【取材こぼれ話】 若者の新しい働き方、「ボラバイト」って知ってますか?

 昨日、『食品商業』の連載で「ローソンファーム千葉」(篠塚利彦社長)を取り上げるため、千葉県香取市にある同社のプロセスセンターを訪問した。取材の最後に、篠塚さんが「従業員が定着しない」という嘆き節になった。3年半ぶりの訪問だったが、当時4人いた従業員が一時期8人に増えて、その後はまた減って4人になったという。人材確保でやや困っているという話だった。

 両親と兄が経営している芝山農園で、短期で若者を雇用するため「ボラバイト」というシステムを活用していた。そこで、ローソンファーム千葉でも、この仕組みでバイトを募集してみた。なんと、募集と同時にたくさんの農業ボランティアが集まってきた。人によって働く期間はちがうが、最短で5日から長くて3か月。短期間だが、彼らはよく働いてくれるらしい。

 初めて聞く言葉、ボラバイト!(ボランティアバイト) ネットで調べてみたら、、、
 「ボラバイト」とは、ボランティア(volunteer)とアルバイト(arbeit)を合わせた造語です。全国の学生・社会人が経験したことがない仕事を経験する事や、地方の人たちとふれあう事を目的として、農家での農繁期、宿泊施設でのハイシーズンなど、地方で人手を必要としている時期にお手伝いに伺い、一緒に働き、コミュニケーションを図ることを最大の目的としています。※雇う側をボラ バイト先、働く側をボラバイターと呼んでいます。

 篠塚さんによると、自社農園にで集して集まってきた若者は、女性が8割、男性が2割。香取市は、成田空港に近いのでボラバイトが集まりやすいらしい。中には、アフリカにボランティアに行く前に二週間だけローソンファームで働いて、戻ってきてからまた働く女子がいたらしい。ふだんはIT企業で働らいていて、有給休暇を利用して農作業のバイトで汗を流す趣味人もいる。
 篠塚さんによると、彼らの際立った特徴は、「コミュニケーション能力」が高いこと。農業体験を趣味にしているだけに、正規の従業員より農作業が上手なアルバイトもいるらしい。その働きぶりに、篠塚さんも舌を巻いていた。短期間で農業体験をする若者はほぼ20代の男女で、ジプシーのように全国の農場を渡り歩いている。そのむかし、ユースホステルの制度があったが、農業体験ツアーを楽しんでいるのは、一種の農的ジプシーの群れと考えてよいのだろう。

 ローソンファーム千葉では、このところ、ボラバイトに作業を依存することが多くなっている。「宿と食事だけ提供できれば良いので、最低賃金で働いてくれる彼らはとても使い勝手がいい。便利」(篠塚さん)。人件費が高騰しているので、短期間だが安くて良質な労働力を提供してくれる彼らには重宝しているとのこと。

 新しい労働形態が、日本でも広がっているのだろうか。「ボラバイト」は、募集するとすぐに集まってくるというから、この「体験型労働市場」はばかにならない規模をもっているかも。わたしたちが思っている以上に、市場規模が大きいのかもしれない。学生たちに聞いてみようと思っている。
 コンビニや居酒屋で働くより、自然の中で植物と暮らす農的な体験。こちらのほうが精神衛生上よろしいのではないだろうか。「ボラバイト」というは働き方。その仕組みを知った衝撃の一日でした。