【学生感想文】福島徹 著『福島屋 毎日買いたくなるスーパーの秘密』日本実業出版社

読書感想文優秀者4年生12名を2回にわけて掲載する。
1回目掲載:7名(大川真奈、大戸恵、鳥羽航平、内山智博、中川里紗、今出川ゆい、菊地真帆)


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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 大川真奈

 他のスーパーとはどこか違う。それが福島屋さんの第一印象である。恥ずかしながら、福島屋さんへ行ったのは、12月に秋葉原のお店を見学させてもらった時が初めてだった。店内には旬の野菜やこだわり抜いた商品がたくさん取り揃えてあり、見ていてとてもワクワクしたのを覚えている。山積みされた“お買い得商品”や“特売品”などが置いてある一般のスーパーとは、一線を画す存在のように感じた。
 以下、福島屋がお客様に支持され続ける経営の秘密をみていこうと思う。

 「売り場づくり」。売り場はお客様が“食”と出会うスーパーの要である。他のスーパーへ行くと特に野菜が乱雑に置いてあるのをよく目にするが、福島屋は違った。野菜の彩りや大きさ、形などをよく考えて陳列してある。実際、秋葉原のお店はとてもみやすく、どの商品も魅力的に感じる売り場であった。私がワクワクした理由のひとつは、この売り場づくりに隠されていたのだと、本書を読んで納得した。
 また、商品のPOPにも工夫がなされていた。普段私が行くスーパーは、安さを目立たせるためのPOPが多い。しかし福島屋さんは価格訴求ではなく、どんな風に料理をしたらいいのか、どのような特徴があるのか等、その商品のプラスアルファの情報を丁寧に伝えている。決して押し付けではなく、購入時の判断材料としてのPOPは、その商品の魅力を最大限に引き出せるとともに、買い物の楽しみのひとつになると感じた。

 私は去年チュラルローソン班の活動で、年間を通して「売り場づくり」に関わらせていただいた。売り場を自分たちの手で変えることは、初めてのことだったので、最初はただ並び順を変えるだけに留まっていたが、企業様からのアドバイスもあり、どうすればお客様が興味をもってくれるかを考えながら取り組むようになった。装飾や台を使用することで商品を魅力的にみせ、商品の良さが伝わるPOPを作成することで売り場にオリジナリティをだした。すると、次第に売上が上がっていったのだ。
 この経験と本書を通じても、やはりお客様目線になって考えることが一番大切なのだと改めて実感させられた。

 「共存共栄」。お客様に、安心安全で美味しいものを提供したいという想いから、福島屋さんは早くから産地直送にこだわり、自分の目と耳と足できちんと確かめてから直接生産者から仕入れている。私は正直、直接取引する先を開拓することは相当な時間と労力が必要で大変だろうなと思ったが、それでも直接仕入れることにこだわるのは、やはり“本当に良いもの・美味しいもの”を届けたいという熱い想いがあるからだと確信した。
 しかし、農家の新規開拓はそう簡単なものではない。信頼関係を気づき、密接な関係を結ぶ必要がある。そのために何度も通い、経営的なことからプライベートなことまで全て腹を割って話したという。
 また、“儲かった分は還元する“ということには驚いた。普通のスーパーではまずありえないことだろう。浮いた利益は追わない。共存共栄の精神だからこそできることだ。

 「講座ビジネス」。真のニーズに応えるために、お客様を対象とした“食”に関する教室だ。これは、“良い商品を並べただけでは商品の魅力の伝達に限界がある”と感じたことがきっかけで始まったそう。確かに、私自身も目新しい商品や美味しそうな商品をみても、実際にどう調理して食べたらいいのかわからず、結局買うのをやめてしまうことが多い気がする。この講座によって、普段の生活ではなかなか知り得ない食の知識が増え、新しい食との出会いの場となる。他にはない面白い取り組みだなと感じた。
 また、お客様だけでなく、スタッフにとっても学びの場となり、食をさらに深めることのできる点も特徴である。売り場からどの商品を取り上げ、講座をどう展開していくか、一からスタッフ自身が考えていく。何度も経験を重ねることでスキルも上がり、自分たちのやっていることに誇りをもつようになる。やればやるほど士気があがり、売上につながっていく。講座を通じて、いい循環がもたらされているのだ。

