少し前の『日経MJ』(6月18日号)に、エアークロゼット(月額制ファッションレンタル)の天沼聡さんが出ていた。2014年に起業した若手経営者だが、ベビーフェイスの天沼社長も38歳になっていた。偶然だが、昨日、マーケティング論の授業で講演していただいた菊池紳さん(39歳)も同じ学年になる。
天沼社長は、2014年にエアークロゼットを起業している。2015年に、エイブルの平田社長から紹介していただき、翌年(2016年)に、マーケティング実行論の授業で講義をしていただいた。いまでも原宿にある実店舗「エアークロゼット×エイブル」で、実際に試着をしてみるという体験レンタルを学生にテストしてもらった。
そのころ(2016年12月)の会員数は約10万人。それが2018年現在は、15万人にまで到達している。実際には、会員の待ちがあるから、ポテンシャルはそれ以上になっているはずだ。
2015年に80ブランドから始めた事業も、いまは300ブランドに増えている。スタイリストさんも150万人。二年前の原宿体験がなつかしい。当時のテスト購買者(大学院の女子学生)は、いまでも会員を継続しているのだろうか?
それとは別に、徐々に会員数が増えてきていて、周りの知人で「エアークロゼットのサービスを利用しています!」という女性が現れてきている。彼女たちの利用動機は、普段着の「スパイス」として利用と、洋服選びの面倒くささの解消らしい。共稼ぎ・キャリア・子育てママのニーズにもピッタリあっている。
MJの記事によると、その後の事業イノベーションは、昨年10月にはじまった「ピックス」というサービス。従来は、レンタルをして気に入った洋服を後で買うことができた。この新しいサービスでは、最初からスタイリストが本人にあう洋服(新品)をセレクトして提案をする。従来のマーケットとは利用者が重複しないということだ。
もうひとつは、購入履歴の電子カルテ。エアークローゼットのサービスを利用した洋服の分だけでなく、他社で購入した洋服もデータ化するサービス。在庫となっているクローゼット内の全洋服を把握する試みである。これができれば、スタイリストが推奨するファッションが、既存のものと被らなくできるだろう。
これまでも、エアークローゼットのビジネスは、既存のファッションレンタル事業とは一線を画していた。そもそもが受け身ではなく、提案型のビジネスだからである。若くてしなやかな経営者の天沼君をトップに、エアクロは今後も大きく成長していきそうだ。当分の間、事業の進化はとまりそうにない。