国内には、玉ねぎの3大産地がある。北から、北海道、淡路島、佐賀県。北海道は、春に苗を植え付けて秋に収穫。佐賀では、夏に植えて冬場に収穫する。ところが、淡路島はやや特殊で、秋10~11月に幼苗を植えて、春の5~6月に玉ねぎを収穫する。他の産地に比べて、淡路島の玉ねぎが甘くなる理由の1つが、玉ねぎが「越冬する」からである。
10月22日に、ローソンファーム兵庫を取材した。原田脩平社長とは、ローソンファームの社長会で何度かお会いしている。初めてではないので早速、素朴な疑問に対する質問から始めた。淡路島の玉ねぎはなぜ甘くできるのか?
中嶋農法で作物を育てるので、収穫した玉ねぎのアミノ酸やミネラル分を、収穫後に測定している。検体の微量要素は、通常の方法で栽培された北海道や佐賀の玉ねぎより、明らかにミネラル分を多く含んでいる。
原田社長の仮説は、淡路島の玉ねぎが甘いのは、ミネラル分の他に、グルタミン酸を多く含んでいるからではないのかであった。中嶋農法は、別名で「ミネラル栽培法」とも呼ばれている。
原田社長の仮説は、淡路島の玉ねぎが甘いのは、ミネラル分の他に、グルタミン酸を多く含んでいるからではないのかであった。中嶋農法は、別名で「ミネラル栽培法」とも呼ばれている。
淡路島に視察に行くことになったので、周囲の料理研究家やキャベツの育種家などに、兵庫の玉ねぎ農家を訪問することを伝えた。往路の飛行機からWi-Fiを通して、弟子たちの何人かから、淡路島の玉ねぎについて意見やイメージについての感想評価などをもらった。
例えば、料理研究家の新田美砂子さんからは、「おはようございます。淡路島の玉ネギは、苗を植え付けたころですね。七宝種苗という会社のもみじ3号という独特な品種を栽培していて、甘くて美味しく、玉ネギドレッシングなどの加工にもむいているんです」。
原田社長に尋ねたところ、ローソンファームの兵庫では、早生のレクスター、七宝に続いて、ターザンやもみじ3号の順番で苗を植えている。晩生の品種としては、甘70というのがあるらしい。サラダに一押しの品種だが、傷みやすいのが欠点だ。
例えば、料理研究家の新田美砂子さんからは、「おはようございます。淡路島の玉ネギは、苗を植え付けたころですね。七宝種苗という会社のもみじ3号という独特な品種を栽培していて、甘くて美味しく、玉ネギドレッシングなどの加工にもむいているんです」。
原田社長に尋ねたところ、ローソンファームの兵庫では、早生のレクスター、七宝に続いて、ターザンやもみじ3号の順番で苗を植えている。晩生の品種としては、甘70というのがあるらしい。サラダに一押しの品種だが、傷みやすいのが欠点だ。
玉ねぎの定植期間は、10月末から12月まで。11月から少しずつ品種をずらして植えていく。収穫時期を分散するためである。実際のところは、1つの品種で大量生産することができないという事情があるからだ。
新田さんがメールに書いてくれたように、ロー論ファーム兵庫で生産しているのは、香川県の七宝種苗の品種がほとんどである。他の品種と比べて、もみじ3号が特別に甘いということはデータ上は確認されていないらしい。むしろ、品種特性より、以下で説明する気候条件や土壌の性質によるものかもしれない。
ここまでのところをまとめると、淡路の玉ねぎが甘いのは、①品種特性(七宝種苗の種子を採用していること)、②玉ねぎが越冬して、旨味成分が蓄積することのふたつが理由として挙げられる。
原田さんの説明によれば、越冬した玉ねぎは、5~6月の収穫時期までに地上部が完全に枯れてしまう。そこまで圃場に放置された結果、施肥された土壌中の窒素分を、玉ねぎが全て吸い上げてしまうからではないのか? また、淡路島では、昔から淡路牛の飼育が盛んで、その時に出る堆肥を土中にすき込むことが、玉ねぎを甘くすることに貢献しているかもしれない。原田さんの「甘さ仮説」である。
ここまで来て、原田さんからは、三番目と四番目の仮説を提示された。
③温暖な気候と土壌の特性
ローソンファーム兵庫がある場所(南あわじ市北阿万稲田南)は、南北に山が迫っている。どちらの方向からも柔らかい風が吹いてくる。そして、その風は一部、潮を含んでいる。塩分が、甘さを際立たせる役割を果たしているらしい。土壌は粘土質だが、乾くと「さらさら」だという。
④日照時間と降雨量
山梨の北杜市や明野町に続いて、山口から兵庫までの瀬戸内海沿岸は、日照時間が長いことで知られている。淡路島も年間を通じて日照時間がかなり長い。そして、温暖な気候とともに、この地方は降水量も平均より少ない。どちらの気候条件も、玉ねぎが甘くなるのに向いている。
以上の4つの条件(細かくカウントすると6つの条件)があるので、淡路島の玉ねぎは甘くなる。原田社長は、ミネラルの含有量を測定した調査結果をデータで示してくれた。一般の消費者(主婦)だけでなく、専門家の青果バイヤーの間でも、淡路島の玉ねぎの味覚には定評がある。「淡路の玉ねぎは美味しいです。日本一だと思います」(コープデリの木村芳夫バイヤー)。
それで、実際に調理をしてみて、どの程度みなさんが、淡路の玉ねぎを美味しいと感じるのだろうか? そして、他産地のものと、有意に美味しさに差が出るものなのかどうか。
インタビューが終わったあと、原田社長から提案があった。
「小川先生のお知り合いの方に、うちの玉ねぎ(ターザン)を送らせてください。食べた感想(食味など)を知りたいのです」。わたしの周囲には、料理研究家や青果バイヤー、フード関係のコンサルタントなど、たくさんの専門家がいる。わたしにとっても、渡りに舟である。専門家の評価も知りたいと思う。
帰りの飛行機の中で、8人の専門家とグルメを選抜し、依頼のメールを送ってみた。その日のうちに、「淡路島の玉ねぎ評価チーム」が結成された。いまから原田社長に、男子2人・女子6人の住所と電話連絡先のリストを送るつもりでいる。
数週間以内には、結果がまとまるだろう。ブログ読者は、結果を楽しみにお待ちください。
追記:ローソンファーム兵庫の経営的な話は、別の機会で紹介したい。