 本書を通じて、いかに福島屋さんがお客様のことを第一に考えて商売しているのかが伝わってきた。今は、ほとんどのスーパーがお店側のエゴで商品を売っているように感じる。しかし、ただ安売りをしたり、自分の利益だけを追求していては、いつかその商売は終わってしまう。常に、共存共栄の精神で、安心安全で美味しいものを追求する福島屋さんだからこそ長年愛され、タイトルの通り、毎日通いたくなるスーパーなのだと確信した。これからの小売業の在り方について考えさせられる一冊であった。

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 大戸恵

 私はこの本を読んで、ここまでお客様目線で全てを考えているスーパーはあるのかととても驚いた。お客がワクワクするようなスーパーになるよう工夫されていたり、新しいものを一番前に出すなど、私たち消費者からしてみたらとても嬉しいことだが、実際に実行できているスーパーはあまりないと感じた。
 私の家の周りにはスーパーが3軒ほどあるが、大体同じような商品が同じような配置で並んでいる。親はポイントセールの曜日に合わせてスーパーを使い分けていると言っていた。実際に福島屋さんに行ったとき、スーパーにはなさそうなボウルサラダが売っていたり、見たことない商品がたくさん置いてあって「これはなんだろう」と少しワクワクした気持ちにさせられた。
 福島屋のお客様第一の信念はとても素晴らしいものだと感じたと同時に、福島屋の従業員の質の高さもそれに引けをとらないと感じた。

 他のスーパーとの決定的な違いであり、福島屋の良さを生み出している要因の1つは、従業員の質の高さ、つまりは高いレベルの従業員教育だといえるのではないだろうか。社員だけでなく、売り場担当リーダーやアルバイトまで参加するグラフィックワークショップを行っていると知りとても驚いた。店舗の棚の写真を撮り、月2回の頻度で集まってひたすらこの棚はもっとこうするべきだ、お客様から見て不自然じゃないかなどと議論を交わす機会を設けているスーパーなど他にあるだろうか。従業員同士で話し合う機会を設けることで、自然とお客様目線でものを考えるようになったり、仕事への意識も大きく変わってくるのではないかと思った。

 福島屋では「ああして、こうして」と具体的な指導をするのではなく、「お客様だったらどう思うか、お客様だったら何が嬉しいかを考えよう」と本にあった。この育てるのではなく、自ら育ってもらうという教育方針によって、1人1人の高いモチベーションに繋がっているのだと感じた。

 私はホテルのフロントのアルバイトをしているのだが、そこでは約400ページの新人教育マニュアルがある。特徴的なのは、ところどころ「自分がお客だったら何をされたら嬉しいか考えて見よう」という項目があること。トレーニングの中でお客様の気持ちに立って考えることが自然と身につくようになっている。その為か、ホテルの従業員はお客様目線にたって率先的に動く人がとても多いと感じる。
 例えば、アルバイトが英語版、中国語版のホテルインフォメーションの冊子や、空港までの行き方、ホテル周辺マップなどのフロント掲示物を率先して作り多くのお客様の手に渡っている。予約サイトの口コミを見ると、接客に対するお褒めの言葉を圧倒的に多く頂いていることからも、スタッフ1人1人のお客様目線の接客がそのような結果に繋がっているのだと感じている。
 自分自身の体験を例に挙げてみたが、その店舗の接客の良さや従業員の質を高めるためには、どうするかを教えるのではなく、どうしたらお客様が喜ぶかを常に考えるというその意識を根付かせることが大切だと思った。また、そこから生まれる高い接客サービスは、一朝一夕にして成せるものではなく、他店が真似できないその店独自の財産になるのだと思う。

