本日より、読売新聞のオンラインでマクドナルドの連載が始まりました。来週の火曜日まで4回にわたって続きます。いままでのものと少し趣向を変えてあります。人材採用や原料調達の問題などにも踏み込みました。
「マックの試練…四つの理由と三つの壁(1)」
2015年08月27日 11時56分
法政大学経営大学院 小川孔輔教授
平日の午後1時過ぎ、都内のあるマクドナルド。カウンターの前には3人ほどが列を作っていた。昼食のピークを過ぎた時間帯だが、以前はもっと待たされた気がする。商品を受け取って2階に上がると、8割方埋まった客席が目に入る。談笑する2人組に、スマホをいじる人、ノートを開いて勉強する人。テーブルの上に目をやると、飲み物がひとつだけ――。
日本マクドナルドの苦戦が続いている。2014年の賞味期限切れ鶏肉問題や2015年の異物混入問題など、不振の要因は多く挙げられるが、真の要因は別にあるという。「マクドナルド 失敗の本質」(東洋経済新報社)の著書もある法政大学経営大学院の小川孔輔教授に、不振を招いた四つの理由と復活を阻む三つの壁について解説してもらった。
スタバに人材取られ…沈む四つの理由
日本マクドナルドは、2015年6月中間決算で最終損益が262億円の赤字となった。2015年通期でも、380億円の純損失が予想されている。直近の業績を見ると、7月の既存店売上高は対前年比で12.6%の減少。中国・上海で起こった期限切れ鶏肉問題の発生から1年が経過して、8月以降は、既存店売上高がプラスに転じるとみられている。
だが、潤沢だった手元のキャッシュも不足しはじめている。急場をしのごうとして早期退職者を募り、業績が芳しくない131店舗の閉鎖を進めている。しかし、春先に発表した4年間で2000店舗の全面改装は加盟店の負担で実施することから、予定の半分も実現していない。
サラ・カサノバ社長は、8月12日の記者会見で、「下半期は信頼回復を加速させる。日本人の好みに沿ったおいしさを提供していく」と話している。しかし、サラダや地方の食材を使ったメニューの刷新に取り組んではいるが、いまのところ客足が回復するまでには至っていない。
マクドナルドは、「日本人の10人に3人が3ヶ月以内に一度は利用している」ファストフードの巨人である。店舗数はサブウェイに続いて約3万6000店。世界119か国に進出して、グローバルの全店売上高は約9兆5000億円(世界No.1)。そのマクドナルドの業績が、一向に浮上しないのはなぜなのだろうか? 打ち手のない八方ふさがりの状態になっているのはなぜなのだろうか?
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