【おにぎり工場、こぼれ話】 食べられる魚は、スズキ目だらけ。

 ローソンのおにぎりを製造している「日本クッカリー」の伊丹工場を視察した。日本クッカリーは、ニッスイの子会社である。伊丹工場のほかにも、小牧、金沢、厚木に弁当工場がある。千葉県の八千代市では、ローソン向けに麺類と惣菜の工場を運営している。

 

 訪問の目的は、今春(6月)から順次に導入されている「手巻きおにぎり」の全自動化ラインを見ることだった。日本クッカリー(ローソンのベンダー)は、人手不足に対応して、おにぎりの製造ラインを自動化することに成功した。製造ライン(1本あたり)を担当する人員が、約半分に削減できた。4人から2人への削減効果である。

 こうした製造ラインなどの改善努力が実って、おにぎり・弁当工場の人・時生産性(ひとり・一時間当たりの生産額)は、二年間で5~6%向上している。時間あたりで1万円を超えることができた。ちなみに、自動化ラインを流れるおにぎりは、一時間最大で3000個を生産することができる。

 実際には2%程度の製造ロスと、ラインの切り替え(段取り)があるので、一時間当たりの産出量は2500個程度になる。それでも、一時から見るとかなりの改善である。

 

 詳しい話は、別途に報告するが、昨日の観察を簡単にまとめてみる。

 コンビのおにぎり・弁当工場をはじめてみたが、とくに日本食のお弁当は、製造の自動化がむずかしいアイテムであることがわかった。お弁当が「美しすぎる」(凝りすぎ!)からである。頻繁な新商品開発によって改廃がはげしいことから、自動化がむずかしくなる。具材の準備や段取りを変えることが日常的におこるので、自動化は障害にしかならないからである。

 この先のラインの自動化は、限界に達しているのかもしれない。あとは、フライヤーなどを持っている店舗側と、工場の役割分担を変えないと、美味しいお弁当が供給できないだろう。

 結論を言えば、調理面での分散と集中のバランスが必要である。とりわけ、見込み生産によるフードロスを考えると、この問題はこの先さらに深刻になりそうである。成功の現場を見ると同時に、課題も浮き彫りになった。

 

 最後に、現地で感激したこと。こぼれ話をひとつ。

 本命の工場(日本クッカリー伊丹工場)に到着するまえに、タクシーの運転手が誤って、隣にあるニッスイの物流会社の事務所にわれわれを持って行ってしまった。迎えが来るまで、オフィスの玄関でうろうろしていると、入り口の壁に大きなポスターが貼ってあるのを見つけた。さすがニッスイ!A2サイズの魚類図鑑のポスターである。

 「魚譜431選」というポスターには、全部で約1000種類ある食べられる魚の中から、431種類が選んであった。そして、種類(「目」と呼ばれるらしい)ごとに、タラ、サバ、アジなどと魚が分類してあった。驚いたことに、主要な可食魚類の半分以上は、「スズキ目」に属していた。全8列のうち、4列分の魚は「スズキ目」だったのである。

 わたしの感想は、「お魚も人間も、スズキが多い!」だった。日本人の姓でも、トップはたしか、鈴木(2位)、佐藤(1位)、高橋(3位)だったように記憶している。魚も日本人も、「鈴木」だらけなのでした。