 この本を読んで、お客様目線でものごとを考えることの大切さ、そしてそれは必ずお客様に伝わるのだということが分かった。しかしそれ以上に大切なのは、自分の失敗を認め、そこから何を学ぶか。そして成長するためにどうすれば良いのか考え続けることだと感じた。
 また、福島さんのものごとへのまっすぐな向き合い方が、創業40年間黒字を守り続ける所以なのだとも感じた。失敗から学び、次に繋げる為に考え続けることの大切さは、経営だけでなく、人としてこれから私自身が成長していく上でもとても大切なことである。この教訓を胸に刻み、来年からは社会人として成長していきたい。

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 鳥羽航平

 「買い物が楽しくなる」スーパー福島屋。売るのではなく、商品の良さを「伝える」ことに重点を置き、そこから「売る」につなげているという。店舗見学に行った際も、普通のスーパーとはちがい、商品が買いたくなるような魅力的なPOPや説明が施されていて、まさに商品の魅力が伝わってきて、楽しんでいる自分がいた。では、どのようなことで福島屋が差別化を図っているのか。本書を読んで気になったところについて、いくつか見ていく。

 まず、棚づくりへのこだわりである。福島さんは棚づくりこそ、店の生命線であると考えている。情報化が進み、データに基づいた棚づくりをするところも増えている。
 しかしそれではどこのスーパーも同じような陳列棚になってしまいオリジナリティがでない。売り場づくりは担当者が真剣に棚と商品に向き合い、考え続けることが大切であると福島さんは考えている。失敗して、考え直し、修正する。試行錯誤の繰り返しでどんどんお客様をワクワクさせる売り場になっていくのだ。

 売り場づくりと言えば、私は昨年、カインズ班でハロウィンとお正月コーナーの売り場づくりをさせて頂いた経験がある。具体的に、ハロウィンでは買い合わせを促す棚づくりや、ハロウィンピクニックやカッティングボードのポップをつくって、商品を使っての「体験」の提案をした。またお正月では正月飾りを飾る意味などが書かれたポップなどを設置した。
 本書と照らし合わせて考えてみると、自分たちカインズ班はおのずと売り場、商品、そして消費者と向き合い、考えられていたのではないかと思った。どうしたら売れるかよりも、この商品を使ってどのような体験をできるかを「伝える」ことによって商品の魅力を発信していた。結果として、売り上げが大幅に上がったわけではないが、このような姿勢でトライアンドエラーを繰り返していくことが大切であるということが、本書を読み自分の過去の経験と結びついた。
 そして福島屋は売り場改善のための、グラフィックワークショップというものを行っている。月に一回すべての売り場の写真を撮影し、それを評価、改善していくものだ。店で働く店長からアルバイトまで全員が参加するという。 このワークショップではその売り場担当者がそのような根拠で売り場をつくったのかが尋ねられる。そしてその根拠がお客様の気持ちを第一に考えたものでなければならない。これはお客様第一を徹底するためのワークショップなのだ。
 これはもちろん良い売り場をつくるためのものであるが、社員の意識改善や、スキルアップにもつながるのではないだろうか。常に最善の売り場を考える癖がつけば、自然とお客様目線の売り場を作ることができるし、それを下の人間へと受け継いでいけるのではないだろうか。

 最後に。本書を読み、一番感じたことは、福島屋は「お客様第一主義」を徹底しているスーパーであるということだ。中でも地域密着型の展開や消費者の食への意識改善などは特に自身の中で印象に残ったものだ。どこの地域でも同じような展開をしていては他のスーパーと変わらない。コストがかかっても、その地域のニーズに合ったものを提供する。
 食に関する教室(講座)をひらき食の知識や楽しさを伝え、食の意識改善をしていく。
 お客様のために、が詰まっている。もし地元に福島屋があれば私も行くと思う。(笑)

