忘れたころにやってくるNews Letterがある。レストラン・マッシュルーム@恵比寿(きのこフレンチ)から送られてくるメルマガだ。6月に受け取ったレターの内容がとても素敵だった。昭和天皇の有名な言葉「雑草という名の草はない」から始まっている。2か月遅れで紹介する。
「花の名前」(「マッシュルーム」のメルマガ、2015年6月から)
昭和天皇の有名な言葉に「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない。」
とは、昭和天皇の有名な言葉。
以前、ブルゴーニュ在住のお客様にも、この文章の入った小説を教えてもらったことがあり、それからなるべく小さな草花も名前を知ろうと心がけている。
田舎に帰って田植えの終わった土手を歩く。当然住民より蛙の方が多い。今年はキウイの花をベッドにしていた。
巨大な蛇の抜け殻にギョッとしたり、四葉のクローバーを探したりしながら歩く。
子供の頃から慣れ親しんでいた花の名前が思い出せない。農業大好きな甥に問う。
「ねえ、この花なんて名前だっけ?」
「雑草。」
「・・・・。」
答えは「ハルジオン」だった。(貧乏草と呼ばれるなんて、あまりにひどい。)
庭や土手に咲く花を摘んで東京まで持ち帰る。花代が浮くから、というリアルな理由だ
けではない。
スーシェフも春日部から「ミヤコワスレ(都忘れ)」を持って来た。
私が持ち帰った花束の一つに「ヒトリムスメ(一人娘)」があったが、その名の通り、一つの茎に蕾が沢山付いているのに、一つの花が咲き終わってからでないと、次が咲かない。見事に行儀良く順番を守る姿は、生命のリレーをしているようで、少し切なくなる。
川端康成の名言をふと思い出す。
「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。」
ドクダミの白い花を見る度、マッシュルームを思い出して足を運んで下さる方がいるならば、夏のお客様が少し増えるかもしれない。
*マッシュルーム