先週の土曜日(6月16日)の夕方6時から、飯田橋のイタリア料理店「トリノ」で、学部のOB会が開かれました。わたしの記憶が正しければ、40回目のOB会開催だったと思います。現役生27名に加えて、一期生の宮尾君をはじめとして30名を超えるOBが参加してくれました。教師冥利に尽きます。
毎年OB会に参加してくれている「リピーターのOB」が半分強。10年ぶり20年ぶりの「新規・久しぶりのOB」が半分弱です。
一期生の宮尾くんなどは、昨年は30数年ぶりにOB会初参加でした。その席で、「社会人になってから覚えました!」という手品を披露してくれました。宮尾君の一発芸には、OB会の参加者全員がびっくりでした。今年も、わたしからのアンコールにこたえて、目の前で炎が舞い上がる別の手品を再演してくれました。ありがとう。
毎年OB会に来てくれる学生も、久しぶりに参加してくれる学生もいます。どちらにしても、元ゼミ生たちが元気で活躍している様子をみることは、指導教員としてとてもうれしいものです。彼ら/彼女たちの立ち居振る舞いをみて安堵すると同時に、社会人として立派に成長している姿をみて頼もしくも思います。
とくに、現役時代はなんとなく頼りなかった学生が、みんなの前で立派にあいさつをしている様子には感動します。白状すると、ついつい彼らの昔の姿をいまに重ねてしまいます。昔を知っているので、わたしは密かに心の中でほくそえんでいるのです。
昨日のOB会には、わたしが米国留学中(カリフォルニア大学バークレイ校)に、小川ゼミを代講してもらった相原修先生にも参加していただきました。代講していただいた期間は、1982年から1984年の二年間でした。たまたまの偶然ですが、その時の教え子のたち(6~7期生)が三人(久保田君、加藤君+1人、ごめんなさい、あと一人が思い出せない)がOB会に参加してくれていました。
相原さんは、当時は成蹊大学の経済学部でマーケティングを教えていました。いまは日本大学商学部の教授です。今年で日大を退職するので、それもあって小川ゼミのOB会に参加してくれたようです。わたしはマラソンを始める前はテニスをしていました。一年先輩の相原先生は、かつてのテニスの好敵手でした。
OB会は、18時から21時まで3時間の貸し切り制でした。立食パーティ形式ですが、広い地下のホールスペースで、椅子に座りつつも移動できるようになっていました。まとまって座っている各期の卒業生のところを、わたしは巡回していって会話に参加しました。ほぼ全員と話しができたと思います。
参加してくれたOBは、全部で30数人いました。一人当たりで時間を割ると、実に短い時間(5分~10分)にしかなりません。ほとんど話せなかった最近の卒業生もいました。申し訳なかったと思っていますが、これも42年間も続いている「伝統あるゼミ」の宿命ですね。
OB会の最後の1時間は、卒業生たちの近況報告の時間になりました。OBの皆さんの話を聞いていて、気がついたことがありました。それは、卒業年次によって、働き方と転職の傾向がちがうということです。
初期のころの卒業生(一期~15期)は、ほとんど転職を経験していないようです。あったとしても、近い業界の会社への転職です。それが、バブル以降(1990年~)になると、ゼミの16期を過ぎたあたりから、卒業生の半分近くが転職を経験しているようです。早期退職で独立起業する学生が増えてくるのは、20期生以降のようです。卒業生のその後の様子から、社会の動向がよくわかります。
今回のOB会で、わたしは最初と最後の二回、あいさつをする機会をいただきました。オープ二ングの乾杯のあいさつでは、自分の近況を簡単に報告しました。仕事のことと家族のことが中心でした。とくに、10月から下町に移住することになったことと、なぜ転居するのかの理由、そして前日に4人目の孫が生まれたことです。
そして、締めのあいさつでは、めずらしくOB会の参加者に感謝の言葉を伝えました。というのは、皆さんと話していて、わたしにとって感動的な出来事があったからです。順番に卒業生たちのテーブルを回っていくと、久しぶりに参加してくれた三浦謙君と話しすことになりました。
「久しぶりに会ったけど、三浦君はどうしてる?」と尋ねたところ、「先生のブログがこのごろ元気がなくなっていて、心配でOB会に参加しました」と白状されたからです。そうか、さみしい雰囲気でこのごろブログの文章を書いているかもね。思い当たる節がたしかにありました。卒業生たちは、微妙にわたしの気持ちを文章から感じ取ってくれていたのでした。
というわけで、最後のあいさつは、次のように締めくくりました。正確ではありませんが、だいたい次のように話したと思います。
「いままでのわたしは、学生のみなさんを勇気づけてあげることを目標に生きてきました。しかし、今日は、皆さんから逆に元気をもらいました。というのは、わたしの元気のなさそうなブログを読んで、心配してOB会に駆けつけてくれた学生が複数人いたことを知ったからです。本当にありがとう」
自分は学生たちから、思いのほかに愛されている。だから、こうしてすばらしいOB会が継続できている。「来年は、同期をもっとたくさん誘ってきます」と言って帰った卒業生もいました。来年もまた会いましょう。ここでまた、みなさんをお待ちしています。