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 内山智博

 「美味しさづくりは幸せづくり」これは福島屋さんのコンセプトであり、本当に美味しいものだけを提供したいという、根底にある素直な気持ちだとある。その思いはきっと商品の秘める本当の美味しさや素晴らしさを知っているからこそ、私達消費者にも同様に伝わると信じているのだろう。だが、その思いを理解してもらうためには私たち消費者が実際に口にして実感する必要がある。そして口にするためには、まず商品を手にとってもらうことが大前提だ。厳選した商品を扱う福島屋だからこそ、その思いを発信するための工夫や考え方をこの本から多く学ぶことが出来た。

 その中でも一つ、最も印象深く感じたものが「思考力」だ。この考え方は福島屋における売り場提案やPOPの活用にみられた。一般的にスーパーやコンビニなど食品小売で商品をPRするための手段としてPOPは多く用いられる。実際、去年のフィールドワーク活動において私達の班はナチュラルローソンにて商品を売り出す際の売り場提案ではPOPを多く活用した。そんな多くの業態で扱われるPOP一つとっても、福島屋ではどうすればお客様に商品の良さを知って頂き、手に取ってもらうのかと知恵が張り巡らされていた。

 例えば、福島屋では乳製品・菓子・調味料といった加工食品には、含まれる添加物の種類・量などによって色分けしたシールが貼られている。さらに商品には福島屋独自の安心安全基準を設け、お客様に安心感を抱かせるとともにオリジナリティを演出している。ここで大事なことは、「お客様第一主義に徹する事」。情報を押し付けるわけではなく、あくまで商品選択の際に最適な補足情報を与えることだという。

 このように福島屋ではお客様の目線に立ち考える事が徹底されている。どんな動機でスーパーを訪れ、どんな購買欲求を持つのか、お客様は実に多種多様だ。様々な場面を想定し、どんな情報が役に立つのか、どんな言葉が商品に手を伸ばす最後の後押しとなるのか、福島屋の売り場構築では「思考」し続けられていた。

 私には去年の活動の中で思い出深い失敗経験が一つある。「マヌカハニー事件」だ。
私達は新商品提案の一つとして健康需要の高まりと一・二月の風邪予防意識の高まりを見越して、海外セレブの間で人気を集めた高級健康食品『マヌカハニー』の販促を計画した。商品は3000円6000円9000円と松竹梅商法で設定し、POPにより健康意識に対する訴求文と共に店頭に並べた。店舗全体の中でも圧倒的に単価の高い商品であったので、一つでも売れればカテゴリーの月売上は跳ね上がるぞと、浅はかな期待を持っていたのだ。結果は惨敗だった。マヌカハニーは一つも売れず私達の自信は打ち砕かれた。

 「売れるという発想を捨てろ」福島屋ではスタッフに強く言われ続けていることだという。商品に惚れすぎてしまうと、客観的に考える事が出来ず誤った先入観で判断を下してしまうからだ。私たちの失敗もまさにこの最たる例だろう。商品自体の魅力を信じすぎてしまい、どんな消費者をターゲットにどんな場面を想定しどんな情報が最適だったのか、お客様のことを一番に考える「思考力」が足りていなかったのだ。この本が当時の出来事を思いださせ、重要な経験として振り返る事が出来た。

 私はこの四月から社会人となり、今年度をもってゼミを卒業する。二年間のゼミ活動を通して、この「思考力」とその情報を人に伝える「発信力」を培う機会を多く頂いた。企業と提携し実際に現場に触れながら行うからこそ、多くの失敗や成功から「思考」を重ね、それらを消費者へ企業へ時には後輩へと「発信」していくことが出来た。ナチュラルローソンや福島屋とは業種こそ違うが、この力は今後社会人として活躍していくために重要な指針として私を支えてくれるだろう。
 多くの機会を与え支え教えて頂いた小川先生、現場を提供して頂いた企業様、切磋琢磨を繰り返した同期と後輩、すべての関係者への感謝の意と小川ゼミの更なる飛躍を願って、この最後の読書感想文の締めの言葉とさせて頂く。

