたしはまるで「不幸」を背負って歩いている人間のようだ。

 

 ただし、この調査には、トリックがある。

 ダイヤモンド(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191119-00220953-diamond-soci&p=2)の記事によると、

 

● 1位宮崎県、2位熊本県、3位福井県 幸福度は「西高東低」の傾向あり
 「都道府県『幸福度』ランキング」1位は、宮崎県で72.4点となった。幸福度2位は熊本県の71.0点。そして3位は、『全47都道府県幸福度ランキング2018年版』(〈一財〉日本総合研究所)でもトップの常連になっている福井県(70.6点)だった。
 一方で、40位以下に目を移すと、東北地方の5県が並ぶ(40位宮城県、43位青森県、福島県、46位岩手県、47位秋田県)など、東北各県の幸福度が低い結果となった。また、関東も40位以下に神奈川県(41位)、東京都(45位)がランクイン。このことから、東日本の順位が総じて低いのに対し、西日本の幸福度は相対的に高い結果となった。
 
 この県民満足度調査は、ネット経由のアンケート調査で実施されたもので、サンプル数は1万5925人。調査時期は、7月12日~19日。「あなたは幸せですか」という問いを住民(県民)に投げかけ、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」の5段階方式の回答を100点満点に換算した結果である。
 通常の幸福度調査(日本総研などが実施)は、アンケートではなく、合計特殊出生率や住みやすさのインフラ(下水道完備率)などの客観的なデータを合成した指数を採用している。今回のアンケート調査は、「主観的な指数」になっている。住民たちが「幸せに感じているかどうか」を調べているので、指数としてはこちらのほうが妥当と感じる。その一方で、結果については解釈に注意が必要だと思う。
 コメントに書かれているように、アンケート調査の「幸福度」は、西高東低である。なぜか? 筆者の仮説は単純である。詳しくデータを分析したわけではないか、年間の平均気温(西高東低)と日照時間が「幸福度」に影響しているように思う。秋田県は、全国で日照量が最低で、そのため自殺率が高いことが知られている。
 日照不足は、うつ病の原因になる。わたしの秋田の知り合いで、たしかに自殺者が多い。東京都など関東地区に満足度が低い県があるのは、ストレスの大きさだと説明がなされている。たしかに、沖縄や宮崎など南の国はストレス度合いが小さそうだ。
 それでは、秋田県民がほんとうに不幸なのかと言えば、そうでもないように思う。まずは、食べ物がうまい。冬のきりたんぽ鍋やしょっつる、春は山菜やたけのこ、秋はキノコ。海の幸も豊富だ。沖合にはぶり、沿岸にはハタハタ、海岸から投げ釣りをすると、小型ながらキスはガンガン釣れる。
 美味しいお米ができるので酒もうまい。男目線でいえば(今の基準だとセクハラ発言になるが)、女子は美人でもち肌だ。住まいを考えると、土地値はただ同然。アパート借りる場合は、賃料も安い。温暖化の影響で、50年前に比べると冬の寒さはずいぶんと和らいだ。雪もあまり降らないのだから、不幸をもたらす深刻な問題はずいぶんと解消したように思う。
 最後は、心の持ちようなのだと思う。「秋田はいいとこだ」とみんなが思い始めれば、福井県人のように、幸せになれるように思う。どうだろうか? いまの秋田県民は?