イノベーションの輪: パワーサラダとのご縁から広がる世界

 世間は狭い(It’s a small world!)。本日、デザイナーフーズ(デリカフーズ)の丹羽真清社長と研究室でお会いすることになっている。雑誌の連載で、「High Five Salad」(『食品商業』12月号)を取り上げたことがきっかけだった。水野裕嗣社長のサラダ専門店が、デリカフーズから原料の野菜を仕入れていたので、水野さんに「どなたかを紹介してほしい」とお願いしていた。

 

 ところが、元院生の新田美砂子さんが丹羽さんとお知り合いだった。丹羽さんの携帯電話とメールアドレスを教えていただいた。電話したところ、すぐにインタビューをさせていただくことになった。元デリカフーズ社長でもある丹羽さんは、野菜の機能性(抗酸化作用、ファイトケミカルの役割)について長い間、基礎研究を進めてきた方で、実業で成功された女性起業家でもある。

 (*いましがた、ご本人から連絡があり、事情によりインタビューは後日に延期になった。)

 一方で、水野さんの会社は、将来有望なスターアップ企業として大手企業(デトロイトトーマツ主宰)から出資を得る準備に入っている。また、出資企業の候補になっている「セイノーホールディングス」との事業提携が決まっている。リリースされた提携内容を見ると、その中に植物工場のベンチャー企業「ファームシップ」がリストアップされていた。

 これも偶然で、ファームシップの共同創業者、安田瑞希さん(明治大学農学部出身)と来週、インタビューのアポイントをいただいている。また、ファームシップが主催する「植物工場セミナー」(11月21日)に別途に登録をしている。わたしが安田さんに興味を抱いたのは、福岡の花農家のご子息だったからである。

 

 ところで、デトロイトトーマツのニュースリリース(アクセラレータープログラム)によると、

 

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 「デロイト、セイノーやソニー系などとSU養成」(2018年7月26日配信)
 デロイトトーマツベンチャーサポート(東京・千代田)は大企業5社と合同で、スタートアップ(SU)の養成(アクセラレーション)プログラムを始める。セイノーホールディングス、ソニーネットワークコミュニケーションズ、三井化学、大和ライフネクスト、凸版印刷で構成する。大企業がSUと1対1で事業連携に取り組む事例は増えているが、大企業合同は珍しい。 

 9月7日までにSUから事業連携案を募集する。連携企業として、5社のなかから複数社を指定できる。10月下旬まで選考したのち、11月から2019年2月まで事業養成に取り組む。

 デロイトは13年からSUのピッチイベント「モーニングピッチ」を毎週木曜日朝に実施。これまで約240回実施して累計1千社を超えるSUが登壇。大企業とマッチングの場を提供してきた。複数の大企業と組んで新たな事業を早く生み出したいとするSUが増えているという。

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 水野さんは、SUのためのピッチイベント(出資を募るプレゼン)で一次合格を果たしている。さらに、関連のニュースを見ると、野菜の供給元(植物工場の運営会社、ファームシップ)や加工・輸送会社(セイノーHGS)がセットされていることがわかる(https://www.seino.co.jp/seino/news/shd/2018/1002-01.htm)。

 デトロイトトーマツが組織した共同出資プログラムに名前を連ねているソニー(SNC)などは、農業の生産方法のイノベーション(不耕起農法)に取り組んでいることがわかっている。

 野菜と健康に関するイノベーションの輪が、どんどんと広がっていく。靖国通りでたまたま水野さんのお店(High Five)を発見し、ナチュラルローソンにパワーサラダを納めることになった偶然からできた円環である。これから、この新しいイノベーションの車輪が、どのように転がっていくのか楽しみである。