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 中川里紗

 本書を読む前に福島屋秋葉原店に足を運んだが、私がイメージしていたスーパーとは違った。私がスーパーと聞いてイメージするのはイオンやライフといった食材を安く購入できるお店である。普段あまり見ない商品が沢山あり、ポップなどにも、工夫があった。店舗内をただ回っているだけで、なんだか楽しかった。価格帯は高いように感じたが将来こんなスーパーで買い物したいと思った。その後、本書を読み、福島屋に行った際に感じたことは間違っていなかったし、本当に良いもの、美味しいものを追求しているスーパーであるということが分かった。

 毎日通いたくなるスーパー福島屋。その秘密はどこにあるのか。
 福島屋の特色はオリジナルの品揃え。無農薬かつ自然栽培、旬の青果。調味料や加工品も、大手メーカーのものより、品質にこだわった地方メーカーやオリジナルブランドを扱っている。そのため生産数に限度があり、品切れになることもあるが、事情を伝え次の入荷日まで待っていただく。入荷日をしっかりと広報することで、品切れも心待ちするという楽しみに変えることができるそうだ。こだわりの商品、他店では購入できないものであったら、入荷を楽しみにまた訪れるお客様が多くいることに納得できる。

 そして、一番の特色はコミュニケーションを大切にしている点であると感じた。社員やスタッフだけでなく、生産者とお客様を巻き込みながら、売り場の磨き上げを行っている。生産者の方々を仲間と考え、一緒になって商品開発に取り組み、店の魅力を高める。お客様のアイディアを積極的に取り入れることにより、福島屋に愛着を感じ、福島屋のファンになっていただく。この点が、成城石井などの高級スーパーなどの多店舗と差別化できている理由であると感じた。

 ここでもう少し、福島屋のコミュニケーションについて述べていきたいと思う。私が特に印象に残ったのは、月に2回行う売り場改善のためのグラフィック・ワークショップである。青果、精肉、鮮魚等の各部門に分かれ、店長や部門主任、アルバイトも参加する。売り場や棚の写真を撮影し、スクリーンに映し全員で見ながら意見交換を行い、売り場改善に取り組む。さらには、ABCDの4段階評価も行い、CとD評価の売り場に関しては、念入りに意見交換し、改善していく。

 このグラフィック・ワークで大事なのは、お客様の目線で売り場や棚を吟味することである。ナショナルブランドが目立つかどうかではなく、お客様に対して、一番親切で思いやりのある売り場にするにはどうしたらいいかという発想が重要である。
 またこのワークショップで意識して投げかけている質問があると述べられていた。「何のためにこのお店をやっているのか」「なぜ、自分はここで働いているのか」「なぜお客様は来てくれているのだろうか」という問いである。スタッフ全員が、自分の意見を言い合い、共通認識や、目的を持ちながら働くことでモチベーションが上がるのだと感じた。

 この部分を読み、自身の短期で始めたオクトーバーフェスのアルバイト経験を思い出した。オクトーバーフェスでは、色々な地方のドイツビールが集まり、屋台のように、各店舗がお店を出している。1店舗のスタッフ人数は少なく、オーナーとの距離も近い。そのため、ビールのポップ作りや、お店のレイアウトなど、オーナーとも、スタッフとも直接意見を交わす機会が多くあった。自分の考えを聞いて、取り入れて頂けたときは非常に嬉しく感じるし、お客様へのおすすめにも力が入る。また、オーナーの熱い思いを直接感じることで、やる気も上がる。自分が自信をもって、おすすめできる商品には自然と熱意が入り、お客様の反応も良くなるような気がした。
 グラフィック・ワークショップへ参加するということは、目的意識を持つことはもちろん、ただの雇われバイト、現場スタッフというだけではなく当事者であるという意識が現場の士気を上げるのだと感じる。

