(その21)「秋田県の日本一自慢」『北羽新報』(連載:東京下町発能代着)2018年4月20日号

 今月号の連載では、「秋田県の日本一」を取り上げてみました。小中学生の学力日本一はよく知られていますが、秋田美人がどのようにして生まれているのか?その理由を解説した記事がありましたので、それを参考にコラムを書いてみました。本日、発売の「北羽新法」と同時公開します。

 

 「秋田県の日本一自慢」『北羽新報』2018年4月号

 文・小川孔輔(法政大学経営大学院教授)
 秋田県の自慢は、京都・博多と並んで、日本三大美人の産地であることです。古くは小野小町を、近頃では藤あや子や佐々木希などの美人を輩出しています。秋田県が美人多産県である理由を説明している不思議なサイト(日本でいちばん.com)に出会いました。今回のコラムでは、「秋田県の日本一」を紹介します。
 
 最初は、秋田の女子=美人の秘訣です。全国的によく知られているのは、秋田県が人口1万人当たりの美容室・理容室の数で日本一というデータです。10万人当たり544カ所(厚生労働省「衛生行政報告例」、総務省統計局「人口推計」)。秋田県は、美容師数の数でも日本一だそうです。秋田県人はおしゃれに気を使う人が多いからなのかもしれませんが、それは結果で、隠れた理由はつぎの3つではないかと推測されます。
 その①:秋田県は、年間で晴れの日数が全国でワースト1だという事実。日照時間が短いということは、「日本でいちばん自殺率が高い秋田県」という不名誉な統計データにもつながります。しかし、それとは逆に、晴れの日が一番少ないということは、太陽の光を浴びないので「美白」に磨きがかかる。そのため、秋田には美人が多いことにもなります。
 その②:秋田県人は、睡眠時間が日本一だそうです。総務省統計局「社会生活基本調査」におれば、秋田県人の睡眠時間は、一日平均482分で全国一位。睡眠時間が8時間を超えているのは秋田県と青森県だけ。これは個人的にも納得できます。わたしは男子ですが、この年齢(66歳)になってもあまり肌荒れをしません。医学的にはよく眠れると成長ホルモンが分泌されるのだそうです。成長ホルモンはタンパクの合成と脂質代謝を促進しますので、それが老化を防止して美肌を生みます。秋田県に美人が多い秘訣なのかもしれません。
 その③:秋田県は、自然環境でも日本一がたくさんあります。ゆったりした環境でのんびり生活していれば、ストレスは消滅します。自然環境の日本一をいくつか紹介します。秋田県人なら誰でも知っているように、日本一深い湖は「田沢湖です。最大深度423.4m。そして、日本一湯量が多い温泉も、硫黄泉で有名な「玉川温泉」です。一か所からの噴出量は毎分9,000L。玉川温泉は、お湯も日本一の強酸性でPHが1.2。源泉の温度は98℃だそうです。子供のころ、ばあさん(珍田サン)に連れられて玉川温泉には何度も行きました。お湯の中に銀貨を入れると表面が真っ黒に変わりました。
  
 話は変わって、今度は勉強のことです。秋田県の子供たちが学力で日本一であることは、最近ではよく知られるようになりました。小中学生は全国学力テストでここ数年、小学生の国語の正答率・数学の正答率ともに日本一だそうです。中学生もそれぞれ1~2位の好成績です。ところが、大学進学率となると、これが不思議なことに全国的には下位県になります。小中学校の成績が、大学進学にはつながらない?
 ちなみに、秋田県の一戸建て比率は81.0%で日本一です。また、一人当たり居住室の畳数は17.2畳で、これも日本一です(総務省統計局「住宅・土地統計調査」、2013年)。秋田県人は広いところに住んでいるようですが、逆に人口減少率(▼1.30%、2016年)も4年連続で日本一です。これはあまり自慢になりません。一説によると、かつて100万人を越えていた秋田県の人口は、2040年には70万人を下回ると予測されています。秋田県そのものが消えてしまわないためにも、何らかの産業振興策を打ち出す必要があると思います。