 福島屋では、先ほど述べたワークショップだけでなく、講座ビジネスなどを通し、地域の方、スタッフ、生産者等のコミュニケーションを大切にしている。お店が軌道に乗るまで、多くの苦労が述べられていた。その苦労がすべて今の福島屋に繋がっている。今の時代、多くのものが溢れていて、クリック一つで購入できる時代であるからからこそ、小売業にとってコミュニケーションはキーワードとなるように感じた。

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 今出川ゆい

 先日、福島屋を見学させていただいた際、確かにどこを見てもなんとなくワクワクするような気がした。本書を読んで、一つ一つの商品のPOPや今までに見たことのない変わった商品が多いこと、店内の綺麗さ(明るさ)がその秘密なのだと分かった。
 福島さんの、顧客目線にこだわりぬいた経営の秘密に触れられる一冊だった。

 まず、本書を読んで自分の買い物を見直したいと思った。
 私は一人暮らしをしているので、買い物をするとなると、とにかく安いものを選びがちである。産地や生産者もあまり気にせずに選んでしまうことが多い。そのためスーパーにもこだわりがなく、家の近くにあるいつでも安く売っているお店を利用することが多い。
 しかし、参考に母に聞いてみると、「どこで何を買うか」ということに重点を置いているようだった。肉や魚を買うのならあのスーパー、野菜はできるだけ道の駅や、地元の直売所、というようなこだわりをもっていた。産地や生産者はもちろん、生鮮食品は新鮮で見た目も綺麗なものを選びたいのだそうだ。また値段はあまり気にしないものの、直売所で買う野菜は大きくておいしいうえに安いと言っていた。そんな母に、福島屋の話をすると、「行ってみたい」と言っていたので、今度連れて行ってあげたいと思う。
 家族の食を担当する母だからこその意見だとは思うが、私も安心で新鮮、美味しいものに少しでもこだわった買い物をしてみたいと思う。加えて、偽装表示や農薬問題などを考慮し、産地や生産者にも気を遣わなければならないと感じた。
 また、スーパーの棚割りやPOPをもっと注意して見てみようと思う。野菜の配置にも一つ一つ工夫があることを知れたので、いい意味でその工夫にのせられすぎないように、買い物したいと思う。そして、間に合えばフィールドワークでも活かしたいと思う。
 
 次に、私は本書を読む中で福島さんの気づきの多さに驚かされた。
 まさにPDCAサイクルを日常で取り入れられる方なのだと思う。
 新しい店舗をオープンした当初は、売上が上がらず不安な時があったそうだ。最初は「どうしたら売れるのだろう」、「深夜まで働いているのにどうして買ってくれないのだろう」焦る気持ちから、自分以外の人やもののせいにしてしまっていた。そんな時にお客様からの感謝の一言で自分が売上ばかり見ていて、お客様を見ずに商売をしていたことに気づいたそうだ。それからはお客様の生活シーンを考え、この商品を買う人はどんな人だろうと考えながらの売り場づくりをしたそうだ。現在でもそういった気づきを改善しては実践を繰り返し、お店を作っている。
 現在のスーパー業界は、コンビニエンスストアとの競争や、同業者同士での価格競争による減収など、苦境に立たされている。そうなると、売上に重きを置いてしまうのが普通だと思う。消費者としての意見では、大手スーパーのような安い価格で売るお店も必要である。
 しかし、この競争の中で生き残るには安い以外に何か特徴が必要なのだと思う。福島屋のように固いこだわりをもつことが生き残るために重要なのだと思った。

 福島屋で私が一番ワクワクしたのは惣菜のコーナーだ。見た目から美味しそうなのはもちろんの事、食べたら健康になれそうな気がした。
 本書を読んでから気づいたのだが、店内で売られている食材を使った惣菜が多かったからだと思う。消費者目線で考えたときに、店内にある商品の情報はPOPによって得られるが、味覚としてのおいしさは試してみなければ分からない。実際に調理されたものを買って試してみて、次は食材そのものを買って自身で調理するという購買の流れが見えたのだと思う。
 就職活動を通して「顧客目線」が大切だという話を何度も聞いた。4月から社会に出るうえで自分本位の営業になっていないか、何度も見直して、顧客目線で考えながら働きたいと思わされた。

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『福島屋 毎日通いたくなるスーパーの秘密』を読んで  4年 菊地真帆

 本書を読み通して感じた事は、いかに福島氏が福島屋に熱い想いをかけているかということだ。お会いするなかで福島氏の食や農家への想いというのは伺っていたが、今回改めて福島氏が福島屋という媒体を使って消費者たちにそういった想いを伝えていこうとしていることをひしひしと感じた。
 特に第 3 章の「売り場づくりはスーパーの要」は、私たちが見学させていただいた秋葉原店の店内が計算されつくされたレイアウトであることを思い知らされた。お客様の立場に立って考えているからこそ、お客様が求めている情報を的確に与えることができているのだ。さらには単に商品の知識を伝えるのではなく、お客様の心に届くような伝え方をしている点も、福島屋がお客様に愛されている理由なのだろう。そうやってひとつひとつお客様に寄り添ってお客様ありきの店舗づくりを進めていることが、福島屋が他のスーパーに絶対に負けない強みであるのだと分かった。

 定期的に行われるグラフィックワークショップでは、今の店内レイアウトに改善点はないだろうかと従業員全体で追求している。どのようなレイアウトにしたらお客様にもっと買い物を楽しんでもらえるのだろうかという向上心を持ち続け、現状に満足しないこれこそがお客様を飽きさせない秘訣でもあるのだろう。
このように売り場というのは、そのスーパーの要であることを本書を読み強く感じた。

 ただ一つ、私は秋葉原店を訪れたときある一つの商品に少し違和感を覚えたのを思い出す。それは日清のカップヌードルだ。生産地にこだわった商品が店内にずらりと並ぶ中で、あまりにも普段の生活に馴染みすぎているカップヌードルがマイナスな方向で異彩を放っていたのだ。福島さんにこういった地場商品でないものも置いている理由について伺ったところ、普通の商品も必要とされているとの返答が返ってきた。確かにそうかもしれない、でもそれでいいのだろうか。生産者にこだわったスーパーであるはずなのに、1つの妥協が全体の印象を左右することはないのだろうか。私は、商品にこだわるスーパーなら1つとして残らず完璧にそのコンセプトを追求してほしいと感じるところである。

 本書を読み感じたことを踏まえ、私が考える今後のスーパーマーケットの在り方を述べて書評を終えたいと思う。
 私が最近ニュースを見ていて、目にしたのが「グローサラント」という新しいスーパーマーケットの業態だ。これはグロサリーとレストランを合わせた造語で、店内に 100 席以上のイートインスペースを設置しているスーパーを指す。米国ではこうした、新たな業態に変化したスーパーが増えてきている。今や単に食品を販売するだけでは消費者も物足りなく感じ始めているのだろう。

 私は福島屋もこの形態を取ってみてはどうだろうかと考える。既に秋葉原店にもイートインスペースは設置されているが、たった 4 席程度の小さいものだ。せっかく調理場が売り場から覗けて、食を作っているところが見えるのであれば、さらにその場で食を楽しめるようにしてはどうだろう。イートインスペースを食品売り場の中に作ることで、より食そのものや食の時間を大切にできるような気が私はしている。

 これからも福島屋はまだまだ色々な形に化けていくのだろう。福島氏が以前、「あえて正解を作らないことで挑戦が可能になる。」と仰っていたのを思い出す。次はどんなお店ができるのだろう。私もひとりの福島屋のファンとしてわくわくする想いを馳せて、今後の福島屋に注目していきたいと思う。